イソフラボン
IUPAC名
3-phenyl-4H-1-benzopyran-4-one
別称3-フェニルクロモン
識別情報
CAS登録番号574-12-9
148 ℃
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。
イソフラボン (isoflavone) は、フラボノイドの1種である。3-フェニルクロモン (3-phenylchromone) を指し、広義には後述のイソフラボン類に属する誘導体をイソフラボンと称する。狭義のイソフラボンは生物では検出されない。生物ではフラバノンの異性化反応によって 5,7,3'-トリヒドロキシフラボンが作られ、多くは配糖体として蓄えられる。 イソフラボン類はポリフェノールの分類のひとつで、イソフラボンを基本骨格とするフラボノイドである。ダイズ、クズなどのマメ科 (Fabaceae[1]) の植物に多く含まれている。 栄養学的に興味を持たれているイソフラボン類は、母核イソフラボン分子の2個あるいは3個の水素原子がヒドロキシ基で置き換わった誘導体である。母核のイソフラボンは栄養学的には興味を持たれていない。イソフラボンのナンバリング。ゲニステイン (5-OH, 7-OH, 4'-OH) やダイゼイン (7-OH, 4'-OH) がイソフラボン類に属する。 イソフラボンはフラボン (2-phenyl-4H-1-benzopyr-4-one) とはフェニル基の位置が異なっている。 イソフラボン類は、高等植物においてフラボノイド化合物を作り出す通常のフェニルプロパノイド経路から分岐して生合成される。ヒトの食物において、ダイズが最も一般的なイソフラボン類の摂取源である。ゲニステインとダイゼインがダイズにおける主要なイソフラボン類である。フェニルプロパノイド経路はアミノ酸であるフェニルアラニンから始まり、中間体のナリンゲニン (naringenin マメ科 (Fabaceae) のほとんどの種は、多量のイソフラボン類を含有している。様々な種で含有量を解析した結果、オランダビユ (Psoralea corylifolia
イソフラボン類
化学と生合成
分布
その他のイソフラボンを含む食品としては、ヒヨコマメ(ビオカニンA、Biochanin A)やアルファルファ(ホルモネチン formonetin、クメストロール coumestrol)、ピーナッツ(ゲニステイン)などがある。
植物組織では、ほとんどのイソフラボン類は、配糖体やそれぞれの配糖体のマロン酸あるいはアセチル化抱合体として存在しており、水溶性が高まった状態となっている(en:Isoflavone-7-O-beta-glucoside 6"-O-malonyltransferaseを参照)。マロン酸抱合体は不安定なため脱炭酸によって変換される。マメ科植物がウイルスや菌による感染を受けようとすると、水溶性で移行可能なイソフラボン誘導体が加水分解を受け、感染を受けている部位でアグリコンが生成される[4]。
大豆の作付け時期によりイソフラボンの含有量は変動し、遅く蒔くほど含有量が多いことが宮崎県の試験で報告されている[5]。
エストロゲン様の活性と関連代謝物ゲニステイン
ゲニステイン(genistein)、ダイゼイン(daidzein)などのイソフラボンはエストロゲン(女性ホルモン)様の作用を有するとされる。これはヒトエストロゲン受容体に結合してアゴニストとして働くためで、このような活性を持った植物由来の化合物は植物エストロゲン(または植物性エストロゲン)と呼ばれる[6][7]。