イソシアン化水素
IUPAC名
hydrogen isocyanide
azanylidyniummethanide
別称isohydrocyanic acid
hydroisocyanic acid
isoprussic acid
識別情報
PubChem6432654
イソシアン化水素(イソシアンかすいそ、hydrogen isocyanide)は、分子式HNCで表される化合物である。シアン化水素 (HCN) の互変異性体である。星間物質として遍在し、宇宙化学の分野では重要な化合物の1つである。 英語でhydrogen isocyanideとazanylidyniummethanideのどちらもIUPAC命名法に基づいた正しいものであり、優先IUPAC名はない。後者の名前は、水素化アザン (NH3) とメタニド (C-) を親化合物とした置換基命名法に基づいたものである[1]。 イソシアン化水素は、C∞v分子対称性を持つ直線形三原子分子である。双性イオンであり、シアン化水素の異性体である[2]。HNCとHCNは、それぞれμHNC = 3.05デバイ、μHCN = 2.98デバイという、どちらも大きく、近い値の双極子モーメントを持つ[3]。このような大きな双極子モーメントが、これらの種を星間物質として発見されやすくしている。 HNCがHCNよりも3920 cm?1 (46.9 kJ/mol) だけ高いエネルギーを持つため、これらの平衡比 ( [ H N C ] [ H C N ] ) e q {\textstyle \left({\frac {[HNC]}{[HCN]}}\right)_{eq}} は、温度100 K以下で10?25になると考えられていた[4]。しかし、観測によると、その比 ( [ H N C ] [ H C N ] ) o b s e r v e d {\textstyle \left({\frac {[HNC]}{[HCN]}}\right)_{observed}} は10-25よりずっと高く、冷たい環境では実際はほぼ1桁の比になることが観測された。これは、互変異反応のポテンシャルエネルギー経路のためであり、互変異化が起こるためには、おおよそ12,000 cm?1のところに活性化障壁が存在する。これが、HNCが中性-中性反応でほぼ破壊される温度と一致する[5]。 実際には、HNC は、J = 1→0 遷移を用いて、天文学的に観察されるほぼ唯一の化合物である。この遷移は、≒90.66 GHzで起こり、この値は、大気が電波を通しやすい「大気の窓」によく一致する。HCN を含む多くの関連化合物もこれに近い窓で観測できる[6][7]。 HNCは、HCNは別として、プロトン化シアン化水素 さらに、HNC は HCN とともに、分子雲の濃いガスのトレーサーとして一般的に用いられる。HNC は、星形成に繋がる重力崩壊の調査だけではなく、他の窒素分子と比較した存在量により、原始星コア HCO+/HNC比は、ガス密度を測定する手段として用いられる[8]。この情報から核の進化、星形成、さらにはブラックホールによるガス供給の情報も得られ、高光度赤外線銀河の形成機構についての深い洞察が与えられる。さらに、[HNC]/[HCN] が光解離領域ではほぼ均一、X線解離領域
名前
性質
HNC-HCN互変異性
スペクトルの性質
星間物質としての重要性