イギリスツーリングカー選手権
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「BTCC」はこの項目へ転送されています。会社については「BTCC (会社)」をご覧ください。

イギリスツーリングカー選手権カテゴリツーリングカー
国・地域 イギリス
開始年1958年
ドライバー32(2017年)
チーム17(2017年)
コンストラクター11(2017年)
ドライバーズ
チャンピオン アシュリー・サットン
チーム
チャンピオン NAPAレーシングUK
マニュファクチャラーズ
チャンピオン フォード
公式サイト ⇒btcc.net

イギリスツーリングカー選手権(British Touring Car Championship )は、イギリスで毎年行われるツーリングカーレースのシリーズである。略称はBTCC。

1991年からBRAC有限会社のTOCAが主催している。

DTM(ドイツツーリングカー選手権)のように国外でイベントを開催するようなことは無いものの、FIAや国外の車両規定に影響をしばし与えており、独自の存在感と歴史を持ったレースシリーズである。
歴史

1958年にイギリスサルーンカー選手権(British Saloon Car Championship )として開始され、以後何度ものルール変更を経てきた。1960年代後半から1970年代にかけてはFIAグループ1またはグループ2規定、1980年代にはグループA規定の車両で争った。この頃までの選手権は、排気量別にクラス分けされた車両が混走し、しかもクラスごとに与えられたポイントで全クラスが単一のチャンピオンシップを争う形式だった。つまり個々のレースで一度も総合優勝をしていない小排気量クラスの車がシリーズチャンピオンになる可能性もあり、観客のタイトル争いへの興味を失わせることにもなった。たとえば1980年代にはクリス・ホジェッツトヨタ・カローラで2度チャンピオンを獲得したが、ほとんどのレースではより大排気量の車が総合結果では勝っていた。フォード・シエラ・コスワースRS500がレースを制していた時代も、クラスB(全日本のディヴィジョン2相当)のBMW・M3に乗るフランク・シトナー(Frank Sytner )や、より小排気量のクラスC(同じくディヴィジョン3相当)のボクスホールアストラに乗るジョン・クレランドがシリーズタイトルを獲得した。

1990年からは排気量を統一した"2.0Lフォーミュラ"で争われることになった。この規格は後に、グループAを代替するカテゴリを探していたFIAが"スーパーツーリング(ツーリングカークラスII)"として施行し、世界各国に広められることになる。

この規定改訂に前後して、1987年にシリーズは現在の名称になった。1991年にはTOCAが運営に就き、マニュファクチャラーズ選手権が開始され、1992年にはインディペンデント選手権も開幕し、現在のBTCCの原型が出来上がった。

スーパーツーリングは多くのマニュファクチャラーの興味を惹き、一時は10社を数えるワークスチームが参戦した。しかし競争の激しさによるコスト高騰や規則変更をめぐっての反発などから短期間で撤退が相次ぎ、2000年にはフォードボクスホールホンダの3社だけが残る形となった。反省したTOCAは、2001年からグループNに小規模な改造を施す"スーパープロダクション"をベースに、新たに低コストな独自規定の"BTCツーリング"を導入した。全長4.1m以上の2ドアクーペというこの規定は後にアジアツーリングカーシリーズやドイツツーリングカーカップでも導入され、スーパーツーリングに続き国際的な規格となった。

同じくスーパープロダクションをベースとしたスーパー2000規定も2002年にFIAにより施行され、BTCCには2004年から導入された。ボクスホール一強となってしまったBTCツーリングよりも、WTCC(世界ツーリングカー選手権)との互換性を持ち車種も豊富なスーパー2000規定の方が台数を増やした。TOCAはスーパー2000への完全移行を望んだが、BTCツーリング規定の車両も根強く採用され続けたため、2つの異なる規定が並び立つ時代が続いた。2006年 ブランズ・ハッチでのBTCC

この頃は低燃費の車両を奨励するために、様々な燃料の使用を認めていた。2004年からマルディグラ・モータースポーツは、LPガス仕様のシビックタイプRやプジョー・406クーペで参戦した。2005年にはテック=スピード・モータースポーツが型落ちのワークス車、ボクスホール・アストラをバイオエタノール仕様に改造して投入している。2006年にはカート・ワールドのオーナードライバーの ジェイソン・ヒューズ もバイオエタノール仕様のMG・ZSで出場し、後にはウェスト・サリー・レーシング[1]のコリン・ターキントンとロブ・コラード、プジョー・307を駆るリチャード・マーシュも追従した。このうちヒューズだけが2007・2008年シーズンもバイオエタノール車での参戦を継続した。2010年シーズンはAONレーシングがLPガス仕様のフォード・フォーカスSTで参戦している[2]

スーパー2000には姉妹規定となる、ディーゼルエンジン規定の「ディーゼル2000」があり、これの参戦も認められた。2007年にはAFMレーシングのリック・ケリーがBMW・120d E87で出場した。2008年にはワークスチームとして初めて、セアトスポーツUKチームが当時WTCCを席巻していたディーゼルターボ仕様のセアト・レオンを投入している。

ステーションワゴンによる参戦が多いのも特徴で、事例としては1994年のボルボ(850)、2014年のホンダ(シビックツアラー)、2016?2019年のスバル(レヴォーグ)がある。

2011年からはより低コストなNGTC(Next Generation Touring Car)という新規格が試験的に導入され、2014年に完全移行。2022年から統一のハイブリッドシステムも導入された(後述)。
インディペンデントチームの活躍インフィニティ・Q50

BTCCを戦うレーシングチームは、メーカーが運営するワークスチーム(マニュファクチャラー)と、チームRAC、チーム・ダイナミクス、モーターベース といったインディペンデントチーム(プライベーター)の2種類に分けられ、賞典も別個に用意されている。

1999年、スーパーツーリング規定で行われていた時代にチーム・ダイナミクスとマット・ニール日産・プリメーラを駆ってインディペンデントチーム初のレース総合優勝をドニントン・パークで果たし、賞金250,000ポンドを獲得している。

2000年代の安価で改造範囲の狭いBTCツーリング/スーパー2000の導入は、1990年代のスーパーツーリング時代に比べるとメーカー系ワークスチームやイギリス国外からのドライバーは減少したものの、参戦障壁が下がったことで多くのインディペンデント系チーム・個人の参加を呼び込むようになった。彼らはメーカー系ワークスチームから型落ちの車両を買い取り、「元ワークス」車で参戦、そこそこの成功を収めるようになった。

2005年にはチーム・ダイナミクスのニールがホンダ・インテグラを駆って、インディペンデントチーム初の総合ドライバーズ/チームズチャンピオンに輝いた。BTCCで初めてとなる年間30レース全完走を記録し、ボクスホールの5年連続ドライバーズ/チーム/マニュファクチャラーズチャンピオンを阻止した。翌2006年もニールとチーム・ダイナミクスはシリーズを制したが、2007年はイタリアのファブリツィオ・ジョヴァナルディによってボクスホールがタイトルを奪還した。

ニールのシリーズ連覇、そして2007年シーズンより投入したスーパー2000仕様のホンダ・シビックタイプRはチーム自身が設計・制作を行っていることから、チーム・ダイナミクスはインディペンデントチームとは見なされず、しかしワークスでもない「コンストラクターチーム」という特殊な立ち位置が唯一与えられ、ワークス選手権・インディペンデント選手権ともに参加することができなかった。

ワークスチームは00年半ばから、一部例外を除いて地元英国のボクスホールのみの参戦が続いていたが、2009年シーズン終了をもって撤退。入れ替わりに2010年からはWTCCにも参戦していたボクスホールの親会社のシボレー(RMLが運営)、ホンダ(チーム・ダイナミクスが運営)の2メーカーがワークス参戦を開始した[3]

NGTC規定が導入された後、2011?2014年までワークスはホンダとMGの2社のみであったが、その後はインフィニティ(日産)、BMW、スバル、ボクスホール、トヨタなどが入れ替わり立ち替わりしつつ、年に3?5メーカーがワークスとして参戦した。2022年時点ではフォード、ヒョンデ、トヨタ、ホンダ、BMWの5社となっている。

2020、2021年のドライバーズチャンピオンは、インディペンデントチームのインフィニティをドライブしたアシュリー・サットンであった。
車両規定2018年ブランズハッチ戦。ホンダ、BMW、ボクスホール、メルセデス、フォード、アルファロメオ、トヨタ、スバルの姿が確認できる。なおこの年のワークスは4チームのみである

現行のNGTC規定は低コスト化・性能均衡化を強く意識したもので、10万ポンド(約1,500万円)でシャーシが作れるように電装系やブレーキサスペンションギアボックスクラッチロールケージリアウィング、さらにはモノコック前後のサブフレームに至るまで多くの部品を共通化している。エンジンは同一グループ内の生産車由来のものか、スウィンドン・レースエンジンズが製造・供給する「TOCA-BTCCエンジン」のどちらかを選択する。


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