イカ墨（イカすみ）は、イカが水中に排出する、粘性の高い黒褐色の液体である。主に、捕食者から逃れるために使われる。

近縁なタコも墨を吐くが、組成などが異なる。目次

1 生態

2 組成

3 利用

3.1 顔料

3.2 食材

3.2.1 イカ墨を利用した料理・食品



4 脚注

生態

墨は、鰓の間にある墨袋（墨汁嚢）から排出される。

タコのスミは外敵の視界をさえぎることを目的とし、一気に広がるのに対し、イカのスミは一旦紡錘形にまとまってから大きく広がる。紡錘形にまとまるのは、自分の体と似た形のものを出し、敵がそちらに気を取られているうちに逃げるためと考えられている。
組成

イカ墨の色素成分はメラニン（ユーメラニン）である。アミノ酸を含み[1]、粘性が高く、食材としての価値が高い。
利用
顔料

イカ墨（ときにタコ墨）から作られた黒茶色の顔料をセピアといい、かつては絵の具やインクに使われた。同系統の色（      ）をセピア色という。セピアという語は、ラテン語でコウイカ（学名 Sepia）に由来する。
食材 イカスミのパエリア（Arros negre）

主に地中海地方でイカ墨を調理に使う。パスタソースに使ったイカスミスパゲッティや、パエリア（アロス・ネグロ）に混ぜるなどして使われる。

日本では、中世にポルトガルの宣教師から伝わり「イカ墨汁」などで食材として使われていた。江戸時代には例えば黒作り（富山県の郷土料理で、イカの塩辛にイカ墨をつけたもの）などが作られていた。現代はイタリア料理・スペイン料理の影響から、和食・洋食に使われるようになった。

タコ墨はイカ墨と比べて旨味成分であるアスパラギン酸やグルタミン酸等のアミノ酸を豊富に含むが、取り出すのが困難で量が少ない[1]。これに対して、イカ墨は粘性が高くタコ墨よりも料理に適する。

中世のヴェネツィアではペスト（黒死病）に対する薬効があるとされ、好んで食べられた。

なお、イカスミを摂取した後は便が黒くタール状になり、また便潜血検査も陽性になるため消化管出血と間違われやすい。便検査を受けるまえの数日間に摂取すると、誤った検査結果が出る恐れがあるので注意が必要である。
イカ墨を利用した料理・食品

イカスミスパゲッティ

アロス・ネグロ又はパエージャ・ネグロ - イカ墨のパエリア

イカ墨汁 - 沖縄料理

黒作り - イカ墨を入れた塩辛

糸魚川ブラック焼きそば - イカ墨入りの焼きそば

東村山黒焼きそば - イカ墨入りの焼きそば

アオリイカ黒焼きそば - イカ墨入りの焼きそば

海賊焼 - イカ墨入りの焼きそば

バーガーキング・ジャパンは、2012年9月28日に、トマトケチャップにイカ墨を配合した「黒味ケチャップ」を用いた「黒バーガー（Premium KURO Burger）」を期間限定で発売した。このバーガーはバンズも黒いが、これはイカ墨ではなく竹炭によるものである[2]。同社は2014年9月19日にも、「KURO Pearl」及び「KURO Diamond」を期間限定発売している[3]。

まるか食品は、2013年11月18日に、イカ墨ソースを使った「超大盛やきそば ハーフ&ハーフイカスミ」を発売した[4]。

日本マクドナルドは、2014年10月8日に、ソースにイカ墨を加えた「イカスミバーガー」を期間限定で発売している[5]

脚注

[脚注の使い方]
^ a b ⇒もしもタコ墨パスタを作るなら「1人前7,200円超」 アメーバニュース、2014年2月4日
^ ⇒?非常識バーガー現る！?『黒バーガー（Premium KURO Burger）』9月28日（金）より期間限定で発売！ (PDF) 株式会社バーガーキング・ジャパン、2012年9月19日
^ ⇒?あの『黒バーガー』がプレミアムに進化?『KURO Pearl』 『KURO Diamond』9月19日（金）より期間限定で発売!! (PDF) 株式会社バーガーキング・ジャパン、2014年9月10日
^ ⇒カップ焼きそばのペヤングから、「超大盛やきそば ハーフ&ハーフイカスミ」新発売 マイナビウーマン、2013年11月8日
^ ⇒日本マクドナルド初！“ハロウィン”テーマの個性豊かな新メニュー！?マクドナルド ハロウィン?「イカスミバーガー」「カマンベール チキンフィレオ」「マックフルーリー パンプキンオレオR」10月8日（水）から期間限定販売 日本マクドナルド株式会社、2014年10月2日


更新日時:2020年10月30日(金)10:30
取得日時:2021/02/22 17:34