イアペトゥス_(衛星)
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イアペトゥス
Iapetus
, Japetus[1]

仮符号・別名別名 Saturn VIII
見かけの等級 (mv)10.2-11.9
分類土星の衛星
発見
発見日1671年10月25日 (352年前) (1671-10-25)[2]
発見者ジョバンニ・カッシーニ
軌道要素と性質
軌道長半径 (a)3,560,854 km[3]
離心率 (e)0.0293[3]
公転周期 (P)79.33 日[3]
軌道傾斜角 (i)15.47°
(土星赤道に対して)
8.298°[3]
(ラプラス平面に対して)
土星の衛星
物理的性質
三軸径1,492.0?×?1,492.0?×?1,424 km[4]
平均半径734.5 ± 2.8 km[4]
表面積6,799,755.63 km2[2]
体積1,667,300,080 km3[2]
質量(1.805635 ± 0.000375)×1021 kg[5]
平均密度1.088 ± 0.013 g/cm3[4]
表面重力0.223 m/s2
脱出速度0.573 km/s
自転周期79.33 日(公転周期と同期)
アルベド(反射能)0.05-0.5
赤道傾斜角0
Template (ノート 解説) ■Project

天文学上の未解決問題

イアペトゥス (衛星) の赤道付近に沿った高い山々の連なりの起源は何か?

それは高温で高速で自転していた若いイアペトゥスの名残か?

あるいは時間の経過とともに表面に集まった物質(土星の環またはイアペトゥス自身の環のいずれかから)の結果か?[6][7]

イアペトゥス[8]またはイアペタス[9]またはイアペトス[10]またはヤペタス (Saturn VIII Iapetus) は、土星の第8衛星1671年フランスの天文学者ジョヴァンニ・カッシーニが発見した。英語では Japetus と書かれることもある[1]

土星から約356万キロ離れたところを79日ほどで公転しており、軌道傾斜角が15.47°と他の衛星に比べて大きい。地球?系と同様、イアペトゥスの公転周期と自転周期は同期しており1回公転するごとに1回自転する。平均直径は 1469 km で、土星の衛星の中ではタイタンレアに次ぎ3番目に大きい。密度が1.088 g/cm3と小さいことから、主な成分は水の氷であり、一部岩石が混ざった組成であると考えられている。表面のアルベドが場所によって大きく異なる二面性を持っているのが特徴である。

2004年12月31日には、無人土星探査機カッシーニがイアペトゥスから17万kmまで接近し、鮮明な写真を撮影している。
発見

イアペトゥスはジョヴァンニ・カッシーニによって1671年10月25日に発見された[2]。カッシーニが最初に発見した際はイアペトゥスは土星の西側にあった。数ヶ月後にカッシーニは土星の東側にいるイアペトゥスを観測しようと試みたが、これは失敗に終わった。数年後に観測した際も、土星の西側での観測には成功したが、東側では観測できなかった。カッシーニが土星の東側にいるイアペトゥスの観測に成功したのは1705年になってからであり、過去の観測よりも性能の良い望遠鏡を使うことで検出している。イアペトゥスの見かけの等級は、西側と東側でおよそ2の違いがあった[11][12]

イアペトゥスの位置によって明るさが大きく変わる原因について、カッシーニはイアペトゥスの半分は他の半分よりも暗い色をしているからではないかと正しい推測をした。またこの天体が潮汐固定されており、土星に常に同じ面を向けていると推測した。つまり、イアペトゥスが土星の西側にいる時は明るい側を地球に向けており、東側にいる時は暗い側を地球に向けているということである。
名称

カッシーニはイアペトゥスを含む自らが発見した4つの衛星に対して、ルイ14世を讃えて Sidera Lodoicea と名付けた[注 1]。これは「ルイの星」という意味である[13]

17世紀の終わりになると、天文学者はこれらの4衛星とタイタンをあわせ、Saturn I から Saturn V というように番号で呼ぶようになった。当初はイアペトゥスは Saturn V と呼ばれていた。1789年ミマスエンケラドゥスが発見されるとこの番号は拡張され、新たに番号が振り直されたためイアペトゥスは Saturn VII となった。さらに1848年ヒペリオンが発見されるとイアペトゥスは Saturn VIII に変更され、これが現在まで使われている番号になっている。なお、新しい衛星が発見される度に番号を振り直していたのはヒペリオンの発見までであり、これ以降は確定番号の与え方は変更された。

イアペトゥスの名前は、ギリシア神話ティーターンの一人で、プロメーテウスエピメテウスらの父であるイーアペトスに由来する。この名前を命名したのは天文学者ジョン・ハーシェルであり、1847年に発表した『Results of Astronomical Observations made at the Cape of Good Hope』の中で、この時までに発見されていた7つの土星の衛星に対して命名した[1]
軌道イアペトゥスの軌道 (赤線) を横から見た図。他の大きな衛星と比較して軌道傾斜角が大きいことが分かる。イアペトゥスの軌道 (赤線) を土星の極方向から見た図。

イアペトゥスの公転軌道は幾分か変わっている。土星の衛星の中では3番目に大きいにも関わらず、次に土星に近い位置を公転するタイタンと比べるとかなり遠方を公転している。また規則衛星の中では最も軌道傾斜角が大きく、傾いた軌道平面を持つ。イアペトゥスよりも大きな軌道傾斜角を持つのは、フェーベのようなより遠方の不規則衛星だけであり、この原因は分かっていない。

土星から離れて傾いた軌道を持っているため、土星の主要な衛星の中では唯一、衛星の上から土星の環を明確に見ることができる。その他の内側の主要な衛星からでは環をほぼ真横から見ることになるため、見ることが難しい。イアペトゥスから見ると、土星の見かけの大きさは 1°56' になり、これは地球から見たの見かけの大きさのおよそ4倍である。

イアペトゥスとタイタンの軌道周期は5:1に近く、5億年前から500万年前までの間は5:1の平均運動共鳴を起こしていた可能性がある[14]
物理的特徴

イアペトゥスの密度は低いため、組成の大部分は氷であり、20% 程度の少ない量の岩石を含んでいると考えられている[15]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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