アーミーナイフ(英: Army Knife)あるいはマルチツールナイフ(英: multi-tool knife)とは、ナイフを含むマルチツールであり、ツールナイフである。キャンピングナイフ、多機能ナイフ、マルチパーパスナイフ、十徳ナイフ(じっとくナイフ)とも呼ばれ、機能の数に応じて「○徳ナイフ」と呼ばれることもある。
戦闘には用いないが、軍隊で日用的な目的で使用することを想定して制式採用しているので「アーミーナイフ」という俗称も用いられるようになった。直訳すると「陸軍ナイフ」や「軍用ナイフ」になることから、戦闘にも用いられるものであると混同されることがあるが、近接戦闘(白兵戦)に用いられる戦闘用ナイフは「ファイティングナイフ (fighting knife)」と呼ばれ、日用品としてのアーミーナイフとは全く異なる。対照的に、台湾の「蕃刀」やグルカの「ククリ」などは鉈として用いる日用品的な性格と、戦闘用としての性格の両面を持つ。 軍隊向けの製品では、糧食を食べるためのナイフ・缶切り・栓抜き、小銃の分解整備など装備のメンテナンスに使用するドライバーやリーマーなどの機能がついたものが一般的であり、軍隊生活において必要となる工具を可能な限りコンパクトに持ち運べるようになっている[1]。ブレードは耐久性に優れたステンレス鋼製が多く高い強度を持ち、鏡面仕上げとなっている場合もある。開いたブレードを完全に固定するロック機構を持たない製品もある。 古代ローマの遺物と見られるものの中に、今日販売されている製品によく似た物が見られる[2]。 19世紀末、国民皆兵制をとるスイスで、今日のビクトリノックスやウェンガーがスイス軍の装備として製造を開始したのが発祥である。 現在では、大抵の軍隊において標準装備として様々なメーカーの製品が採用されているが、特にビクトリノックスのシェアが高いため「スイス・アーミーナイフ」という通称もある。スイス軍が採用している「ソルジャー・ナイフ」はドイツ、オランダ、ノルウェー、マレーシア、インドでも採用されている[1]。ウェンガーは2005年にビクトリノックスの傘下となっている[1]。
概要
一般向け製品
一般ユーザー向けにも、短期間の野外生活などのアウトドア活動に使う様々な機能、小道具をまとめたコンパクトなフォールディングナイフが製造・販売されており、キャンピング、ハイキング、釣り 等々で広く使用されている。釣り用の針外しや鱗落とし、やすり・鋏・虫眼鏡(太陽光を集めて火をつけることができる)・鋸・ペンチ・筆記用具・方位磁針・爪楊枝、発光ダイオード使用の懐中電灯やUSBメモリーなど、様々な道具が組み込まれている製品が販売されている。
メーカー
世界市場においてはスイスのビクトリノックスによるものが有名で[1]、アメリカのバック
歴史
スイス軍に1961年から2008年まで採用されていた旧モデルの「ソルジャー・ナイフ」[3]。