アーサー・ランサム(Arthur Ransome、1884年1月18日 - 1967年6月3日)は、イギリスの児童文学作家、ジャーナリスト。
『ツバメ号とアマゾン号』シリーズで知られる。カーネギー賞の第1回受賞者(1937年 Pigeon Post )。 リーズ市に生まれ、名門パプリックスクールのラグビー校を卒業。動乱期のロシアや中国で記者として活動した。ロシア滞在中にロシア革命が起こり、それを本国に伝えるうちにレーニンやトロツキーとも知り合った。イギリス政府からは親ボリシェヴィキとみられていたが、秘密情報部に情報提供していた[1]。トロツキーやグリゴリー・ジノヴィエフからはスパイの疑いをかけられていたが、1919年に開催された第三インターナショナル創立大会にも参加している[2]。 かつてオスマン帝国最大の実力者で、没落の果てに中央アジアで最期を遂げたエンヴェル・パシャの死を最初に世界に伝えたのもランサムである。その後、ロシア女性と2度目の結婚をしイギリスに戻るが、そこで『ツバメ号とアマゾン号』などのウォーカー家のモデルとなった一家(Altounyan家)と出会う。1929年(45歳の時)に『ツバメ号とアマゾン号』を執筆を始め、以降1?2年に1冊のペースで12の作品を書いた。英対外情報部MI6に所属していたことが伝えられている ⇒[1] ⇒[2]。 湖水地方のウィンダミアやコニストンで休暇での舟遊びの経験をもとにした『ツバメ号とアマゾン号』に始まる一連の作品。 海洋用語など、船の操作やその世界の用語、技術情報などが、児童文学の枠を越えるほどに本格的に出てきて、ヨットの好きな人たちには堪らないという部分も人気の1つになっている。
来歴
『ツバメ号とアマゾン号』シリーズ
1930年 Swallows and Amazons 舞台:カンブリア湖水地方
『ツバメ号とアマゾン号』上、下 岩田欣三/神宮輝夫共(訳)、アーサー・ランサム、〔スティーブン・スパリアー〕(挿絵)、岩波書店〈岩波少年文庫 〉1958年
『ツバメ号とアマゾン号』岩田欣三/神宮輝夫(訳)、アーサー・ランサム、寺島竜一、〔スティーブン・スパリアー〕(挿絵)、岩波書店〈アーサー・ランサム全集 1〉1967年 ISBN 4-00-115031-X
『ツバメ号とアマゾン号』神宮輝夫/岩田欣三(訳)、アーサー・ランサム、〔寺島竜一、スティーブン・スパリアー〕(挿絵)、岩波書店〈世界児童文学集 29〉1993年 ISBN 4-00-115729-2
『ツバメ号とアマゾン号』上、下 神宮輝夫(訳)、アーサー・ランサム(作・挿絵) 岩波書店〈岩波少年文庫 170,171〉2010年 ISBN 978-4-00-114170-2 ISBN 978-4-00-114171-9
1931年 Swallowdale 舞台:カンブリア湖水地方
『ツバメの谷』神宮輝夫(訳)、アーサー・ランサム(挿絵)、岩波書店〈アーサー・ランサム全集 2〉1967年 ISBN 4-00-115032-8
『ツバメの谷』上、下 神宮輝夫(訳)、アーサー・ランサム(作・挿絵) 岩波書店〈岩波少年文庫 172,173〉2011年 ISBN 978-4-00-114172-6 ISBN 978-4-00-114173-3
1932年 Peter Duck 舞台:英国ローストフト、南部、大西洋、カリブ海
『ヤマネコ号の冒険』岩田欣三(訳)、アーサー・ランサム(挿絵)、岩波書店〈アーサー・ランサム全集 3〉1968年 ISBN 4-00-115033-6
『ヤマネコ号の冒険』上、下 神宮輝夫(訳)、アーサー・ランサム(作・挿絵) 岩波書店〈岩波少年文庫 174,175〉2012年 ISBN 978-4-00-114174-0 ISBN 978-4-00-114175-7
1933年 Winter Holiday 舞台:カンブリア湖水地方
『長い冬休み』神宮輝夫(訳)、アーサー・ランサム(挿絵)、岩波書店〈アーサー・ランサム全集 4〉1967年 ISBN 4-00-115034-4
『長い冬休み』上、下 神宮輝夫(訳)、アーサー・ランサム(作・挿絵) 岩波書店〈岩波少年文庫 176,177〉2011年 ISBN 978-4-00-114176-4 ISBN 978-4-00-114177-1