アーケードゲーム基板
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アーケードゲーム基板(アーケードゲームきばん)とは、アーケードゲームに使用するプリント基板、またはそれに各種電子部品を搭載した状態の、入出力装置を除いたアーケードゲームシステム一式のこと。ゲーム用語で単に「基板」と言った場合、多くはこのアーケードゲーム基板のことを指す。「基盤」とするのは誤字。
システム基板

新しいゲームを作る度に基板を設計していてはコストがかかるので、多くの場合は主な回路を共通部分として使用し、ゲームによってプログラムROMを差し替えるなどして効率化を図る。このとき、共通して使用するベースとなる基板をシステム基板、またはマザーボードと呼ぶ。家庭用ゲーム機で言えば、システム基板がゲーム機本体、ゲーム部分がカートリッジやCD-ROMにあたる。

通常の基板が12万円から30万円程度なのに対して、ソフトのみの場合はおおよそ半額が相場であるため、基板部分が安価な場合は専用基板として販売したほうが利益率が高い。そのためシステム基板として販売される理由の1つとして、高機能な基板で導入コストは高いが、あとから高機能を生かしたソフトウェアを安価に供給するという宣伝がなされる。

ただし、人気作の場合は基板とセットでの発売日のほうが早く設定されるため、メリットがさほど受けられない場合も多い。また、システム基板で大ヒット作が出た場合、追加生産時のコストを抑えるため使用しない機能を省いた専用基板を作成し、原価を抑えることも行われる。

もう一つの理由はゲーム交換の簡便さと低コストを売りにしたものである。こちらは感覚的に家庭用ゲーム機に近いものであり、さほど高機能ではない場合もある。

システム基板を使用することによって開発コストを抑えることができる一方で、同時にシステム基板の性能以上を要求するゲームは開発できない。このため、コンピュータの性能上昇に伴って3?5年で新しいシステム基板を開発するケースが多い。また、無許可で複製するコピー業者が現れた場合に基板を変更する場合も多い。なお、新基板が開発された後でも、さほどスペックを要求しないゲームであれば旧基板のユーザーを対象に製作し、安価で販売することもある。

コピー対策の一つとしてドングルが採用されている。大型で設置に時間がかかるゲームの場合、筐体部分を稼働開始日より早くゲームセンターに到着するように発送し、ドングルのみを稼働開始日に到着するように発送するという手法が取られている。

初期のシステム基板は、基板に搭載したROMを直接交換する方式をとっていた。後年になりゲーム部分をサブボードとして供給する方式が普及した。更に後年になるとロムカートリッジ、CD-ROM等で供給する方式も登場している。

後述の互換基板以外の基板は単にプリントサーキットボード形式と呼ばれることもある。プリントサーキットボード形式の基板を採用したゲームはケイブの「怒首領蜂最大往生」が最後となっている[1]
互換基板

アーケードゲーム基板は、各メーカーの得意分野を生かすため、または家庭用ゲーム機との差別化のために、性能を重視した専用に近いハードを設計していた。それに対し互換基板では、家庭用ゲーム機の技術を応用し、基板の性能での差別化よりも価格面での有利さを生かすことに主眼を置いた。家庭用ゲーム機の性能が向上するにつれ、徐々に両者の性能差は小さなものとなっていった。

MVSとNEO-GEOは業務用と家庭用でハードウェアスペックが同一(初期の、メモリーカード対応タイトルではセーブデータも互換、ついで言えば初期タイトルにおいては業務用OP価格と家庭用の小売価格が同じ)という特殊な例である。

1990年代前半以降、大手メーカー各社は独自の3DCG基板を開発するが、ハードウェアの複雑化、性能向上の困難さにより基板が大型化・高価格化し、大型筐体などでしか活用できないものになっていた。その打開策として、高性能と低価格を兼ね備えて成功していた当時の家庭用ゲーム機の3DCG技術を、業務用基板に応用する道を選んだ。双方でアーキテクチャが共通している場合が多いため、アーケードから家庭用への移植が簡単になった。ただし、これが災いしてプレイヤーのアーケード離れと、ゲームセンター運営者のビデオゲーム離れを招いた。このために見込み販売本数を従来よりも少なく見積もることとなり、基板のコストダウンの効果をさほど受けることが出来なくなった。このため、市場縮小に伴いメーカーの設定する基板価格は高騰する一方である。

2000年代以降は、基板を独自設計することにコスト的なメリットが完全に無くなっており、PC互換で汎用OS搭載のゲーム基板が各社から発売されるようになった。DVD-ROMハードディスクで供給されるものが主流となっており、ハードディスクを採用してなおかつネットワークに接続しているゲームの場合は、ネットワークを介してゲームのアップデートを行う事が多い。
主な互換アーキテクチャ
ファミリーコンピュータ
任天堂VS.システム(任天堂)
セガ・マークIII
SYSTEM E(セガ)
メガドライブ
SYSTEM C(セガ)メガドライブ互換基板(データイースト)、High Seas Havoc(邦題・キャプテンラング)のアーケード版に使用。基板にSEGAのカスタムチップ類が搭載されている。
NEO-GEO
MVSSNK[2]
プレイステーション
SYSTEM10 / SYSTEM11 / SYSTEM12(ナムコ)、ZN-1 / ZN-2(ソニー/ソニー・コンピュータエンタテインメント)、GX700(コナミ)、GV999(コナミ)、TPSシステム(テクモ)、FXシステム / G-NETシステム(タイトー)
セガサターン
ST-V(セガ)
NINTENDO64
Aleck64(セタ)ミッドウェイ・ゲームズのクルージンUSAやキラーインスティンクトなどで、NINTENDO64の海外向けの仮称だったULTRA64とNINTENDOのロゴがデモで表示されるが、実際には別のアーキテクチャ上で動作する[3]
PlayStation 2
SYSTEM246 / SYSTEM256 / SYSTEMスーパー256(ソニー・コンピュータエンタテインメント/ナムコ)、2000年代のコナミ作品(『ポップンミュージック』シリーズ、『ダンスダンスレボリューション』など)で採用。 ※コナミは一部作品でPS2互換基板ではなく業務用に改造したPS2そのものを採用していた。
ドリームキャスト
NAOMI / NAOMI2 / SYSTEMSP(セガ)、ATOMISWAVE(サミー)
Xbox
Chihiro(セガ)
ニンテンドーゲームキューブ
トライフォース(ナムコ・セガ・任天堂)
PC/AT互換機パーソナルコンピューター
WOLFシステムTaito Type X / Taito Type X+ Taito Type X2(タイトー)、LINDBERGHRINGNuALLS(セガ)、System N2SYSTEM ES1(ナムコ)、eX-BOARD(エクサム)、SkoPRO(AMI、サクセス、スコーネック)、現在のコナミ製品(PCを採用したコナミ製品にはシステム基板名が定められていない)。Type X、RING、eX-BOARD、SkoPRO、コナミ基板はWindows系OS、LINDBERGH(BLUEは除く)、System N2、SYSTEM ES1、AP-3はLinuxを、WOLFシステムはMS-DOSを採用。LINDBERGH(BLUEのみ)、RINGはWindows XPを使用。SYSTEM ES2PLUS、ES3はWindows 7を、NuはWindows 8のOSを、ALLSはWindows 10を使用。
PlayStation 3
SYSTEM357(バンダイナムコゲームス)
Wii
Wii互換基板(カプコン) ※『タツノコ VS. CAPCOM』で使用[4]
PlayStation 4
アーケード用にカスタマイズしたPlayStation 4本体を『ディシディア ファイナルファンタジー』(スクウェア・エニックスコーエーテクモゲームス)に採用[5][6]
アーケードゲーム基板の一覧
アイレム(現アピエス)


アイレムM62システム

アイレムM72システム

アイレムM82システム

アイレムM92システム

アルゼ(旧 ユニバーサル販売)


AP-3

アイマックス


MACSシステム

IGS


PGMシステム

PGM2

PGM3

アタリ


Atari System 1

Atari System 2

G1

G42

GX2

Cojag

GT


Flagstaff

Phoenix

Seattle

Media GX

Vegas


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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