アヴァロン_(映画)
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この項目では、押井守監督の映画について説明しています。バリー・レヴィンソン監督の映画については「わが心のボルチモア」をご覧ください。

アヴァロン
監督押井守
脚本伊藤和典
製作ヤヌシ・チェフ
出演者マウゴジャータ・フォレムニャック
ヴァディスワフ・コヴァルスキ
イエジ・グデイコ
ダリュシュ・ビスクプスキ
バルテック・シヴィデルスキ
音楽川井憲次
配給 日本ヘラルド映画
A=フィルム・ディストリビューション
公開 2001年1月20日
2002年4月12日
上映時間106分
製作国 日本
ポーランド
言語ポーランド語
日本語
製作費6億円
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『アヴァロン』(Avalon)は、2001年公開の日本映画
概要

主にアニメ作品の監督を務める押井守実写に挑んだ作品であり、彼の劇場用の実写映画作品としては4作目に当たる。
あらすじ

近未来、「アヴァロン」という名のオンラインゲームが若者の間で熱狂的な支持を得ていた。プレイヤー達は、専用端末を介して仮想現実空間に接続し、単独またはパーティを組んで、実在の武器や兵器を用いて戦う。ゲーム中でランクに応じたミッションをこなすことで、現実世界で使える報酬を得ることが出来るが、ゲームから抜け出せずに「未帰還者」となる人間を生み出すこともあるため、過激な非合法ゲームとされていた。

「アヴァロン」の凄腕プレイヤー・アッシュは、かつては最強と呼ばれた伝説のパーティ「ウィザード」の戦士だったが、パーティが崩壊して以来、ソロプレイヤーとして「アヴァロン」に参加し続けていた。愛犬と暮らす自室と「アヴァロン」の仮想空間が、今の彼女の日常だった。

ある時、挑発的にもアッシュと同じ戦法でアッシュよりも速いクリアタイムを記録したプレイヤー・ビショップが現れた。その正体をつかめずにいたアッシュは、元「ウィザード」の盗賊・スタンナと再会し、「ウィザード」のリーダーだったマーフィーが、単独でクラスAのステージに現われるという隠れキャラクター「ゴースト」を追い、そのまま「未帰還者」となってしまったことを知る。アッシュは病院に赴くが、廃人となったマーフィーは何も語らなかった。「ゴースト」と「未帰還者」の関連性を探るうち、「アヴァロン」プログラムの供給者とされる「九姉妹」の名に行き着く。アッシュは「九姉妹」を騙って襲いかかってきたプレイヤー達から、「九姉妹」の正体が「アヴァロン」の管理者であることを知らされる。

やがてスタンナが「ゴースト」の出現条件を解いた。クラスAのステージをクリアした際、レベル12以上の司教=高位聖職者がパーティにいること。マーフィーはソロプレイヤーでありながら高位聖職者でもあったため、条件を満たしていたのだ。しかし戦士であるアッシュがそれまでの経験値を捨てて司教に転職し、さらにソロプレイヤーとして高位聖職者まで成長することは非現実的な話だった。現役の高位聖職者とパーティを組む必要があることは明らかだが、「ウィザード」のメンバーだったという過去がその障害になることをスタンナが指摘。アッシュは「九姉妹」との関係を疑いながらもビショップにパーティメンバーの招集を依頼した。

そして始まるクラスAでの戦闘。メンバーにはスタンナも加わっていた。アッシュ・スタンナ・ビショップたちはクラスA最強の敵を倒してステージをクリア、「ゴースト」との遭遇を果たす。

アッシュが一人でゴーストを倒すと通常とは異なる方法で別世界へ接続し、画面には「Welcome to Class Real」の文字。ゲームマスターに未帰還者の殺害を指示されたアッシュが建物から出ると、本編中常に淡い色だった世界が色彩豊かになり、活き活きとしたNPC達が生活する現代の世界が広がっていた。指示された場所へ行くと、Realを現実として生きるマーフィーと再開する。彼は殺し合いを望み、どちらかが死んだ後に「消滅」すればこの世界が現実でない証になると言う。そして、自ら敗北を選んだマーフィーは消滅し、アッシュは邪悪な笑みを浮かべるゴーストに銃を向ける。画面は「Welcome to Avalon」で幕を閉じる。
製作
背景

1990年代後半、押井はバンダイビジュアルが打ち出したデジタルエンジン構想の一作として『G.R.M. THE RECORD OF GARM WAR(ガルム戦記)』の脚本執筆・メカニックデザイン開発・モデリングデータ制作・パイロットフィルム制作等の準備を進めていたが、計画縮小により企画凍結となる。その次に作られた本作は、押井の他の多くの実写映画と同じく、凍結中の作品の「オトシマエ」、つまり書類上の企画を「落とさない」ために作られたものである。解散したデジタルエンジン研究所のスタッフが多く参加しているのもこのためであり、押井は本作を「飽くまでも『ガルム』の廉価版ではなく機能限定版」と称している[1]

題名の由来となっている「アヴァロン」とは、アーサー王伝説に登場する島の名前で、負傷したアーサー王モルガン・ル・フェによって運ばれた場所とされる。

この作品の公開に際して、押井は「すべての映画はアニメである」という持論を語った。実写として撮影しても、編集や後処理によってコントロールすれば、それはもうアニメである。デジタルでは特にそれが顕著である、と。また、押井は『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』『機動警察パトレイバー』『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』で語ってきたテーマ、「現実ではなくても、それがその人にとって気持ち良いものならば、それはその人にとっては現実ではないのか?」というテーマに沿って製作したことも明かしている。

そのために立てたコンセプトは「実写映像でアニメを作る。そのために加工しがいのある画を撮影する」ことであり、デジタル技術を駆使して、「レイアウト→絵柄→演技→色彩設計を何度も確認する」というアニメの手法を実写に持ち込む様にした[2]

アクション映画もしくはSF映画に分類されるが、押井が傾倒しているコンピューターRPGウィザードリィ』の要素が色濃く反映されており、登場人物の名称ならびに職名には、すべて『ウィザードリィ』に登場した用語が用いられている。即ち、押井版『ウィザードリィ』とも言える。

2009年12月、本作と地続きの世界観でオンラインゲーム「アヴァロン」の新しいフィールドを舞台にした押井監督による実写映画『ASSAULT GIRLS』が公開された。

後に、『アヴァロン』の元となった企画である『ガルム戦記』の制作も決定し、2015年に『ガルム・ウォーズ』として公開された。
デザイン

「ゲーム世界の兵器だから、多少の妄想は許されるだろう」「セルアニメで表現しようとしたら、闇討ち必至私刑当然のデザインも、3DCGだったら許される」「前々からの夢だった多砲塔戦車を動かしたい」というテーマでデザインが開始された[3]。メカニックデザインは世界観を設計するために脚本完成以前に開発が完了しているように急がれた[4]
撮影

日本ヘラルド映画等、日本の会社が製作しているため日本映画に分類されるが、すべてポーランド国内で撮影されている。このため、言語はポーランド語が用いられ、出演者も総てポーランド人の役者が配役され、日本人の役者は登場していない。

決定するまでに一番難航したのが撮影場所で、押井は「予算の都合上セットを組むわけにもいかないし、だからといって日本の見慣れた廃工場で撮影するのも違う」と意見した。その内に誰からともなく「ポーランドはどうだろう?」という意見がでて、一部のスタッフが既に資料集め・偵察・ポーランドのプロダクションとの交渉に赴いていた。次第に「もしかしたらヨーロッパの街は魅力的かもしれない」「『アーサー王伝説』が絡んでくるから、ヨーロッパで撮れることに越したことはない」と乗り気になった[5]

そして、人材・機材が揃っていて、現場で撮影できて、それが予算内に収まることが決め手となりポーランドに決まった。初めてのロケハンに行った時にはポーランド陸軍の協力も得られて、戦闘ヘリコプター「ハインド」と戦車を撮れるために押井は「もうここしかない!」と舞い上がった。2回目のロケハンでプロダクションの選定・デザインの発注を行った[6]

作中の銃火器や軍用車輌なども一部を除いてポーランド陸軍が運用する本物であり、エキストラとしてポーランド陸軍兵士が多数出演している。押井は、本物の重火器・戦車T-72・戦闘ヘリコプター「ハインド」が借りられる[2]のを理由に、それも作品のためというよりは純粋にマニアとして実機に触りたかった為に、ポーランド撮影を選択したという[7]


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