アンフェタミン
IUPAC命名法による物質名
IUPAC名
(±)-1-フェニルプロパン-2-アミン
臨床データ
胎児危険度分類
C(アメリカ)
法的規制
DEA スケジュールII(アメリカ)
クラスB(イギリス)
スケジュールIII(カナダ)
投与経路経口、静脈内投与、気化、吸入、坐剤
薬物動態データ
生物学的利用能4 L/kg; low binding to plasma proteins (20%)
代謝肝臓
半減期10–13時間
排泄腎臓; significant portion unaltered
識別
CAS番号
300-62-9
アンフェタミン(英語: amphetamine, alpha-methylphenethylamine)とは、間接型アドレナリン受容体刺激薬として、メタンフェタミンと同様の中枢興奮作用を持つ[1]。アメリカ合衆国では商品名Adderallで販売され、適応は注意欠陥・多動性障害 (ADHD) 及びナルコレプシーである。強い中枢興奮作用と精神依存性、薬剤耐性がある[1]。向精神薬に関する条約の付表II、日本の覚醒剤取締法ではフェニルアミノプロパンの名で覚醒剤に指定されている。日本で薬物乱用されている覚醒剤は、本剤ではなくメタンフェタミンである[2]。
密造と薬物乱用がヨーロッパで横行し、主にフェニルプロパノールアミンから合成した硫酸アンフェタミンの形で出回っている。さらに、アメリカ合衆国、イギリス、オーストラリア、カナダなどの国々では、ナルコレプシーやADHDの治療に用いられるため、処方されたアンフェタミンが横流しされ、高等学校や大学で最も頻繁に乱用される薬剤のひとつとなっている。
化学)がベルリン大学で初めて合成した。アンフェタミンは光学異性体を持ち、レボアンフェタミン(L体)とデキストロアンフェタミン(D体)に光学分割することができる。アンフェタミンは多くの向精神薬の母体骨格であり、MDMA(エクスタシー)やメタンフェタミン(N-メチル誘導体)などを含む化合物群を構成する。アンフェタミン自体は、フェネチルアミンの誘導体である。
古くは硫酸 rac-アンフェタミン(rac- はラセミ体であることを示す)として合成されていた。アメリカ合衆国では rac-アンフェタミンを主成分とする製剤はもはや製造されていない。今日では大部分が硫酸デキストロアンフェタミンの形で用いられている。注意欠陥障害にはアデラル(英語版) (Adderall)、デキセドリン (Dexedrine) もしくは後発医薬品がしばしば用いられ、これには rac-アンフェタミンと D-アンフェタミンが硫酸塩とサッカラートの形で、D体とL体が 3:1 の比になるように含まれている。