アンデス山脈
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アンデス山脈

南米の地形 太平洋岸と平行に走るアンデス山脈
所在地

アルゼンチン

 チリ

ペルー

ボリビア

エクアドル

ベネズエラ

 コロンビア

位置.mw-parser-output .geo-default,.mw-parser-output .geo-dms,.mw-parser-output .geo-dec{display:inline}.mw-parser-output .geo-nondefault,.mw-parser-output .geo-multi-punct,.mw-parser-output .geo-inline-hidden{display:none}.mw-parser-output .longitude,.mw-parser-output .latitude{white-space:nowrap}南緯32度39分10秒 西経70度0分40秒 / 南緯32.65278度 西経70.01111度 / -32.65278; -70.01111座標: 南緯32度39分10秒 西経70度0分40秒 / 南緯32.65278度 西経70.01111度 / -32.65278; -70.01111
最高峰アコンカグア(6,960 m
延長7,500 km
幅350–750 km
プロジェクト 山
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アンデス山脈(アンデスさんみゃく、スペイン語: Cordillera de los Andes)は、主に南アメリカ大陸の西側に沿って、北緯10度から南緯50度まで南北7500キロメートル (km)、幅750 kmにわたる世界最長の連続した褶曲(しゅうきょく)山脈である。山脈はベネズエラコロンビアエクアドルペルーボリビアアルゼンチンチリの7カ国にまたがる。最高峰はアコンカグア(6960メートル 〈m〉・一説には7021 m)で、6000 mを越える高峰が20座以上そびえ立っている。山脈が現在の姿になり始めたのは白亜紀で、その後現在まで太平洋プレートナスカプレートと南米大陸のぶつかり合いで隆起し、場所により異なる構造運動を受けて大きくなったと考えられている。
地質4つの火山帯

上記のように海洋プレートの沈み込み帯の上側に乗った大陸プレートが、海洋プレートからの圧力を受けて隆起してできたと考えられている。この構造は日本列島とよく似ており、沖合には沈み込み帯に由来する海溝が存在し、山脈上にはたくさんの火山が噴出し、海溝周辺では度々チリ地震などの大きな地震が起きている。現在でも火山活動は活発であり、1985年にはコロンビアにあるネバドデルルイス火山の噴火による火山泥流が麓のアルメロの街を直撃し、人口2万8700人の約4分の3にあたる2万1000人が死亡する大惨事となるなど、災害が多発している。標高が非常に高いため、高山の頂上付近には氷河が発達していることも多い。しかし、近年これらの氷河は縮小傾向にあり、ペルーでは1970年以降2014年までに氷河の40 %が失われ、最も減少率の高かったパストルリ氷河においては氷河の52 %が失われていた[1]。同じくエクアドルにおいても、1980年代末に92平方キロメートル (km2) あった氷河が2010年には42 km2にまで縮小した[2]
地理
北アンデス北アンデスボゴタ旧市街

アンデス山脈の始まりはベネズエラ北部、トリニダード島に近いカリブ海沿岸である。アンデス山脈は、ここからほぼ東西にベネズエラ高地として伸びる。ベネズエラの首都カラカスもこの高地の中に存在する高原都市である。カラカス周辺以西のベネズエラ高原は気候がよく人口稠密地域となっており、東から西にカラカス、マラカイバレンシアバルキシメトといった都市が点在する。やがてベネズエラ高地は南西に向きを変え、メリダ山脈となる。メリダ山脈はメリダサン・クリストバルといった都市がある。この山脈はコロンビアにも続き、コロンビア東部山脈となる。コロンビア国内のアンデス山脈はこの東部山脈のほか、中央山脈と西部山脈があり、このに3つの山脈が北から南へ並走する形となる。この3山脈間には深い谷が刻まれており、東部・中央両山脈間にはマグダレナ川、中央・西部両山脈間にはカウカ川がそれぞれ南北に流れ、両河川は合流したのちカリブ海へと注ぐ。こういった地形のため、ボゴタやメデリンといった主要都市から太平洋岸へと輸送を行うには4000 m級の山脈を1つまたは2つ越えなければならず、経済の大きなネックとなっている。また、こういった起伏に富んだ地形のため、コロンビアの治安は行き届いているとは到底言えず、各地にゲリラや武装勢力の跳梁を許す一つの理由となっている。

東部山脈にはベネズエラとの国境に位置するククタのほか、ブカラマンガトゥンハといった都市があり、中部にはコロンビアの首都ボゴタを擁するクンディナマルカ高原(スペイン語版)(海抜約2600 m)がある。中央山脈にも、主に中腹にコロンビア第2の都市であるメデリンや、マニサレス、アルメニア、ポパヤンといった都市があるが、西部山脈内には目立った都市はない。しかし、カウカ谷にはコロンビア第3の都市であるカリ市があり、この3山脈と間のマグダレナ・カウカ両河谷をあわせた地域はアンデス地域と総称され、コロンビア人口の大半が居住する経済の中心となっている。この3つの山脈は、コロンビア南部のコロンビア山塊(スペイン語版)で中央・東部両山脈が合流し、さらにコロンビア南端のロス・パストス山塊で西部山脈をも併せて、一本の太い山脈となる[3]。この地域にはパスト市がある。コロンビア山塊に位置するスアサ川(スペイン語版)流域のクエバ・デ・ロス・グアチャロス国立自然公園(スペイン語版)、マグダレナ川カウカ川カケタ川の水源があるプラセ国立自然公園(スペイン語版)とネバド・デル・ウイラ国立自然公園は1979年にユネスコ生物圏保護区に指定された[4]

エクアドルではアンデス地域はシエラ(山地)と呼ばれ、オリエンタル・オクシデンタルの両山脈に分かれて南へ伸び、エクアドルの首都キトクエンカなどの都市が位置する。キト盆地(海抜約2800 m)も古くからの集住地である。キトで赤道を越えるが、この付近には4000 mを越える稜線の上にチンボラソ(6267 m)や、世界最高の活火山であるコトパクシ山(5897 m)などたくさんの火山が噴出している。ペルーからエクアドルにかけての国境付近でアンデスはいったんやや高度が低くなる。ここまでは北アンデスとも呼ばれる。北アンデスには高原や肥沃な谷間が点在し、人口密度は高い。エクアドルは、このアンデス山地地方(シエラ)と、海岸地方(コスタ)の二つの地区の勢力が拮抗している。エクアドル南部のポドカルプス国立公園(スペイン語版)、ヤクリ国立公園(スペイン語版)とプラテアード丘陵生物保護区(スペイン語版)を含む一帯は「マキコンドル生物圏保護区」として2007年に[5]、カハス国立公園(スペイン語版)は2013年に[6]、首都のキトが位置するピチンチャ県一帯は2018年にそれぞれユネスコ生物圏保護区に指定された[7]。カハス国立公園は2002年にラムサール条約登録地となった[8]
中央アンデス中央アンデス
コロンビア南部からエクアドル、ペルー、ボリビアのアルティプラーノにかけてポトシ市とセロ・リコ

ペルーに入るとアンデス山脈は、海岸沿いの西部山脈とアマゾンに面する東部山脈、そしてその中間の中央山脈に分かれ、それぞれ南北に並行して伸びる。ペルー北部においてはアンデスの幅は南部に比べればそれほど広くはなく、カハマルカなどの都市が点在するものの人口は多くない。ペルーにおいてもエクアドルと同じく、シエラとコスタの対立構造があるものの、ペルーでは海岸地方の開発が進んでおり、大都市の多くは海岸地方にありペルー人口の半分以上も海岸地方に居住するため、アンデス山地の経済比重は海岸部に比べ低い。この地域にあるアンカシュ県ワスカラン国立公園は1977年に[9]、オクサパンパ(スペイン語版)周辺のパスコ県フニン県雲霧林は2010年と2020年に[10][11]サン・マルティン県のグラン・パハテン(スペイン語版)周辺のリオ・アビセオ国立公園は2016年に[12]、フニン県とクスコ県にまたがるオクサパンパ周辺の雲霧林とマヌー国立公園をつなぐ緑の回廊一帯は2021年にそれぞれユネスコの生物圏保護区に指定された[13]

ペルー南部に入り、南緯15度以南では山脈の幅が広がり、南緯28度くらいまで最も幅の広い地区となるが、この中でも最も広くなるボリビアでも幅は600 km程度にしかならない。しかし、この地区のアンデスはペルー南部からボリビアにかけて、高度3500 mから4500 mあたりに広大で平坦な高原であるアルティプラーノ(海抜約4000 m)が広がっている。そこにはチチカカ湖ポーポー湖などの湖が広がり、ボリビアの首都ラパスやインカ帝国の首都だったクスコなどの大都市があって、ボリビアの人口の大半はこの高原部に集中している。その北も高原や肥沃な谷が広がっており、多くの人々が居住する。山脈が分かれた間には平坦な土地も多い。また、アンデスの西部山腹にはペルー第2の都市であるアレキパがある。チチカカ湖の北東部の国境一帯には東部山脈に属するアポロバンバ山地(スペイン語版)があり、1977年にユネスコの生物圏保護区に指定された[14]

ボリビアに入ると、西部にはアルティプラーノが広がり、首都ラパスのほか、20世紀に入り世界最大の鉱山としてボリビア経済を支えたオルロ、16世紀より世界最大の鉱山として栄えたポトシといった古い鉱山都市が点在する。アルティプラーノは南部に行くにしたがって乾燥していき、南西部には巨大な塩湖であるウユニ塩湖が広がる。一方、アルティプラーノの東に広がる東アンデス山脈地方は、高度がアルティプラーノよりも低く、地形は険しいものの肥沃な谷間が各地に点在し、農業生産力の高い地域である。このため、コチャバンバスクレなどの都市が生まれ、ボリビア経済を支える地域となってきた。とくにコチャバンバ盆地は、オルロやポトシへの食糧供給基地として繁栄してきた[15]。また、首都ラパスの北東に位置するユンガス地方は、アンデスの東麓にあたり、アマゾンから吹いてくる風の影響で暑く湿った気候となっている。このため霧が非常に多い。この地方も温暖なため農業生産力が高く、首都ラパスの食糧供給を担っている。しかし、地形は非常に険しく、とくにラパスとユンガスとを結ぶユンガスの道は重要な幹線であるにもかかわらず非常な悪路として知られており、2006年に新道が開通するまで年に100人近い死者が出ていた。
南アンデス南アンデス

南緯25度に近いユヤイヤコ山より南は南アンデスと呼ばれる。南アンデスは高原の広がる中央アンデスとは違い、地形は険しくなり主脈の上に平地はなくなる。南アンデスの主脈は、そのままアルゼンチンとチリとの国境をなす。ただしアンデスが太平洋岸に迫った山脈であるため、アンデス西麓を領土とするチリの国土は非常に細長いものとなっている。32度には最高峰アコンカグア山がそびえる。35度付近までは3000 m級の山が連なるが、それ以南はやや高度を下げる。チリの首都サンティアゴはこの付近の、西部山脈と主脈の間の構造平野に位置する。南緯42度以南はパタゴニア地方に入り、高度は2000 m程度であまり高くないが、寒冷な気候と西風による降水で氷河地帯を形成する。

アルゼンチンのサンフアン州のアンデス山脈にあるサン・ギジェルモ国立保護区(スペイン語版)は1980年に[16]カタマルカ州のガラン山(スペイン語版)付近のブランカ湖生物圏保護区(スペイン語版)は1982年に[17]フフイ州北部の高山湖でラムサール条約登録地でもあるポスエロ湖自然保護区(スペイン語版)は1990年に[18][19]、フフイ州とサルタ州のカリレグア国立公園(スペイン語版)、バリトゥ国立公園(スペイン語版)、エル・ノルガラル・デ・ロス・トルドス国立保護区(スペイン語版)、ポトレーロ・デ・ヤラ州立公園(スペイン語版)、ピンタスカヨ州立公園(スペイン語版)を含むユンガス(スペイン語版)地域は2002年に[20]チュブ州リオネグロ州ネウケン州を跨ぐパタゴニア地方北西部のアンディーノ・ノルパタゴニカ生物圏保護区(スペイン語版)は2007年に[21]、チリのラウカ国立公園(スペイン語版)、ラス・ビクニャス国立保護区(スペイン語版)とスリレ塩原国立記念物(スペイン語版)一帯のラウカ生物圏保護区(英語版)は1981年に[22]、コンギージョ国立公園(スペイン語版)とアルト・ビオビオ国立保護区(スペイン語版)一帯のアラウカリアス生物圏保護区(英語版)は1983年に[23]、南部アンデス温帯雨林(スペイン語版)は2007年に[24]、ネバドス・デ・チジャン山(スペイン語版)およびラ・ラハ湖(スペイン語版)は2011年にそれぞれユネスコの生物圏保護区に指定された[25]。一帯にはFestuca dolichophylla(英語版)、Laretia acaulis(スペイン語版)、パタゴニアヒバ、レンガ(英語版)、ドンベイミナミブナ(英語版)、ナンキョクブナ(英語版)などのナンキョクブナ属、チリマツなどのナンヨウスギ属シロガネヨシ属ホタルイ属、イグサ属(英語版)、デンモザ属(英語版)、マイフエニオプシス属(英語版)、トリコケレウス属(英語版)、オプンティア属、アウストロケドルス属(英語版)、ピルゲロデンドロン属(英語版)などの植物が生え、ビクーニャグアナコビスカッチャキツネ、ペルーケナガアルマジロ(英語版)、ピューマアンデスネコジャガーアメリカバク、ペルーゲマルジカ(英語版)、ゲマルジカ(英語版)、オセロットオナガカワウソチリカワウソ、クチジロペッカリー(英語版)、フサオマキザル、コロンビアハナナガヘラコウモリ(英語版)、アンデスリス(英語版)、オマキヤマアラシ(英語版)、フタイロオマキヤマアラシ(英語版)、シャカイツコツコ(英語版)、ダーウィンレアフラミンゴなどの動物が生息している[16][17][19][20][21][22][23][24]


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