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アンチロック・ブレーキ・システム(anti-lock braking system、略称:ABS)とは、急ブレーキあるいは低摩擦路でのブレーキ操作において、車輪のロックによる滑走発生を低減する装置である。 自動車の場合、通常の走行中はタイヤと路面は一定のスリップ率[注釈 1]以上にはならず、ほぼ滑らない。同時に、タイヤの転がる方向が限定されているがゆえに、ステアリング操作によって自動車の進む方向を制御することができる。通常のブレーキ操作においては、ブレーキローターないしはブレーキドラムとブレーキパッド/ブレーキシューの間に摩擦力が生じ、さらにタイヤと路面の間に摩擦力が生ずることによって車は減速し、ブレーキを解除しなければやがて止まる。 しかしながら、急ブレーキを掛けた場合や、路面が濡れていたり凍結しているような場合は路面とタイヤとの摩擦係数が十分に大きくなく、ブレーキによって生み出されるトルクが、路面とタイヤの間の摩擦力よりも大きくなることがある。この場合、タイヤはロックしてしまい、路面上を滑走(スリップ、スキッド)することになる。このときのスリップ率は100 %となる。 一旦タイヤがロックして滑り始めると制動距離が大幅に伸び、ステアリング操作が効かなくなり制御不能となるばかりか、前走車への追突や横滑り、横転などの重大事故の危険に晒されることになる。また、タイヤの踏面は路面との擦過面が集中して摩耗することになり、タイヤの寿命が短くなったり異常摩耗による振動が起こることもある。 これを防ぐために、ブレーキを一気に踏み込むのではなく徐々に踏み込み、滑り始めたら少し緩めて再び踏み込む動作を繰り返す運転技術(ポンピングブレーキ)がある。ABSはこれをコンピュータが自動的に行うシステム制御のことである。この作動時には、最大グリップが出るスリップ率に自動制御される。ただし、ABSが作動するのは摩擦係数の低い路面でそれなりに強いブレーキをかけた時である。 ブレーキ中に車輪の回転が走行速度から推定される値より低くなった場合に、ABSシステムは車輪がロックして滑走していると判断し、車輪のブレーキの液圧を下げ、車輪が回転を再開すると再度液圧をかけてブレーキを効かせるという動作を自動で繰り返すことにより車輪のロックを防ぎ、最大限の制動力を発揮する。これにより、強くブレーキをかけながら操舵が可能となるため、一般には「急ブレーキをかけながら、衝突回避のためのハンドル操作ができるシステム」であると簡潔に説明される。 ほとんどの路面でABS非装着車と比較して制動距離が短くなる一方で、積雪路や砂利道など路面によっては制動距離が長くなるという欠点もあるため、ABSを過信した運転は危険である。特に凍結路などの低摩擦路でABSが作動する場合、運転者の想像以上に制動距離が伸びる場合がある。 上記のような動作機構のため、ABS作動中はブレーキペダルに断続的な振動が伝わるが、ドライバーがこれに驚いてブレーキペダルを緩めると制動力が得られないため、躊躇せずペダルを踏み込み続けながらハンドルを操作して危険を回避する必要がある。なお、ブレーキバイワイヤーの機構を持つハイブリッドカーなどの一部では、ブレーキ踏力は単にゴムを圧縮するだけで、そのストローク量と速度から制動力を電子回路が演算してブレーキ回路を駆動するため、ABSの断続的な作動の反力がペダルに感じられないものがある。 一見ABSが作動するとは予想されない乾燥した舗装路面でブレーキをかける場合にも、マンホールの蓋、砂、道路標示、段差のある路面でABSが作動し、ブレーキペダルが振動することがある。 この構造概念図における動作は、次の通りとなっている。 制御装置 (1) は、この一連の操作を数ミリ秒という短時間で繰り返すため、運転者がポンピングブレーキを行うよりも高精度な制御が可能となる。 ABSの開発は、欧米の鉄道車両が最初であった。商品名をデセロスタットと称し、その構造は、輪軸端に小さなフライホイールとスイッチからなる簡便なものであった。動作原理は、通常、装置は車輪の回転と共に連れ回りしているだけであるが、ブレーキ時に車輪がロックすると、慣性によりフライホイールだけが回り、その間ケーシングのスイッチを開閉し、その動作により電磁弁を駆動してブレーキ用の空気圧を低減するというものであった。鉄道分野ではこれを機械式WSP(Wheel Slide Protection : 車輪滑走防止)やABS(Anti Brake-locking System : 車輪固着防止装置。ABSの略称はドイツ語の Antiblockiersystem から)と呼んだ。同様のものはその後、航空機用にも手がけられ、1950年代に登場したダンロップ社のマクサレット(Maxaret)システムがそのはしりである。このシステムは完全に機械式であり、航空機で使用された場合はさしたる問題もなく現在でもいくつかの機種で使用されている。 電気式WSPは、1964年(昭和39年)に新幹線0系電車にて初めて用いられた。開発は日本国有鉄道の鉄道技術研究所と神鋼電機であり、同研究所と日本エヤーブレーキ(後のナブコ、現在のナブテスコ)とが開発していた空圧式WSPとの性能比較試験を制して、その後急速に普及した。当時のWSPはコンピュータがなかったため、マグアンプ演算方式であり、電磁式WSPとも呼ばれている。一方、新幹線車両はその後、トランジスタ演算の電子式WSPとなり、その後デジタル演算式に進化した。今日的な3位置弁のABSとしては国鉄キハ183系気動車で初めて実用化され、1995年(平成7年)に登場したJR北海道キハ283系気動車では4チャンネル・マルチモード・マルチポジション弁(比例弁)・圧力併用フィードバック・個別制御といった高度なシステムへ発展した。現代では一般の通勤電車や気動車などにもフラット防止装置と呼ばれて広く普及しており、車輪の偏摩耗抑制や制動距離短縮、回生ブレーキとの電空協調制御(遅れ込め制御)や、TIMSやINTEROSなどの高度な制御伝送装置による編成単位でのブレーキ統括制御との組み合わせなども実現している。 日本国内の自動車で初めてABSが搭載されたのは、1969年(昭和44年)の開業間もない東名高速道路を走る高速バスに用いられた「国鉄専用型式」であり、新幹線と同じく国鉄の鉄道技術研究所の開発によるものである。ただし、電磁式WSPのコストが高かったため、一般には普及しなかった。日本国外の例では、1960年代に開発されたレース用のファーガソンP99
概要
技術
構造構造概念図
ブレーキペダルを踏むことによって、液圧発生装置 (2) から液圧配管 (5) を通じて液圧がブレーキキャリパ (ドラムブレーキではホイールシリンダー。以下カッコ内はドラムブレーキの場合。)(4) に伝えられ、ブレーキパッド(ブレーキシュー)がブレーキディスク(ブレーキドラム)に押し付けられて制動力が生じる。
制御装置 (1)は回転センサ(車速センサ)(3) により車輪の回転をモニターしており、モニターしている車輪の回転から推定される減速より低下した場合に車輪がロックして滑走していると判断し、液圧発生装置 (2) からの液圧を遮断、開放して制動力を下げるので、車輪はロックから復帰し再度回転を始める。
制御装置 (1) は回転センサ(車速センサ)(3) により車輪の回転を把握すると、再度油圧発生装置 (2) からの液圧をブレーキに伝え制動力を強くする。
歴史
鉄道車両
自動車