アンストッパブル_(映画)
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アンストッパブル
Unstoppable
監督
トニー・スコット
脚本マーク・ボンバック
製作トニー・スコット
ジュリー・ヨーン
ミミ・ロジャース
エリック・マクレオド
アレックス・ヤング
製作総指揮クリス・シアッファ
リック・ヨーン
ジェフ・クワティネッツ
音楽ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ
撮影ベン・セレシン
編集クリス・レベンゾン
ロバート・ダフィ
製作会社スコット・フリー・プロダクションズ
テレビシオン・エスパニョーラ
Canal+
Telecinco Cinema
配給20世紀フォックス
公開 2010年11月12日
2011年1月7日
上映時間98分
製作国 アメリカ合衆国
言語英語
スペイン語
製作費$100,000,000[1]
興行収入 $167,805,466[1]
10.8億円[2]
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『アンストッパブル』(原題: Unstoppable)は、2010年公開のアメリカ災害アクションスリラー映画。通算5回目となるトニー・スコットデンゼル・ワシントンのコラボレーション作品で、トニー・スコットにとっての遺作にもなった。

2001年5月15日オハイオ州で発生したCSX8888号暴走事故を題材に制作された。
ストーリー

ある日、ペンシルベニア州のフラー操車場で、アレゲニー・アンド・ウェストバージニア鉄道(Allegheny and West Virginia Railroad、略称AWVR)の39両編成・全長800mからなる最新ディーゼル機関車「777号(通称トリプルセブン)」と「767号」の重連での牽引による貨物列車が、作業員のデューイとギリースのミスにより無人走行状態となった。報告を受けた操車場長のコニーは、777号が低速での惰性走行(惰行)を行っていると考え、デューイとギリースに軌陸車で追跡を命じ、通勤中の操車場の溶接工主任ネッドに連絡して進路上のポイントを切り替えて777号を側線に入れ、安全に停止させるように指示する。ネッドはポイントで777号の到着を待つが、いつまで経っても777号は現れず、それどころか追跡していた筈のデューイとギリースが到着してしまい、実際には777号は動力がつながった状態(力行)でポイントを既に通過しており、ここで初めてコニーらは777号が猛スピードで暴走していることを知ることとなった。

一方、ペンシルベニア州南部のブルースター操車場では新人車掌のウィル・コルソンがベテラン機関士のフランク・バーンズと機関車1206号に乗車する。乗車早々ミスをしたウィルをフランクは咎め、ウィルは反発して険悪な関係となる。妻ダーシーとの別居について裁判所から重要な命令が下るその日を迎えており、仕事から注意を削がれていた。一方で、フランクは鉄道会社がコスト削減のために自分のようなベテラン達を次々と解雇整理する一方で縁故による新人採用を行っていることに不満を持っており、鉄道一家に生まれたウィルのこともよく思っていなかった。

同じころ、コニーは777号が19万リットルのディーゼル燃料に加え、発火性の強い有毒化学物質(溶融フェノール)を大量に積載していることを知る。更に、線路は「スタントンの大曲り」と呼ばれる有名な急カーブ箇所があるスタントンの市街地を通過するルートとなっていた上、カーブの外側には燃料集積所が広がっていた。このままでは777号が市街地で壮絶な脱線事故を起こして大きな被害が出るとし、コニーは上司で運行部長のガルビンに、777号が農村地帯にいる今の時点で脱線させ被害を軽減すべきだと進言する。しかし、目先の利益に囚われたガルビンは777号を止める手立てが他にあるはずだとしてその案を却下し、代わりに別の機関車を前から追突させて減速させ、ヘリから元海兵隊の機関士を777号に降ろす作戦を立案する。コニーは「無謀すぎる」と止めに入ったが、会社の利益を優先させるガルビンは強行するも、作戦は失敗し死傷者を出した上に、777号は止まらず暴走し続けた。

時を同じくして、フランクらの乗った1206号は前方から777号が迫っているため側線に入って回避するよう連絡を受ける。ところが、ウィルのミスによって余計な貨車を繋いだ1206号では指定された側線に収まらないことが判明した。フランクは正面衝突の危険を承知で、更にその先の修繕線まで1206号を進める。目前に777号が迫る中、間一髪で1206号は修繕線に入って衝突を回避した。フランクは家族のいるスタントンを危機から救うために、1206号を777号が牽引する貨車の最後尾車両の連結器へ逆向きに連結して強制停車させることを発案し、ウィルと共に777号の追走を始める。この動きを知ったガルビンはフランクらに勝手なことをするなと命令し、クビにすると脅すが、フランクらはガルビンを無視して独自に作戦を続ける。実はフランクには既に解雇通知が届いており、後18日で解雇される予定だった。

ガルビンは作戦がことごとく失敗し、ついに可搬式脱線器を用いた脱線作戦を認めるが、猛スピードの777号は脱線器を蹴散らして進み続ける。とうとうスタントンへの到着が迫ったという時、ついに1206号が777号に追いつきフランクの作戦を実行に移す。ウィルが連結器でケガを負いながらもなんとか連結は成功する。1206号のブレーキによって、777号のスピードが落ち始めたが、1206号のブレーキの効力が低下したことで再び加速を始める。そこでウィルが貨車の手動ブレーキを順次作動させる案を思いつき、フランクが実行に移すことで777号は減速をはじめ、スタントンの大曲りを脱線せずに乗り切った。フランクはそのまま列車の屋根を移動して先頭の機関室を目指す途中で行く手を阻まれてしまうが、ウィルがトラックで追いついたネッドの手助けで無事777号の機関室に乗り込んでブレーキをかけ、ついに777号は暴走をやめ、減速して停車した。

大惨事を回避した英雄として、ウィル、フランク、ネッドの3人はマスコミから賞賛を受ける。ウィルとフランクはそれぞれ家族との関係の修復も成功し、フランクの解雇命令も撤回された。
キャスト
フランク・バーンズ
演 -
デンゼル・ワシントン、日本語吹替 - 大塚明夫今作の主人公。ブルースター操車場に勤める機関士で勤続28年の大ベテランで、機関士としてかなりの技量と経験を持ち、周囲からの信頼も厚い。この日初めて組んだ新米車掌のウィルと共に旧式機関車1206号に乗り込み、スタントンから貨物をウィルキンスに運ぶ途中、今回の事故に巻き込まれる。会社からは777号の停止作戦には手を出すなと命令されるが、長年の勤務経験で培われた確かな知識と勘から、脱線による停止作戦の成否は絶望的と判断し、後方の連結器のナックルが開いていたのを見るや777号を停止させるべく貨車を外し、ウィルと共に1206号で線路を逆走し後を追う。新人であるウィルとはこの日が初顔合わせだが、ウィルの度重なるミスから口論が絶えず、険悪な空気となってしまうが、777号の追跡中にその仲は徐々に氷解していき、終盤には彼を認め「彼は変わった」と評価した。会社がコスト削減のために自分たちのようなベテランを次々と解雇させる一方で、縁故による新人採用を増やしていることに納得がいっておらず、会社からは物語開始の72日前に90日後の早期強制退職を宣告されており、18日後にはクビが言い渡される予定だった。また、4年前に妻のアリスと死別しており[3]、19歳のニコルと18歳のマヤという二人の娘との三人暮らしで、この日は上の娘であるニコルの誕生日だった。777号暴走事故を解決に導いた功績を認められ、強制退職が撤回され出世した。その後、円満退職という形でAWVR社を退職している。
ウィル・コルソン
演 - クリス・パイン、日本語吹替 - 阪口周平もう一人の主人公。ブルースター操車場に配属されて4ヶ月の新米車掌。フランクと共に1206号でスタントンから貨物をウィルキンスに運ぶ途中、今回の事故に巻き込まれる。鉄道一家の家庭に生まれ育った。妻ダーシーとの間で生じた些細な誤解が元で妻子と別居状態であり、兄の元に身を寄せている。家庭の問題のためにうわの空で作業を行い、本来1206号に連結するべきではない貨車を余分に5両連結したため(但し、ブルースター操車場に向かう車の車内でフランクに仕事内容を聞かれた際、ウィルはスタントンで1206号に貨車を25両連結すると答えているが、スタントンの亜鉛工場で貨車を連結して走り出した1206号の車内でフランクに運ぶ貨車の両数を聞かれた際、ウィルは貨車の両数を20両と答えており、これ以降のシーンで貨車について言及されていないため、矛盾が生じる)、最初に待避しようとした側線では編成が納まらなくなり、それより10km先の充分な長さのある修繕線を待避に使わざるを得なくなってしまい、1206号を777号との正面衝突の危機に陥らせた(機関車同士の衝突は回避したが、1206号が牽引していた貨車の最後尾車両は退避が間に合わず777号と衝突している)。新米でありながら鉄道一家の出身ゆえに優遇されていると周囲からは見なされており、大ベテランでありながら会社から退職を宣告されたフランクとは序盤から何かと口論になる(描かれ方からしてウィル本人はそう見られていることに嫌気がさしている様であり、車掌になる前は鉄道とは関係ない仕事を転々としていた)。さらに新米ゆえにミスを連発し、家庭の問題からくる苛立ちもあって険悪な雰囲気にまで発展。フランクが777号の後を追おうとした時も「自殺行為だ」と猛反対するが、彼から会社の行っている777号の停止作戦が絶望的なことと、故郷であり、家族の住むスタントンの町が大惨事に見舞われることを聞かされ、意を決して会社からの命令を無視してフランクと共に777号の追跡を開始する。その追跡の中でフランクと徐々に仲を氷解させていき、終盤には負傷しながらも1206号と777号の連結を成功させ、フランクをして「彼は変わった」と言わしめた。777号暴走事故の解決を機にダーシーとの仲は修復。その後、第2子が誕生予定であることが語られている。
コニー・フーパー
演 - ロザリオ・ドーソン、日本語吹替 - 本田貴子フラー操車場で操車場長を務める女性。デューイとギリースから777号の無人発車の報告を受けた際、彼らの報告から777号は緩やかに惰行していると判断し、デューイとギリースに追跡を、同僚のネッドに先回りとポイントの切り替えを指示するが、後に彼らの報告から777号は猛スピードで力行していることと、777号には補助の767号も含めて機関車2両分のディーゼル燃料に加え、牽引している貨車に毒性と発火性の強い溶融フェノールが大量に積まれていることが判り、史上最悪の貨物列車暴走事故が起こっていると判断して、州警察や鉄道会社に通報して事態回復に奔走する。若輩ながら操車場長としては極めて有能で、積み荷が判明した際、777号を停車させることは不可能に近いと判断し、人気の無い農地で脱線させる事を運行部長のガルビンに提案するが会社の損失を最小限にすることを優先され一蹴される。ガルビン発案の停止作戦では死者を出した上、彼女に無断で実行された脱線作戦も失敗し万策尽きたかと思われたが、フランクとウィルが777号を追跡している事を知り、クビを覚悟で会社の命令を無視し、彼らに希望を託す。777号暴走事故の解決後、当時の対応が上層部に認められ運行部長に昇進。


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