アングロ・サクソン
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アングロ・サクソン人(アングロ・サクソンじん、Anglo-Saxons)は、5世紀頃、現在のドイツ北岸からグレートブリテン島南部に侵入してきたアングル人ジュート人サクソン人ゲルマン系の3つの部族の総称である[1]。この中でアングル人が、イングランド人としてイングランドの基礎を築いたため、現在も英米などの英語白人をアングロ・サクソン人と呼ぶ[2]。このようにドイツ起源の民族であるが、現在のドイツ圏の国民をアングロ・サクソン人と呼ぶことは原則的にない。ただし、ザクセン王国は20世紀初頭までドイツ帝国内に存続しており、現在も「ザクセン州」「ニーダーザクセン州」が残っているため、ドイツの地域住民としてのザクセン人(サクソン人)という名称は今も用いられている。
歴史

409年ローマ帝国ブリタニアを放棄した後、現在のデンマーク、北部ドイツ周辺にいたゲルマン人が、グレートブリテン島に渡ってきた。彼らは先住のケルト系ブリトン人を支配し、ケルト文化を駆逐した。これが英国における最初のアングロ・サクソン人である。彼らの言葉が英語の基礎となった。

彼らはイングランドの各地に小王国を築いていった。7世紀頃には、イングランドは7つの王国(七王国)にまとまっていったが、9世紀初めには、ウェセックスエグバートのもとで、サクソン人のウェセックス王国が強大となって、イングランド全域を支配した。それ以降、一時期はデーン人に支配され、デンマーク王の下にあった。

アングロ・サクソン人はその後また、イングランドを支配した。これは1066年、ギヨーム2世(=ウィリアム1世)によるノルマン・コンクエストまで続いた。
名前の由来

アングロ・サクソンとは、「アングリアのサクソン人」という意味である[3]。アングリア(現デンマークの南部)は、元々は「アングル人の土地」という意味であったが、カトリック教会がこの地域を表す言葉として使用したため、後にサクソン人もこれを自称するようになり、地域名として定着した。
アングロ・サクソン諸国西暦400年代のユトランド半島からブリテン諸島への移住。
Jutes: ジュート人
Angles:アングル人
Saxons: サクソン人

英語国語公用語とする白人主流派の先進国であるイギリスアメリカオーストラリアAUKUS諸国)、カナダニュージーランドなどをアングロ・サクソン諸国と呼ぶ[4][5]。しかし言語がアングロ・サクソン人に由来しているだけで、歴史的なアングロ・サクソン人と現代のアングロ・サクソン諸国には血統的な関係が薄い(フランク人フランス人の違いと同じ)。アングロ・サクソン人の故地と見なされるイングランドでさえ、ユトランド半島スカンディナビア半島などのバルト海沿岸地域にルーツを持つデーン人ノルマン人グレートブリテン島の原住民であるブリトン人ケルト人)などの多様な民族が入り混じって形成された国家である。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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