この項目では、映画について説明しています。相対性理論+渋谷慶一郎の楽曲については「アワーミュージック (相対性理論の曲)」をご覧ください。
アワーミュージック
Notre musique
破壊された国立図書館でチェロを弾く人、1992年
監督ジャン=リュック・ゴダール
脚本ジャン=リュック・ゴダール
製作総指揮アラン・サルド
ルート・ヴァルトブルゲール
出演者サラ・アドラー
ナード・デュー
ジャン=リュック・ゴダール
音楽ジャン・シベリウス
アレクサンドル・クナイフェリ
『アワーミュージック』(仏語:Notre musique、「私たちの音楽」の意)は、2004年製作・公開、ジャン=リュック・ゴダール監督によるフランス・スイス合作の長篇劇映画である。 『愛の世紀』(2001年)以来3年ぶりのジャン=リュック・ゴダールの長篇劇映画である。同作の発表以降に起きたアメリカ同時多発テロ事件の現代世界を描く[1]。1992年(平成4年)に勃発したボスニア・ヘルツェゴビナ紛争をきっかけに、ヴェトナム戦争時の『ジェーンへの手紙』(1972年)と同一の手法で、1枚の報道写真をもとに2分の短篇映画『たたえられよ、サラエヴォ』(1993年)を発表して以来、10年を経て、ゴダールはボスニア・ヘルツェゴビナの首都サラエヴォの地に降り立った。 『カメラ・アイ』(オムニバス映画『ベトナムから遠く離れて』、1967年)のときにはヴェトナムに近づけず、『勝利まで』(1970年)のときにはヨルダンとパレスチナに密着したが、取材している相手の人物が途中で殺されてしまい完成できなかったというゴダールと戦争と映画の歴史がある。 本作はダンテ・アリギエーリの叙事詩『神曲』(1304年 - 1321年)と同様に、「王国1:地獄」、「王国2:煉獄」、「王国3:天国」の3部で構成されている。「王国1:地獄」は、現在と過去の戦争のドキュメンタリ映像とフィクション劇映画の戦闘シーンのアーカイヴ・フッテージが、『ゴダールの映画史』(1988年 - 1998年)以来の手法でモンタージュされたもの、「王国2:煉獄」は、サラエヴォに呼ばれ、おとずれたゴダールが、学生たちに2枚の写真の関係を語り、交流するドラマ、「王国3:天国」では、スイスの自宅にいるゴダールが、第2部で出逢った若い女性の訃報を受けて思い描く天国である。 「王国1:地獄」篇には、原爆投下直後の広島の映像のほか、北村龍平監督の『VERSUS』(2001年)のカットが含まれている[2]。 「王国2:煉獄」篇に登場する、ナード・デューが演じる女子学生オルガ・ブロツキーのキャラクターは、『中国女』(1967年)でレックス・ド・ブリュイン
概要
「王国3:天国」篇に登場するアメリカ兵が聴いているラジオは、1975年(昭和50年)に日本で製造された「ナショナルクーガ115」の海外輸出仕様製品、「パナソニック GX-600」である。ジル・ペクーが復興を手がけたスタリ・モスト、2004年復興後
本作には、ゴダールが本人として出演しているほか、ゴダールと同世代でスペインの行動派作家フアン・ゴイティソーロ、パレスチナ出身の詩人マフムード・ダルウィーシュ、フランスの哲学者ジャン=ポール・キュルニエ、フランスの小説家・彫刻家ピエール・ベルグニウ、フランスの建築家であり、ボスニア・ヘルツェゴビナ南部の都市モスタルで、本作の撮影当時スタリ・モストという橋の再建を手がけていたジル・ペクーが本人として、実名で出演している。同橋は本作の完成後の2004年6月23日に復旧工事が完成し、翌2005年には、ボスニア・ヘルツェゴビナ国内で初の世界遺産に登録された。インディアン・カンカンボの役で知られる舞台俳優フェルラン・ブラスも、本人の役でインディアン姿で登場する。
各国から多彩な人物が登場する本作は、ゴダールの話すフランス語を基調に、パレスチナ人のアラビア語、英語、イスラエルのヘブライ語、ボスニア・ヘルツェゴビナのセルビア・クロアチア語、スペイン語と6か国語で語られるポリフォニックな映画である。
ロケ地は、サラエヴォのほか、ゴダールの自宅兼工房ペリフェリアのあるスイス・ヴォー州ロール、レマン湖畔である。
スタッフ
監督・脚本・編集 : ジャン=リュック・ゴダール
撮影監督 : ジュリアン・イルシュ、ジャン=クリストフ・ボーヴァレ