アロサウルス
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アロサウルス
Allosaurus
生息年代:
中生代ジュラ紀後期, 155?145 Ma Pre??OSDCPTJKPgN
アロサウルスの全身骨格
地質時代
中生代ジュラ紀後期
分類

ドメイン:真核生物 Eukaryota
:動物界 Animalia
:脊索動物門 Chordata
亜門:脊椎動物亜門 Vertebrata
:爬虫綱 Reptilia
亜綱:双弓亜綱 Diapsida
下綱:主竜形下綱 Archosauromorpha
上目:恐竜上目 Dinosauria
:竜盤目 Saurischia
亜目:獣脚亜目 Theropoda
階級なし:テタヌラ類 Tetanurae
階級なし:カルノサウルス類 Carnosauria
上科:アロサウルス上科 Allosauroidea
:アロサウルス科 Allosauridae
:アロサウルス属 Allosaurus

学名
Allosaurus
Marsh1877
タイプ種
Allosaurus fragilis
Marsh1877
和名
異竜 (いりゅう)
その外の


A. europaeus
Mateus et al., 2006

A. jimmadseni
Chure & Loewen, 2020

アロサウルス(学名 Allosaurus、“異なるトカゲ”の意)は、アロサウルス科に属する恐竜の一属である。和名は異竜 (いりゅう)。
概要想像図

中生代ジュラ紀後期(約1億5,500万 - 1億4,500万年前)の北アメリカに生息していた大型肉食獣脚類である。1877年にアメリカ合衆国古生物学者オスニエル・チャールズ・マーシュがこの種を定義づける化石を初めて報告した。肉食恐竜としてはティラノサウルスと共に恐竜研究の興隆期からよく知られたものの1つであり、一般にも図鑑や学習書籍などを通して広く浸透している。また日本では、国内で最初の恐竜の骨格標本展示として1964年に国立科学博物館で標本が公開された。のち、2015年7月の地球館展示リニューアルに伴って1階に常設展示が始まった。

アロサウルスは二足歩行性で、鋭く大きな歯を多数備えた巨大な頭骨を持つ捕食者であった。平均的な全長(頭から尻尾の先端までの長さ)は8.5mで、12mに達したと推定される個体の化石の断片も発見されている。大きく強力な後肢(脚)と、それに比して小さな3本指を備えた前肢(腕)を持ち、長く重厚な尻尾で体のバランスを取っていた。アロサウルスの骨格図

「アロサウルス」という名称は分類学的には属名科名(上科を含む)に現れるが、特に断りがない場合は属名を示す(ちなみにアルファベットでの綴りは科名がAllosauridae、上科名がAllosauroidea)。いわゆる恐竜の中でも竜盤目獣脚亜目(以下、獣脚類)・テタヌラ下目カルノサウルス類のアロサウルス科に属し、マーシュの命名した最も著名なはアロサウルス・フラギリス(A. fragilis、ラテン語で“脆いもの”の意)である。この他にもアロサウルス科には数種が属するとされるが、分類の妥当性に関して議論中のものが多く、正確な数は一概には言えない。アロサウルスの化石の多くは北アメリカ大陸モリソン層(en:Morrison Formation)産だが、ヨーロッパ大陸ポルトガルからも産出している。またアロサウルスの一種である可能性のある化石がアフリカ大陸タンザニアでも発見されている。20世紀にはアントロデムス(Antrodemus)という学名で呼ばれた時期もあったが、クリーブランド・ロイド発掘地(en:Cleveland Lloyd Dinosaur Quarry)で発見された大量の化石の研究により、アロサウルスの学名が妥当であることが認められ、著名な恐竜の一つとして一般に知られることになった。

この「Allosaurus」の読み方であるが、多くは子音を一つ省いてアロサウルスと読まれる。また子音を発音してアルロサウルス、ll にアクセントを置きアッロサウルスとされる場合もある。[1]鋭い爪を持つ前足の骨格

アロサウルスはかつてモリソン層が形成された時代の食物連鎖の頂点であり、同時代に存在していた草食恐竜(ステゴサウルス等の鳥盤類アパトサウルス等の竜脚類)を捕食していたと考えられている。しかし、狩猟方法に関しては解明されていない点が多く、研究が続けられている。竜脚類の大型草食恐竜を集団で狩猟していたかのような想像図が描かれることがあるが、一方で共食いしていた跡が見つかっており[2]、アロサウルスが社会性を持っていたかどうかは議論の焦点となっている。狩猟における襲撃方法の通説は、茂みで待ち伏せし、その大きな上顎を振りかぶって奇襲を行っていたというものである。
特徴アロサウルスのスケール比較。左から、エパンテリアス(アロサウルスとごく近縁の恐竜)、最大級のアロサウルス、平均的なアロサウルス、“ビッグ・アル”(後述)を示す。

アロサウルスは大きな頭、短く太い首、長く重厚な尾、後肢に比べて短い上肢といった特徴を持つ典型的な大型獣脚類である。最も著名な種であるアロサウルス・フラギリスの平均的な全長は8.5m[3]で、最大級のアロサウルスの標本 (標本番号:AMNH 680)の推定全長は9.7m[4]と考えられている。アロサウルスの権威ともいえる古生物学者ジェームズ・マドセン(James Madsen)が1976年にまとめたモノグラフでは、骨の大きさの範囲から考えて体長は最大12m?13mになったのではないかと推測されている[5]。体重に関しては様々な意見があるが、1980年頃より出された見解はいずれもおよそ1トン?4トンの範囲内に位置しており[6]、2トン前後としている文献が多い。

明確な同定を行えないいくつかの大型化石がアロサウルスのものとされてきたことがあり、それらを含めると体の大きさに関する見解は少し複雑になる。例えばアロサウルスの近縁種と見られるサウロファガナクス(標本番号:OMNH 1708)は体長が10.9mに達し、'アロサウルス・マキシマス(A. maximus、“最大のアロサウルス”の意)としてアロサウルス属に含められることがある。ただし20世紀末の研究ではアロサウルスとサウロファガナクスは互いに別属であることが支持されている[7]。また、体長が12.1mに達するエパンテリアス(標本番号:AMNH 5767)もアロサウルス属の一種と考えている研究者がいる。
頭骨アロサウルスの頭骨ティラノサウルスの頭骨。アロサウルスより頭骨の間隙が少ないが、上部後方には両者に共通する筋肉が付着する小突起が見える。

アロサウルスの頭骨とは同サイズの獣脚類に比すると控え目な大きさであった。古生物学者グレゴリー・S・ポールの報告によると、体長7.9mと推定される化石の頭骨長が845mmであった[8]


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