アルミ箔(アルミはく)あるいはアルミホイル[1](英: aluminium foil)は、アルミニウムやアルミニウム合金でできた箔[2]。日本産業規格(JIS ジス)では厚さ200マイクロメートルつまり0.2 mm以下のものを「箔」と定義している[2]。一方、アルミニウムフォイル(aluminium foil)という呼び方は英語圏や米国の影響下にある国などで広く使われる。一般的には0.2 - 0.006 mm (0.02 - 0.0006 cm) 程度の厚さであり、さまざまな厚さのものが製造されている。 素材はアルミニウムもしくは比較的純度の高いアルミニウム合金であり、製造法は高速圧延である。 用途はアルミニウムの純度や厚さによって異なり[2]、また金属以外の素材と組み合わせて複合素材の箔にしている場合も、組み合わせる素材によって用途が異なる。
概説
用途、性質、機能
紙やプラスチックフィルムに比べて酸素や水蒸気といった気体を通し難い性質、ガスバリヤー性がある[3]。電磁波全般を遮断・反射させる性質があるので、電波を遮断・反射し、遮光性もあり光を反射する。表面に不働態皮膜を作るアルミニウムの性質から、長期に渡り表面の光沢が失われることがない。また柔軟なため数度の折り曲げ程度では断裂しない。はさみで切ると刃先に構成刃先(英語版)という現象が起き、一時的に切れ味が回復する[4]。なおアルミニウムはイオン化傾向が大きいため、もし口に含みさらに口内に他の金属がある場合は起電力によって特有のピリピリした感覚を感じるときがある。
家庭用
JIS規格では「厚さ0.006mm-0.2mmのアルミニウム圧延素材」と定義されているが、実際はやや範囲が広く0.2mmから0.005mmまでのものが作られており、家庭用アルミホイルでは0.015mm-0.02mmの厚さのものが販売されている[3]。家庭用は、製造工程の特性で薄膜にしたときに微細なピン・ホールが残り酸素が透過できるため、食材の酸化を長期間防止するには25μm (0.025mm) 程度のものが用いられる。 金属箔そのものは紀元前2600年の古代エジプトで金箔が作られ、19世紀ころまではヨーロッパで錫(ピューター)の箔が広く使われていたがこれはまだ高級品であった[5]。 その後、19世紀末から20世紀初頭にかけて、ヨーロッパでアルミの製錬が始まったころに手打ちによるアルミ箔作りが始まった。当時の手打ちのフォイルはシート状ではなく、フレーク(小さな断片)状のものだった[5]。 アルミ箔(アルミニウムフォイル)を最初に大量に製造販売したのは1910年、スイスのアルミ精錬会社 J.G. Neher & Sons とされる。それまでの食品保護などに用いられたスズ箔が、接触部分にわずかながらスズの金属食味、つまり金属の味を感じさせてしまうのに対し、アルミニウムならほとんど食味変化がないという利点があるので、アルミニウム製に置き換えられてゆくことになった。アルミニウムのエンドレス圧延の技術は1907年に J.G. Neher & sons と Dr. Lauber が開発に成功した。 (出典:日本のアルミニウム協会のWebサイト[6]) (出典:日本のアルミニウム協会のWebサイト[7])
歴史
用途
純度ごとの用途
純度99.3%以上のもの - 装飾、建材、包装などもっとも一般的な用途で使われている[2]。
マンガンを添加したもの - 容器の素材として、あるいはフィン(英: fin。配管や機械類などに用いるひれ状の金属板材)[2]。
純度99.7%以上のもの - おもに電線被覆(シールドケーブル)用
純度99.9%以上の高純度のもの - ほぼ電解コンデンサーの陽極用に限定されている[2]。
厚さごとの用途
厚さ6?15μmのもの - カップ麺容器の蓋、レトルト食品の袋、チーズの包装、バターやマーガリンの包装、キャラメルの包装、顆粒状の医薬品の分包、ホイルケース(弁当箱の中で惣菜の小分けなどに使われるヒダ状のアルミ箔加工品) など
厚さ15?50μmのもの - ヨーグルト容器の蓋、コーヒーポーション(コーヒーフレッシュ、ミルク代用品)の容器の蓋、錠剤・カプセル薬の容器
厚さ50?100μmのもの - 鍋焼きうどん容器、グラタン容器、アルミ皿、キッチンコンロまわりのアルミ用品。
産業分野ごとの用途
製菓、菓子製造 - チョコレート、チューインガム、ビスケット、ケーキ、アイスクリーム、羊羹[7](などの製品を包むため)
酪農関連食品製造 - バター、マーガリン、チーズ(などを包むため)。ヨーグルト(の蓋)[7]