アルミニウム合金製の鉄道車両
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アルミニウム合金製の鉄道車両(アルミニウムごうきんせいのてつどうしゃりょう)は、車体外板、内部構体をほぼ全てアルミニウム合金で製造した鉄道車両
利点と欠点

アルミニウム合金製の鉄道車両には次のような利点と欠点がある。
利点新幹線N700S系電車。廃車となった700系のアルミニウムを再利用している新幹線700系電車のアルミボディを再利用した東京駅のインテリア

車体外板・内部構体ともに耐食性アルミ合金を使用するため、オールステンレス車両同様に腐食に強い。

海浜部を走る神戸新交通8000型電車と同時期に登場し、同じく海浜部を走る大阪市交通局100系電車は、普通鋼製車体であった事が災いし、塩害により2001年までに全て廃車となったが、神戸新交通8000型電車は2009年まで運行されており、車体の構造が明暗を分けた格好である。


普通鋼製の車体に比べ大幅な軽量化を実現できる。またステンレス鋼製車体と比べても軽量化が可能である。

普通鋼と同様に連続溶接ができるため、車体の気密保持が充分に確保できる。特に気密性と軽量化の両方が重視される新幹線電車での採用が多く、2012年100系が全廃されて以降は営業運転に供される全ての新幹線電車がアルミ合金製となっている。

5000系、6000系アルミニウム合金を用いると、耐食性に優れるため、無塗装でも使用できる。さらに大型押出型材FSWを組み合わせると表面の仕上がり精度が向上するため、塗装前のパテ付けや研磨処理数を抑制しても優れた見栄えを得ることが出来る。

押出型材を使用することにより、ステンレス製車体に比べ車体設計と製造の自由度が大きく、複雑な形状を実現出来る。

大形の押し出し型材を用いると、部品点数の大幅削減が可能となり、接合線数を抑制できる、それに伴い、製作工数や、溶接歪を削減できる。

普通鋼製やステンレス製の車体と比べリサイクルしやすく、営団05系電車(第24編成)や東海道新幹線N700S系のように廃車車両から回収されたアルミニウムを再生利用して製造された車両もある。

新幹線700系電車の車体の一部は、東京駅一番街のインテリアとしてリサイクルが行われている。


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この節の加筆が望まれています。


普通鋼製やステンレス鋼製の車両に比べて、アルミニウムの単価の関係上、製造費が高額になる。そのため輸送密度の低い路線で使われる新車での採用事例は北陸鉄道6010系電車九州旅客鉄道(JR九州)の近郊形電車817系BEC819系)等、ごく少数に限られる。もっとも将来廃車解体したときに受け取るスクラップ価格も高額になるので、一概に欠点とは云い切れない部分もある。

アルミ合金のヤング率は炭素鋼やステンレスに比較すると三分の一しかないため、同じ断面で比較すると剛性が低くなり、車体の曲げ振動数が低くなるし、たわみも増加する。この対策として板厚を増やしたり、必要な断面二次モーメントを確保するための設計上の工夫が必要となる。

アルミ合金は鉄鋼に対し内部減衰が小さいため、固体伝播音が伝わりやすい、その為、台車から車体への振動伝達経路にはゴムブッシュを介在させたり、ガタのない結合としたり、細かな設計上の配慮が必要となる。

アルミ合金の融点は500?600℃と鉄鋼に比べて低いため、火災に際しては構体が溶融して形が無くなる可能性がある、その対策として床下に火源となる物がある場合、耐火壁を設けるなどの設計上の配慮が必要となる。

アルミ合金は鉄鋼に比較して耐弾性が低いため、万一の鋼製部品の飛散が想定される場合はステンレス板などの防護板を設ける必要がある。(国鉄301系電車の駆動装置たわみ板飛散事故に際して、破損したたわみ板がシングルスキンであった床板を突き破り車内へ飛び込み乗客が負傷した。この対策としてたわみ板上部床下面に防護板が追設された。)

ステンレス車ほどではないものの、普通鋼製の車両に比べて加工性が低く、製造後に先頭車化改造などのような車体形状を大きく変える改造が難しく、事故で破損した際の修理にも熟練を要する。このため、道路上を走行し接触事故の機会が多い軌道線(路面電車)における採用事例は、ドイツ・シーメンス製の広島電鉄5000形電車(GREEN MOVER)があるのみである。アルミ車を主流としている京阪電気鉄道京津線800系を普通鋼で製造したのは、併用軌道区間で自動車などと接触した際に修復の容易化を図るためでもある。ただし、鉄道線ではあるが特例として併用軌道区間を持つ熊本電気鉄道では、東京地下鉄から譲渡という形で01形03形を導入している。

鉄道線においても造形の自由度を高めることや、踏切事故対策として新製車ではJR北海道735系電車のように、改造車では東海旅客鉄道(JR東海)クロ381形10番台の改造部分のように前頭部を普通鋼製とした車両もある。


塗装を省略する場合、ステンレス鋼製の車両に比べて光沢が低く、汚れが目立ちやすい。無塗装で導入された東急7200系のアルミ試作車デハ7200とクハ7500はこの理由で、後にメタリックグレーの塗装を施した。同様に京都市交通局10系電車は妻面にステンレス板が貼られている。東京メトロでは、帝都高速度交通営団時代から定期的な車両表面の研磨(バフがけ)が行なわれている。

前述の汚れやすさから、排気ガスの影響を受けやすい気動車での採用例は少ない。実際に登場した車両ではガスタービン試作車である国鉄キハ391系気動車[1]事業用車JR東日本キヤE193系気動車「East i-D」、営業車両では原動機を搭載しない西日本旅客鉄道(JR西日本)の87系「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」の中間車[2]のみとなっている。


各国での採用
イギリス

本格的なアルミ合金製車両は1949年ロンドン地下鉄に世界で初めて登場し、1952年に大量採用されることとなった[3]

イギリス鉄道395形電車(日立A-train)

イギリス鉄道800形(日立A-train。最初の12編成は日立製作所笠戸事業所で、残り110編成は日立製作所ニュートン・エイクリフ(英語版)工場で製造される)

イギリス鉄道801形電車(日立A-train。日立製作所ニュートン・エイクリフ工場で製造される)

日本

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日本では、戦後直後の1946年(昭和21年)に、国鉄63系電車オロ40形客車の車体材料としてアルミニウム合金の一種であるジュラルミンを使用した例がある。


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