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この項目では、Al2O3で表されるAlの酸化数が+IIIの化合物について説明しています。AlOで表されるAlの酸化数が+IIの化合物については「酸化アルミニウム(II)」をご覧ください。
酸化アルミニウム(III)
識別情報
CAS登録番号1344-28-1
2977 °C [4]
水への溶解度溶けない
溶解度ジエチルエーテルには溶けない
エタノールにもほとんど溶けない
熱伝導率30 W・m?1・K?1[2]
屈折率 (nD)nω=1.768?1.772
nε=1.760?1.763
複屈折 0.008
構造
結晶構造三方晶系、hR30、空間群 = R3c, No. 167
配位構造八面体
熱化学
標準生成熱 ΔfHo?1675.7 kJ・mol?1[5]
標準モルエントロピー So50.92 J・mol?1・K?1[5]
危険性
安全データシート(外部リンク)Safety data sheet
EU分類非掲載
NFPA 704010
引火点なし (不燃性)
関連する物質
その他の陰イオン水酸化アルミニウム
その他の陽イオン三酸化ホウ素
酸化ガリウム
酸化インジウム
酸化タリウム
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。
酸化アルミニウム(さんかアルミニウム、英: aluminium oxide)は、化学式がAl2O3で表されるアルミニウムの両性酸化物である。通称はアルミナ(α-アルミナ)、礬土(ばんど)。天然にはコランダム、ルビー、サファイアとして産出する。おもに金属アルミニウムの原料として使われるほか、硬度を生かして研磨剤、高融点を生かして耐火物としての用途もある[6]。立方晶系のγ-アルミナは高比表面積を持つことから触媒として重要である[7][8]。 天然には、結晶がコランダム(三方晶系)として産出するほか、水和物がボーキサイトの主成分として存在する。ルビーとサファイアはコランダムの変種で、微量の金属イオンが混入することにより呈色し宝石として珍重される。ルビーはクロムが混入することにより深赤色を呈し、ルビーレーザーなどの用途がある。サファイアは鉄やチタンなどが微量混入し、赤以外の色を呈するコランダムである。 絶縁体、高熱伝導率(30 Wm?1K?1[2])のセラミック材料である。一般に結晶の状態で産出し、コランダムまたはα-酸化アルミニウムと呼ばれ、研磨材や切削工具の部品としての用途がある[6]。 酸化アルミニウムにおけるアルミニウムと酸素との結び付きは強く、ここからアルミニウムの単体を取り出すことは難しいが、アメリカ合衆国のチャールズ・マーティン・ホールとフランスのポール・エルーらはそれぞれ、共に電気分解を用いてこれに成功した(ホール・エルー法)。 カラムクロマトグラフィーにおいて、シリカ(二酸化ケイ素)が酸性のために充填材として用いることができないときに用いられることがある。ボーキサイトからアルミナを製造するには、カール・ヨーゼフ・バイヤー
産出
性質粉末状の酸化アルミニウム
誘電正接がほかの素材と比べ、極めて低いことから高周波への応用例がある。 融解塩電気分解でアルミニウムの材料とするほか、陶芸などのセラミックス材料としても添加される。また、研削材や砂まき装置等の高強度、高靱性、耐熱衝撃性を求められる分野や、自動車排ガス浄化触媒等の触媒の担体、歯科治療(インレー、クラウンなどの修復物・補綴物)などに広く利用される。また、工業用サンドブラストの研磨剤として利用され、医療用途でも使用されWHOのATC分類では、?瘡(にきび)の瘢痕を削り取る治療に用いられる。 ミクロン単位で球状に加工したアルミナは、ゴムや合成樹脂に添加することで放熱材料用高熱伝導フィラー、半導体封止材用フィラーとして用いられる[9]。 高純度の結晶鉱石は宝石として珍重される(サファイア、ルビー)。 高純度アルミナは、サファイアを使ったLEDの基板、リチウムイオン二次電池部材、半導体製造装置のセラミックス製部材などに、低ソーダアルミナは、液晶ディスプレイ用ガラスやICパッケージ、自動車プラグなどに使用される[10]。また、誘電正接がほかの素材と比べ、極めて低いことから、一部の高周波測定機やミリ波レーダー等の基板に使用される。しかし、回路パターンの形成法などがFR-4などの一般的なものと異なるため、製作所は違うことが多い。 かつて組成がAl2O3だと考えられていたβアルミナ(Na2O・11Al2O3)は、ナトリウム・硫黄電池の電解質に用いられる。 酸化アルミニウムにはAl2O3の化学式で表される酸化アルミニウム(III)の他に、AlOの化学式で表される酸化アルミニウム(II)および、Al2Oの化学式で表される酸化アルミニウム(I)が存在する。酸化アルミニウム(II)は高層大気中においてアルミニウム処理された手榴弾が爆発した際に気層から検出され[11][12][13]、星の吸収スペクトルからも発見されている[14]。酸化アルミニウム(I)は酸化アルミニウム(III)と金属ケイ素を真空条件下1800℃で加熱することによって得られる物質であり[15]、安定に存在できる温度領域が1050-1600℃であるため通常は気体として存在している[16]。
用途
合成法
硫酸アルミニウムなどの塩を1,200℃-1,300℃で直接熱分解して合成する。
塩化アルミニウムの蒸気に対して、酸素あるいは水蒸気とを1,000℃以上で反応させると粉末状のアルミナが生成する。
種類
アランダム (英: alundum) - 褐色溶解アルミナ。
結晶
γ?アルミナ(低温)- スピネル型
α?アルミナ(高温)- コランダム型
酸化アルミニウム(II)および酸化アルミニウム(I)
脚注^ “Fasertonerde - Compound Summary
^ a b ⇒Material Properties Data: Alumina (Aluminum Oxide)
^ P. Patnaik (2002). Handbook of Inorganic Chemicals. McGraw-Hill. .mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}ISBN 0-07-049439-8
^ Roew, Raymond (2009). “Adipic Acid”. Handbook of Pharmaceutical Excipients. pp. 11?12
^ a b Zumdahl, Steven S. (2009). Chemical Principles 6th Ed.. Houghton Mifflin Company. ISBN 0-618-94690-X
^ a b “ ⇒Alumina (Aluminium Oxide) ? The Different Types of Commercially Available Grades”. The A to Z of Materials. 2007年10月27日閲覧。
^ “ ⇒高純度アルミナ(タイミクロン)”. 大明化学工業株式会社. 2012年4月1日閲覧。
^ “ ⇒セラミックアカデミー”. 日本ガイシ. 2012年4月1日閲覧。
^ “球状アルミナ
^ ⇒http://www.sumitomo-chem.co.jp/products/basic_chemicals/
^ D. C. Tyte (1964). “Red (B2Π?A2σ) Band System of Aluminium Monoxide”. Nature 202 (4930): 383. Bibcode: 1964Natur.202..383T. doi:10.1038/202383a0.
^ D. C. Tyte (1967). “The dissociation energy of aluminium monoxide”. Proc. Phys. Soc. 92 (4): 1134. Bibcode: 1967PPS....92.1134T. doi:10.1088/0370-1328/92/4/339.
^ Johnson E. R. & Low C. H. (1967). “Further spectral observations of grenade glow clouds in the lower thermosphere”. Australian Journal of Physics 20: 577. Bibcode: 1967AuJPh..20..577J.