アルペス・ポエニナエ(ラテン語: Alpes Poeninae)またはアルペス・グライアエ(Alpes Graiae)は、古代ローマの属州の一つである。「アルペス」と名前の付く3つの属州の一つであり、現在のヴァッレ・ダオスタ州(イタリア)とヴァレー州(スイス)に位置していた。サラッシ族(Salassi)が住んでいたが、紀元前15年にアウグストゥス帝の時代にローマ帝国の属州となり、州都はアウグスタ・プラエトリア・サラッソルム(Augusta Praetoria Salassorum、現:アオスタ)に置かれた。
ポエニナエ(Poeninae)の名前が、ポエヌス(Poenus、ラテン語で「カルタゴ人」)と類似していたため、何人かのローマ作の作家が、第二次ポエニ戦争でハンニバルがアルプス越え(紀元前218年)で属州内のグラン・サン・ベルナール峠を通ったと推測した。
しかし、ティトゥス・リウィウスは、「Poeninus」のスペルが実際には「Penninus」と誤ったものであったとした。また、リウィウスは、ハンニバルがそのような北寄りの進路を取ったとは考えにくいとしている。
表
話
編
歴
前期ローマ帝国の属州(3世紀以前)
本土
イタリア
元老院属州
アカエア
アシア
アフリカ
ガリア・ナルボネンシス
キュプルス
クレタ・キュレナイカ(英語版)
シキリア
ヒスパニア・バエティカ
ビテュニア
ポントゥス(英語版)
ヌミディア
マケドニア
皇帝属州
アラビア・ペトラエア
アルペス(コッティアエ・ポエニナエ・マリティマエ)
カッパドキア(英語版)
ガラティア(英語版)
ガリア(アクィタニア・ベルギカ・ルグドゥネンシス)
キリキア
ゲルマニア(スペリオル・インフェリオル)
コルシカ・サルディニア(英語版)
シリア
ダキア
ダルマティア
トラキア
ノリクム
パンノニア(スペリオル(英語版)・インフェリオル(英語版))
ヒスパニア・タッラコネンシス
ブリタンニア
マウレタニア(カエサリエンシス・ティンギタナ)
モエシア
ユダヤ
ラエティア
リュキア・パンピュリア(英語版)
ルシタニア
皇帝私領
アエギュプトゥス
東方属州(115年 - 117年)
アッシュリア
アルメニア
メソポタミア
117年以前に存在した属州
ガリア・キサルピナ
イッリュリクム
コンマゲネ
ヒスパニア・キテリオル
ヒスパニア・ウルテリオル
上記は、ローマ帝国の領土が最大となった117年の属州。「東方属州」はトラヤヌス帝期にのみ存在した属州。