アルパイン・クライミング
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アルパイン・クライミング(: Alpine climbing)とは、急峻な山岳環境における移動をともなう身体活動[1]。さまざまなやり方のものを含めて指す用語であり、たとえばロッククライミングアイスクライミング登山、山岳トラベルなどを指しうる[1]

Alpine climbing アルパイン・クライミングという用語は、スポーツクライミング(つまり競技化したロッククライミング)やインドアクライミングと区別・対比されている用語であり概念である[1]。つまり、競技化したりするなどということはせずに本物の山岳(自然の山岳。人工壁などではない本物の山岳)の急峻な場所をよじ登ることをアルパインクライミングとまとめて呼んでいるのである。

一般的には山頂をめざして登ることや、ひとつの岩壁を登り切ることなどを目指して行われている。

近年のアルパインクライミングは、「ノンボルト」「スピード」「フリー」を意識して行われている。かつて初登に1週間や数日を要したルートも数十時間で再登されることも多い。また人工のセクションやピッチグレードがM7クラスのルートもフリーを意識して登られている。@media all and (max-width:720px){.mw-parser-output .mod-gallery{width:100%!important}}.mw-parser-output .mod-gallery{display:table}.mw-parser-output .mod-gallery-default{background:transparent;margin-top:.3em}.mw-parser-output .mod-gallery-center{margin-left:auto;margin-right:auto}.mw-parser-output .mod-gallery-left{float:left;margin-right:1em}.mw-parser-output .mod-gallery-right{float:right}.mw-parser-output .mod-gallery-none{float:none}.mw-parser-output .mod-gallery-collapsible{width:100%}.mw-parser-output .mod-gallery .title,.mw-parser-output .mod-gallery .main,.mw-parser-output .mod-gallery .footer{display:table-row}.mw-parser-output .mod-gallery .title>div{display:table-cell;text-align:center;font-weight:bold}.mw-parser-output .mod-gallery .main>div{display:table-cell}.mw-parser-output .mod-gallery .gallery{line-height:1.35em}.mw-parser-output .mod-gallery .footer>div{display:table-cell;text-align:right;font-size:80%;line-height:1em}.mw-parser-output .mod-gallery .title>div *,.mw-parser-output .mod-gallery .footer>div *{overflow:visible}.mw-parser-output .mod-gallery .gallerybox img{background:none!important}.mw-parser-output .mod-gallery .bordered-images .thumb img{outline:solid #eaecf0 1px;border:none}.mw-parser-output .mod-gallery .whitebg .thumb{background:#fff!important}

アイガー北壁でのアルパイン・クライミング



人数・方法

アルパインクライミングは、2人かそれ以上のパーティを組んで行われることが多いが、単独で行われることもある。

2人の場合、お互いにロープで結ばれた状態で、片方がリードしている間はもう片方がビレイ(確保)する隔時登攀(スタカット)が行われるが、簡単なところや、雪の斜面でビレイの意味が無いような場合は、2人が同時に登る同時登攀(コンテニュアス、通称コンテ)が行われる。コンテ行動時も、リードが中間支点を設置し、ロープを通すことによって、ある程度の安全性は保たれる。

前進手段の限定度合いによって二つの選択肢がある。
フリークライミング

近年では、登る手段の基本はフリークライミングである。積雪期は「アイゼン手袋」の状態で登られることが多い。
人工登攀

どうしても手足、あるいはクランポンやバイルでは突破できない場合、カムやナッツ、ピトンやフックといった人工物をセットして、それにあぶみ(縄ばしご)をかけて登る人工登攀で突破することになる。ボルトは打とうと思えば何処にでも打てるため、かつては直線的にボルトを連打したルートが量産されたが、近年ではそういったルートづくりやそれを使った登り方は批判・否定される傾向にある。

なお先鋭的なクライマーの間でも、例外的にはボルトを使ってもよしとするのか、それともどんな場合でも一切使わないのか、状況によっては使うのを許すとしたらどういった場合なら許容され得るとするのか、といったことに関しては論争がある。ボルトは消し去るべきだという者もいれば、ルート中の一部ならOKではないか、といった意見もある。また、人工的手段を用いた場合、Aで表記されるグレードをつける。A0はピトンを足場にしたり、ヌンチャクをつかんで登った場合などに示される。あぶみを用いた本格的な人工登攀は、墜落予想距離によりA1からA5までの表記で示される。

登る壁の状態によって幾つかの分類がある。
アイスクライミング詳細は「アイスクライミング」を参照

積雪期に、頂上に至る合理的なルートとしてルンゼを選択した場合、もし氷が発達していれば、氷にアイスバイルとクランポンを突き刺して登るアイスクライミングが行われる。アイスクライミングは刺激的なクライミングでありそれ自体が興奮的で、かつスピーディに登攀でき、氷が厚ければアイススクリューによりインスタントかつ強固な支点が設置できるが、たいていの場合、地球温暖化の影響で氷が発達しておらず、薄く張った氷(ベルグラ)に肝を冷やしつつ登ることになる。
ミックスクライミング詳細は「ミックスクライミング」を参照

アイスクライミングでルート上の氷が途切れ途切れに出てくるような場合はミックスクライミングと呼ばれる、岩にクランポンやバイルを引っかけて登り、時折出てくる氷に乗り移るという感じである。

近年、北海道や東北では、近郊の岩場の大ハングにあらかじめ設置されたボルトを支点として用いる類のミックスクライミングが行われているが、これはどちらかと言えばフリークライミングにおける「ゲレンデ」に近く、「スポートミックス」と称される場合もある。

本来、アルパインクライミングといえるものは、氷河より上の標高帯で行われるもので、スコットランドにおけるベン・ネビス山の各ガリーの登攀がアルパインクライミングではなくウィンタークライミングと呼ばれるのもこの理由によるものである。日本でも、過去においてさまざまな議論がなされてきたのだが、現在最前線で登攀を行っているものの見解は、本来の意味に戻そうというものが主流である。日本各地から現役クライマーが集まって行われているウインター・クライマーズ・ミーティングのネーミングが、アルパインクライマーズ・ミーティングではないのは、そのような事情によるものである。
アルパインクライミングの用具
無雪期の場合

カミングデバイス(カム)やナッツといったトラディショナルクライミングでも使う道具の他に、ピトンやフックといった道具を使う場合もある。ピトンはカムやナッツの使えないリスにハンマーで叩き込む。打設状況によって支持力は大きく変り、ロストアローやアングルのような太めのピトンはばっちり決まれば相当な安心感がある。逆に、既成ルート上にはボロボロに錆びて薄くなった軟鋼ピトンが多く残置されており、これらのほとんどは墜落には耐え得ないことが多く、人工登攀の前進用としても信頼できるものではない。フックは文字通り岩に引っかけて使うフックで、主に前進用である。
冬季登攀の場合

無雪期よりも厚い衣類を着込む。多くの場合、化繊の下着に毛や化繊の中間着、一番外にゴアテックスなどで加工されたアウターを着込むスリー・レイヤード・システムが採用されるが、近年、ソフトシェルの登場などにより見直しが進んでいる。ウェアはハイカーからクライマーまで需要が高いので、移り変わりが激しく、「はずれのない」ウェアは雑誌や用品店の店員に確かめるのが一番であるが、ベストなレイヤードを目指すのであれば、ロックアンドスノーの連載記事であるハードコア人体実験室で著者の実体験と理論に基づいたレイヤードが紹介されている。直接クライミングに関わる品としては、アイススクリューやアイスピトン、スノーバーやデッドマンなどのプロテクションが夏用装備に加わる。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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