アルタイ諸語
話される地域東アジア、北アジア、中央アジア、西アジア、東欧
言語系統かつては語族と考えられたが、現在は言語連合との考えが優勢。
下位言語
チュルク語族
モンゴル語族
ツングース語族
日琉語族(含む場合あり)
朝鮮語族(含む場合あり)
ISO 639-2 / 5
アルタイ諸語(アルタイしょご、英: Altaic languages)は、ユーラシア大陸を横断する形で分布する言語連合である。かねて歴史比較言語学において共通点が指摘されてきた。歴史的にはウラル・アルタイ語仮説に由来し、一般にテュルク語族、モンゴル語族、ツングース語族からなりたつ。これらの諸言語が共通の祖先 (祖語) を持ち、アルタイ語族をなすという仮説がながらく提唱されており、1960年代までは広く受け入れられていた[1]が、21世紀現在、言語学界においてこの主張は議論の対象となっている[注釈 1][注釈 2][注釈 3][注釈 4]。
広義にはこれらに日琉語族、朝鮮語族(まれにアイヌ語族)も加えられ[1]、拡大アルタイ語族(英: Macro-Altaic languages)、また近年はマーティン・ロベーツらの造語で「トランスユーラシア語族(英: Transeurasian languages)」[6]と呼ばれる[7]が、これらに関しては常に議論の対象となっており、証明が受け入れられていた時期はない。「拡大アルタイ語族」からの逆成で、テュルク語族、モンゴル語族、ツングース語族を「縮小アルタイ語族(英: Micro-Altaic languages)」と呼ぶことがある。[8]
「アルタイ諸語」の名は、中央アジアのアルタイ山脈(阿爾泰山脈)にちなみ命名されたものである[9]。目次 アルタイ諸語であることが広く認められている言語グループには以下の3つがある。これらそれぞれの中での系統関係は実証されているが、これらの間の系統関係については決着を見てはいない。 これらの言語グループにはいくつかの重要な共通の特徴が見られる。 などの諸点である。 広義には、日琉語族(日本語、琉球語)と朝鮮語族(朝鮮語、済州語)もアルタイ諸語である。 上記特徴のうち母音調和だけは日本語と朝鮮語が欠いているものだが、朝鮮語については過去に明らかな母音調和があった(中期朝鮮語)ことが知られている。また、日本語についても、過去に母音調和を行っていた痕跡が見られるとする主張もある(有坂池上法則など)[11]。 アルタイ諸語を共通の祖語をもつアルタイ語族とする説は古くからあるが、母音調和を共通に行う3グループですら@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}数詞などの基礎語彙が全く違うため[要検証 – ノート]、少なくとも伝統的な比較言語学の手法によってアルタイ祖語を復元し、アルタイ語族の存在を証明することは困難である。 アルタイ諸語の研究は18世紀の北欧において開始され、のち20世紀前半にいたるまで北欧はアルタイ言語学の中心地のひとつであった。1730年、スウェーデンの外交官であり地理学者であったフィリップ・ヨハン・フォン・シュトラーレンベルク
1 構成言語と共通の特徴
2 アルタイ語族
2.1 研究史
2.2 同根語による比較対象と内的再構
2.3 子音対応表
3 語彙対応比較表
4 アルタイ系民族
5 脚注
5.1 注釈
5.2 出典
6 関連項目
構成言語と共通の特徴
チュルク語族(アルタイ語、トルコ語、ウイグル語、ウズベク語、カザフ語、キルギス語、トゥバ語など)
モンゴル語族(モンゴル語、オイラート語、ブリヤート語など)
ツングース語族(エヴェンキ語、満州語など)
母音調和を行う
膠着語である
原則としてSOV型(主語 - 目的語 - 述語)の語順をとる[10]
語頭にR音が立つことを嫌い、固有語にR音で始まる語をほとんど持たない
アルタイ語族
研究史
19世紀から20世紀にかけてツングース諸語・モンゴル諸語・チュルク諸語を研究する学者の多くは、これらアルタイ語族をフィン・ウゴル語派やサモエード諸語などのウラル語族とあわせて考えた(ウラル・アルタイ語族説)が、ロシアの歴史言語学者セルゲイ・スタロスティン(1953–2005)がそれを否定し、現在ではこれらの考え方は棄却されている。
1857年オーストリアの Anton Boller が日本語をウラル-アルタイ語族に位置づけ、1920年代にはフィンランドの言語学者グスターフ・ラムステッドやエフゲニー・ポリワーノフは、朝鮮語を同語族に分類した。ラムステッドのmagnum opus "Einfuhrung in die altaische Sprachwissenschaft " (アルタイ諸語入門、'Introduction to Altaic Linguistics') が出版された。