アリーズ
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『アリーズ』は、冬木るりかのファンタジー漫画。『月刊プリンセス』にて連載された。
概要

ベースのギリシア神話は、冥府の神―ハデスをメインに据えているがグノーシス主義とは違い、作者が独自に解釈・想像した設定となっている。初期は読み切りとして描かれたが、後に連載になってしまった為、1話と以後の話では設定に変更が出た。1990年には、1話の内容がVHSにてOVA化される。

プリンセスGOLD』2006年11+12月号より、続編『アリーズII?蘇る星座宮?』が連載。2作の登場人物達の前世を描く神代編が、2と同じ『プリンセスGOLD』にて2012年5月号から2014年4月号で、神代編『アリーズZERO?星の神話?』として連載された。
あらすじ

現代日本の男子高校生―天野 翔とそのクラスメイトの少女―佐倉 亜理沙は、憎まれ口の絶えない仲。だが彼らこそ、現代では歪んで伝えられているが実は相思相愛であったギリシア神話の冥府の王―ハデスとその正妃―ベルセフォネーが転生した姿だった。前世の記憶と能力を覚醒させ、かつてのベルセフォネーの今際の際の願い――転生後の再会と、誰よりも早く自分を見つけ出す――の通りに亜理沙を見つけ出した翔は、ただ静かに亜理沙が覚醒し、晴れて恋人同士に戻れるのを待っていた。だが亜理沙の周りには転生した神々が次々に集まり、その身柄を巡る物騒な事件が頻発するようになってしまう。翔は記憶が戻らぬままの亜理沙を、神代の復活とその覇権を目論む元ゼウス―泉 圭介の率いる一派から守って戦う事になる。

――遥か神話の時代。天上の支配者―ゼウスはある日、ベルセフォネーとその母神―デメテルにベルセフォネーを新たに娶ると告げていた。ゼウスだけを偏愛する母神―レアが、ベルセフォネーによってオリンポスの存続が左右されると予言したからだ。しかし度々訪れて来ていたハデスを慕う我が子の想いを知ったデメテルは、すぐにハデスと打ち合わせ、ベルセフォネーを冥府へ嫁がせる事に成功する。が、ゼウスは諦めず、伝令神―ヘルメスを使ってベルセフォネーを連れ去ってしまう。オリンポスへ攫われたベルセフォネーに、予言を知らぬゼウスの正妃―ヘラはいつものような浮気相手と思い込み、刃を手に襲い掛かった。結果、ベルセフォネー救出にオリンポスへ潜入して来てその場へ現れたハデスを庇い、ベルセフォネーは凶刃に倒れてしまう。件の願いをハデスに残しながら落命したベルセフォネーは、デメテルの手で牡羊座のアリーズとして星座になり、やがて現代に転生したのだ。前世同様、“ティターン神族の命運”も握ったまま…。

前世での弟のポセイドン―一条 鳴海やゼウスの息子のアポロン―紫城 輝に争いの女神―エリスなど、神代関係者の味方を増やしながらゼウスの魔の手を逃れ続ける翔達。辛くもゼウスを下したものの、今度は暗黒神―ディオニュソスが復活してしまう。そこで亜理沙の為にもベルセフォネ―時代の記憶を戻そうとギリシャを訪れた一行が知ったのは、記憶が故意に封印された事実だった。更に前世のデメテル―香月 ゆりえに襲われた翔が、今度はハデスとしての記憶と能力を喪失してしまう。翔に想いを寄せるようになっていた亜理沙は、僅かな記憶を頼りに翔を戻す為、冥府を目指すのだった――。
登場人物
主人公
佐倉 亜理沙(さくら ありさ) /
ベルセフォネー
- 川村万梨阿聖和学園高等部2年生の17歳。母―佐倉 沙織(その他(その他の項目参照))の影響で星占いが得意。学校でも『星座宮クラブ』という占いクラブを作っている。天真爛漫で好奇心旺盛な少女で、翔とは互いに苗字でやり合う喧嘩友達。前世に引き続き“復活の星”と呼ばれ、全能神―ゼウスらに付け狙われる。やがてゼウスらによる数々の不可思議な殺人・誘拐事件から翔が自分を護っていた事に気付き、次第に意識するようになっていく。そんな翔に報いようと必死に覚醒を志すが、総母神―ガイアに与えられた宿命を秘する為にかつての母神―デメテルに幾重もの封印を施されており、物語の終盤までベルセフォネーとして覚醒出来なかった。しかし覚醒後はデメテルと冥王―ハデスの悲恋を知るあまり、ハデスにとってベルセフォネー自体が身代わり――真実愛していたのはデメテルであると誤解してしまい、翔からの愛さえ信じようとはしなかった。前世ではデメテルの愛娘―ベルセフォネーであり、教母神―レアによる“ティターン神族再興のカギ”を握る者との予言から、オリンポスに引き入れようとしたゼウスに婚姻を迫られるが拒絶。その際にずっと慕っていたハデスへの想いも宣言した事で直ちに冥府入りし、一度は憧れのハデスと結ばれて救われたかに見えた。が、ゼウスの命を受けた伝令神―ヘルメスの嘘に誘い出された末、嫉妬に狂った祝福の女神―ヘラの手に掛かって死んでしまう。その後、デメテルの手により乙女座のヴァルゴではなく牡羊座のアリーズとなった。ゼウスの娘の1人でもある事から、弱いが風の力を操れる。
天野 翔(あまの しょう) / ハデス
声 - 井上和彦亜理沙のクラスメイトで、天文部の部長。亜理沙にしょっちゅう絡んでは憎まれ口を叩き合っている。両親はギリシャに海外赴任しており、マンションで独り暮らし。肩まで伸びたストレートの黒髪に顔半分がよく隠れており、無愛想さと相俟ってミステリアスな雰囲気を持つ。口が悪く、亜理沙を巡る戦いが激しさを増した事で人とあまり関わるのを好まなかったが、一度懐に入れた者には深い優しさと愚直なまでの誠実さを見せる。ハデス時代の経験からゼウスを嫌悪しているので、ヘラの愛やヘルメスの盲信を始めとしたゼウス配下の者達の心酔振りには、冷たい非難を浴びせている。対して前世での戦友―ヘカーテやレアの情愛は疑っておらず、共闘する鳴海にも強い信頼を寄せている。かつて程に人との繋がり・付き合いを厭う事もなく、やや人を信じ易くなっている模様。中学時代、転生したかつての父神―クロノスに襲われたのをきっかけにハデスとしての記憶と、雷と暗闇を操る能力に目覚めている。前世での冥王―ハデス時は、6人兄妹の長男。時の神殿で成長を遅らされながら幽閉されて育つが、クロノスの暗殺から逃げ延びた事で実の家族であったレアとゼウスに合流。生き延びる為に兄妹で力を合わせてクロノスを打倒するが、直後にレア殺害未遂の罪を着せられてしまい、ポセイドンと共に落ち延びる事になる。この事件により冥府へ下ったハデスは想い合っていたデメテルと添い遂げる事も叶わず、他の神々や争いに関わるのを厭って地上に出る事も減り、時折デメテルを訪ねるのみになった。しかしベルセフォネーたっての願いにより彼女をゼウスから守る為、后として迎えたが程なくしてオリンポスで彼女を喪ってしまう。物語当初は亜理沙に危害を加えるものは容赦なく殺したり罰を与える冷酷な性格に描写されていたが、次第に無益な争いは好まず、他人の為に自分を犠牲にするような性格として描かれるようになった。亜理沙の記憶が戻るまでは、亜理沙のことは「佐倉」と苗字を呼び捨て。
神代(前世)の関係者

一見すると普通の現代人として世界中に点在しているが、転生した古代ギリシャのオリンポスの神々。前世の記憶を思い出した者はほぼ以前程ではなくとも超能力に目覚めており、その能力も様々。特別なオーラを発していて、同じように転生した者には大体そうと知れてしまう。しかし、意図してオーラを隠す事も一部の神には可能。
ハデスの協力者
一条 鳴海(いちじょう なるみ) /
ポセイドン
声 - 難波圭一一条財閥の三男坊で20歳、大学生。覚醒が早かったらしく、豊富な財力も活用して多数の部下を神代関係者であるなしに関わらず駆使し、ゼウスに対抗する。当初は前世同様にゼウスの世界征服に取って代わるという野望を秘め、鍵たる亜理沙の謎を探ろうと翔達を助けるが、やがて翔の存在や生き方に大きな力を感じて本心から協力。現世では年上な事や前世での経緯から、翔に意見したり無茶を叱れる数少ない味方となる。前世の妻―アンフィトリテとの再会を果たすがレアによって人質にされてしまい、翔と戦うよう強要された事で一度は命を落とし掛けたものの、アンフィトリテが自身の命と引き換えに鳴海を救った事で、ゼウス達を止める為に甘さを切り捨てて戦う決意を固めた。ウェーブヘアに長身の優男風だが、抜け目がなくやや自信家で傲慢。また少々気障で、亜理沙を「お嬢さん」と呼ぶ。水を操り、自身の体を水に変えてどんな隙間も通り抜ける等の使い道も見せる。前世での海神―ポセイドン時は、好奇心旺盛なハデスの弟。ハデス達と時の神殿から脱出してクロノスを倒すが、直後にレアによってゼウスを主神に据えるのを脅かす存在として、ハデス共々謀反者に仕立て上げられてしまう。海に逃げ延びて海神になった後は、ハデスと違って恨みから度々ゼウスに争いを仕掛けては、撃退されていた。波打ち際で見付けたアンフィトリテに魅せられ、熱烈にアプローチするが素気なく躱されてしまい、イルカを贈った事でやっとその心を射止めて妻に娶る。
紫城 輝(しづき ひかる) / アポロン
亜理沙達の学園の後輩、中等部2年生。無邪気で悪戯好きだが、質の悪い事を邪気なく引き起こすトラブルメーカー。ゼウスからは後継者として猫かわいがりされているが本人は辟易しており、よく「おっさん」と扱き下ろしている。しかしゼウスへの甘えであって、嫌ってはいない。亜理沙やゆりえを気に入っており、基本的には翔達の味方。が、ゼウス復活後に前世での双子の妹―アルテミスが自分よりプロメテウスを選んだ事で、“神代が戻れば、アルテミスも昔に戻る”との甘言にオリンポス側へ奔った。ゼウスの真意を知ると決別、翔達と共に今の世界を守ると決心した輝は大きく成長し、アルテミスの恋も応援出来るようになる。明朗快活な太陽神―アポロンであった当時からアルテミスが大好きだが、恋愛感情なのかは不明。ゼウスに最も愛された後継者候補であった事から生母共々ヘラには邪険にされた為、アポロン自身もヘラを嫌っている。
斉藤 理恵(さいとう りえ) / エリス
前世で争いの女神―エリスだった、威勢がよくサバサバしたボブカットの少女。同化した相手の力を底上げする事が可能で、人の心に働き掛けて同士討ちさせる等の術も操る。ゼウスの娘の1人で、敬愛する前世の母のヘラの命を受けてディオニュソスと戦う翔に力を貸したが、行動を共にする内に翔の亜理沙への一途な想いを知りながらも翔に惹かれていく。ディオニュソス戦最後でディオニュソスの体に入り込み、自爆。現世名は作中で使われる事はなく、コミックス中書きのキャラ紹介でのみ記載。
ヘスティア
前世では6人兄妹の長女である炎の女神で、ハデスの妹の1人。さばけた口調を始め、クロノス討伐時も前線で戦った男勝りな女性だが、ハデスとポセイドンの追放から覇権争い等の揉め事には一切関与しないスタンスを取る冷静さも持つ。神代・現世ともベルセフォネー救出の為、珍しく助力を乞うたハデスに応え、オリンポスの聖火を通じてゼウスの結界を通してくれる。神代では処女神であったが現世では結婚し、リリという娘に恵まれている。
工藤 信彦(こんどう のぶひこ) / ミノース
声 - 子安武人翔の忠実な部下の、中学3年生。前世でハデスが冥府を統治してからの片腕で、現世でも命があれば即座に動く。が、その年齢から翔は使う事を躊躇っていたようで、あまり目立った活躍は描写されていない。
サーベル / ケルベロス
天野家の愛犬。ドーベルマン風の容姿で描かれているが、はっきりした犬種は明かされていない。子犬の頃に自力で翔の元へ辿り着いて飼い犬となり、現在はギリシアに海外赴任した翔の両親の元にいるが、翔への忠義心は特に篤く、クロノスに襲われた際には全面に出て翔を庇っている。前世でもハデスの愛犬で、三つの頭を持つ巨大犬であった。ハデスがケルベロスを連れてデメテルを訪ねる途中、幼いベルセフォネーを見付けて吠え掛かったのをきっかけに2人は出逢う。
ガイア
総母神。地球と融合しており、ハデスを一族の長にする積りでいたがレアがそれを曲げてゼウスを長に据えた為、神代は滅んだという。それを歪んだ歴史として忌み嫌い、人間に世界を任せて神代を完結させようとベルセフォネーを中心に神々を人間として復活させた。後の2以降では、神代でゼウスの支配を無理矢理に終わらせようと、冥府管轄の牢獄―タルタロスの囚人である旧神―グラディオーンを解放して戦を起こしたり、粗野なウラノスを転生の輪から外して暴走を招いたりしている。
ハデスの敵対者
泉 圭介(いずみ けいすけ) /
ゼウス


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