アメリカ第一主義委員会
[Wikipedia|▼Menu]

アメリカ第一主義委員会
The America First Committee略称AFC
設立1940年9月4日 (1940-09-04)
設立者ロバート・D・スチュアート・ジュニア
(英語版)
設立地コネティカット州ニュー・ヘイヴンイェール大学
解散1941年12月11日 (1941-12-11)
種類圧力団体
目的不介入主義(英語版)
第二次世界大戦への不参加
本部イリノイ州シカゴ
会員数(1941年)800,000 ? 850,000
会長ロバート・E・ウッド(英語版)
重要人物ヘンリー・フォード[1]
チャールズ・リンドバーグ[1]
ジェラルド・フォード[1]
リリアン・ギッシュ
チェスター・B・ボウルス[2][3]
 下部組織450支部
収入(1940年)$370,000
テンプレートを表示

アメリカ第一主義委員会(アメリカだいいちしゅぎいいんかい、The America First Committee, AFC)とは、1940年9月に設立された、アメリカ合衆国圧力団体である。アメリカの第二次世界大戦に対するいかなる形での関与にも反対し、アメリカの孤立主義(Isolationism)を支持する目的で設立された[1][4][5]。この団体の会員数は、最盛期には80万人を超え[6][7][1]、アメリカ全土に450の支部が設立された[8]。この団体の構成員には、共和党員民主党員、農民、実業家、学生、ジャーナリストに加えて、共産主義者反共主義者もいた。アメリカの孤立主義を後押しするこの団体には複数の著名人も委員として加入したが、反ユダヤ主義(Anti-Semitism)とファシズム(Fascism)に傾倒する発言も目立つようになり、これは物議を醸すこととなった[6][7][9][10]。この委員会は、「アメリカを戦争に参戦させた」としてフランクリン・デラノ・ルーズヴェルト(Franklin Delano Roosevelt)を厳しく批判し[6]、ルーズヴェルトによる大英帝国フランスへの支援にも反対した[7]。アメリカ第一主義委員会は、「いかなる外国勢力であれ、要害堅固なアメリカを攻撃することはできない」「イギリスナチス・ドイツに敗れたとしても、アメリカの安全保障が脅かされる心配は無い」「イギリスに軍事支援を実施すれば、アメリカは戦争に巻き込まれる」と主張した。彼らはルーズヴェルトがイギリスのために推進した駆逐艦基地協定(英語版)や武器貸与法(The Lend-Lease Bill)にも激しく反対したが、それらを阻止することはできなかった。

この圧力団体は、イェール大学の学生でのちに駐ノルウェー大使に就任するロバート・D・スチュアート・ジュニア(英語版)が率いる学生団体が立ち上げ、退役軍人のロバート・E・ウッド(英語版)が代表を務めた。フォード・モーターを創設したヘンリー・フォード(Henry Ford)もこの団体に加わった。ヘンリー・フォードは、「社会における諸悪の根源はユダヤ人の存在にある」と宣伝する刊行物を発行したが[1]、その反ユダヤ主義の発言が物議を醸し、脱退するに至った[11][9]ウォルト・ディズニー(Walt Disney)[1]、将来の合衆国大統領、ジェラルド・フォード(Gerald Ford)[1]飛行士チャールズ・リンドバーグ(Charles Lindbergh)もこの団体に加わった[1]。リンドバーグは「アメリカにいるユダヤ人が、アメリカに戦争への道を突き進ませた」「イギリス、ルーズヴェルト政権、アメリカ国内にいるユダヤ人が戦争を煽っている」[1]と非難した。1941年9月11日アイオワ州デモインにて開催された集会に出席したリンドバーグは演説を行った。リンドバーグは、ドイツでユダヤ人が受けている迫害に対して憫察の意を示しつつも、ユダヤ人は、何の利益ももたらさない戦争にアメリカを参戦させようとしている、と述べた。リンドバーグは、「この国にいるユダヤ人の団体は、戦争を煽るのを止めて、あらゆる手段で戦争に反対すべきである。『忍耐』とは、平和と力強さに依存する美徳のことだ。この美徳は、戦争や荒廃には耐えられないことを歴史が証明している。先見の明がある少数のユダヤ人はこのことを認識しており、戦争への介入に反対している。しかし、大多数はそうではない」[6]、「イギリスとユダヤ人は、我が国を戦争に巻き込みたがっている」[6][7]、「ユダヤ人がアメリカにもたらす『最大の危機』とは、『映画、報道機関、無線放送、政府に対して、彼らが及ぼしている重大な所有権と影響力のことだ」と発言した[6][7][1]。この演説により、リンドバーグは「反ユダヤ主義者」と呼ばれた[6][1]。リンドバーグによる言葉は、「アメリカ第一主義委員会は、反ユダヤ主義やファシズムに対する共鳴を公然と示している」との批判を強めることになった。歴史家のスーザン・ダン(Susan Dunn)は、「会員たちの大多数は、愛国心と互助精神に溢れ、努めて公正であろうとしただろうが、アメリカ第一主義委員会が反ユダヤ主義の汚点を払拭できる日が到来することは無いだろう」と書いた[9]


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:139 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef