アメリカ国道
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アメリカ国道路線図

アメリカ国道(アメリカこくどう)とは、アメリカ合衆国を走る一般道路および自動車専用道路のうち、特に米国全土を座標に見立て、番号を付けた幹線道路の総称。正式名称は United States numbered highways(アメリカ合衆国番号つき公道)で、一般に U.S. Routes や U.S. Highways と呼ばれる。以下特に混乱の恐れのない限り単に「国道」と呼ぶ。

米国には長距離走行用の道路網として国道の他に州間高速道路と呼ばれる道路網も存在する。後者は全区間が自動車専用の高規格道路であるのに対し、国道の方は大部分が一般道である。州間高速道路と国道との関係は日本の高速道路国道の関係と比較すると分かりやすい(但し州間高速道路に有料区間はほとんどない)。

各州の間で調整が行われるので「連邦高速道路、Federal Highways」と呼ばれることもあるが、1926年の開通以来一貫して州政府及び沿線の地方自治体が維持・管理を行っており、連邦政府が関わった事はない。道路番号と路線の選定は米国全州道路交通運輸行政官協会(American Association of State Highway and Transportation Officials、以下AASHTO)が一元的に行っており、連邦政府の関与はAASHTOにオブザーバーとして米国運輸省が参加するのみである。

南北方向に走る道路には東から西へ順に奇数の、東西方向に走る道路には北から南へ偶数の道路番号が付けられている。南北方向の道路の内、主要なものは下一桁が1番、同じく東西方向の主要道は下一桁が0番で終わっている。三桁国道は対応する二桁国道の支線(例えば321号線は21号線の支線)にあたるが、両者は必ずしも接続しているわけではなく、本線と支線が一度も分岐・合流することなく独立した路線を成していることもある。一部の路線では一つの路線番号に対して二つの異なる道路が割り当てられていることがある。こうした路線重複は大半が廃止されているが、一部には Alternate route(別線)ないし Bypass route(バイパス線)として現役のままの道路も有る(後述)。

国道の担ってきた地域間輸送の役割は後発の州間高速道路に取って代わられたが、地域内輸送は未だに国道に深く依存しており、今日でも路線網の拡張は続けられている。

国道網の整備以前はカナダにまで及ぶ自動車専用道(Auto trail)がその役割を果たしてきた。米国全州道路交通運輸行政官協会(American Association of State Highway and Transportation Officials、以下AASHO)の諮問機関「州間高速道路合同委員会、Joint Board on Interstate Highways」は全米レベルで主要道に番号を付けることにした。幾度か会合を経て1925年11月に最終報告書を米国農務省に提出し、承認された。その後各地方から路線選定に関する意見をまとめ、最終報告書に修正を加え、最終的には全米国道網(The United States Numbered Highway System)として1926年11月に認可された。認可を得るために、一つの番号に別線を設け、異なる地域を経由できるよう譲歩した路線が多かったが、混乱を招くとして、認可後の数年間、ASSHTOでは別線の廃止を目標に掲げた。その後国道網は拡張を重ねたが、1956年の州間高速道路の着工を機に、大部分が州間高速道路に昇格した。
道路網の詳細「:en:List of United States Numbered Highways」も参照  現行の道路標は黒地の正方形。 カリフォルニア州でのみ旧式の道路標が今なお使われている。

後発の州間高速道路とは異なり、特に道路規格は設けられていない。高速道路規格で敷設した部分もあるが、一般に沿線の市街地では、その街の目抜き通りとなっている場合が多い。ただし、今後新たに着工する部分についてはAASHTOの定める道路規格にほぼ準ずる事とされている。[1]

有料、有料トンネルはあるが、道路自体が有料になっている区間はほとんどない。AASHTOの勧告により有料道路でも特別路線(後述)としてであれば国道網に組み込むことができる。ただしその際にも「有料道路区間の起点終点を結ぶ既存の国道は、有料道路の開通後も、国道としての指定を解除しないこと」としている。[1] 国道3号線は有料道路 Everett Turnpike と路線を共有しているが、共有部分の Everett Turnpike は無料区間なので当基準を満たしている。ただし基準を満たさないケースも多く、上記基準を満たしているのは下記4区間のみ。[2]

51号線はイリノイ州内の一部区間で有料道路のJane Addams Memorial Tollwayと路線を共有する。旧51号線はイリノイ州道251号線として供用中(州道だが国道の別線扱い)。

278号線はサウス・キャロライナ州内の一部区間で有料道路のCross Island Parkwayと路線を共有する。旧道は278号通勤別線(U.S. Route 278 Business)として供用中。

412号線はオクラホマ州内の一部区間で有料道路のCimarron Turnpike と路線を共有する。旧道は64号線として供用中。

412号線は更に先でもCherokee Turnpikeと路線を共有する。旧道は412号観光別線(U.S. Route 412 Scenic)として供用中。

番号の振り方

先述のように道路番号が奇数の路線は南北方向、偶数の路線は東西方向に走る。そのうち101号線は十の位が「10」の二桁国道とみなされる。番号は東の1号線から西の101号線、南の2号線から北の98号線へと昇順に振られている。下一桁が0番か1番(および、国道2号線[3])の国道は主要道、5番の国道は準主要道とされてきたが、道路網の拡張と短縮を繰り返した結果、今日この区別はあまり厳密に守られてはいない。例として、国道6号線は番号上は主要道ではないにもかかわらず、1964年まで最長の国道であった(現在の最長は20号線)。州間高速道路の方は国道とは逆に番号を昇順に振っており、同じ地区に同じ番号の国道と州間高速道路が重なってしまわないよう調整されている。[4]

三桁の国道は二桁の国道に付属する別線である。例えば201号線は1号線とメーン州ブランズウィックで分岐、北進しカナダまで伸びる別線。別線が本線とは別方向に進むこともあり、分岐した後再び本線に合流しないものや、そもそも本線と一度も連絡しないようなものもある。百の位の数字は、本線の番号の振り方と同じで、北から南に、東から西に進むほど大きくなる。この点は州間高速道路とは異なる(州間高速道路の三桁番号は経度緯度にかかわらず、同一の地域内で環状路線は百の位が2, 4, 6, ...の順、放射路線は1, 3, 5, ...の順に振られる。このため別の州にある異なる道路に同じ道路番号がつくこともある)。60号線を例にとると、ミズーリ州で160号線、西へ下ったオクラホマ州で260号線、更に西進してテキサス州で360号線、ニュー・メキシコ州で460号線、560号線をそれぞれ分岐する。[5] ただ、本線の番号と同じで、再三路線の新設・廃止及び拡張・縮小を繰り返してきたため、本線と支線の関係が崩れてしまったところもある。例えば既に66号線は既に廃止されてしまったが支線(X66号線)の方は未だに残っている箇所が多い。また191号線はメキシコ国境からカナダ国境までを縦断するが、本線に当たる91号線の方は、ほとんどの区間が州間高速道路15号線に昇格したので、既に縦断路線ではなくなっている。[6]

1980年以降に認可された別線には番号の振り方の原則に従わないものがある。

1994年認可の400号線は本線に当たる0号線、100号線が存在しない。[7]

1982年頃に認可された412号線は12号線とは全く別の場所を走る。[7]

1989年認可の425号線は25号線とは全く別の場所を走る。[7]

加えて、1970年に番号が与えられた163号線は63号線とは全く別の場所を走る。[8]1970年ごろ認可された57号線はメキシコの国道57号線と連絡する路線で、以前の米国国道81号よりも西を走っている。[7]

ASSHTOの勧告で州間高速道路と国道の道路番号が同一州内で重複しないように調整されている。[9] 州間高速道路の50号と60号が欠番になっているのはこのためである。ただ1958年の州間高速道路の原案では、イリノイ州に州間高速道路24号線と国道24号線同士、カリフォルニア州で40号線、80号線同士が重複していた。その後カリフォルニア州では番号の再編が行われ、国道40号線、80号線が廃止されたため、現在重複は解消されている。[6] 近年開通した路線や計画中の路線にはこの原則に従わないものもある。国道番号の振り方の原則に従っていない道路があるのも一因。ウィスコンシン州の41号線[10]アーカンソー州の49号線[11]、テキサス州の69号線[12]ノース・カロライナ州の74号線[13] が該当。


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