アメリカ国債
[Wikipedia|▼Menu]
   米住宅ローン金利 30年    トレジャリーボンド 30年    トレジャリーノート 10年    トレジャリーノート 2年    トレジャリービル 3ヶ月    実効FF金利    CPIインフレ率 (Y/Y) .mw-parser-output .legend{page-break-inside:avoid;break-inside:avoid-column}.mw-parser-output .legend-color{display:inline-block;min-width:1.5em;height:1.5em;margin:1px 0;text-align:center;border:1px solid black;background-color:transparent;color:black}.mw-parser-output .legend-text{}  リセッション   トレジャリー 30年 マイナス トレジャリービル 3ヶ月 米国連邦債の平均金利

米国債 (べいこくさい、米国国債) または米国財務省証券 (: United States Treasury security) は、米国財務省 (USDT) が発行する国債。トレジャリーとも呼ばれる[1]

アメリカ合衆国政府に対する信用により市場が形成されており、流動性の高さからドル外貨準備の主要な投資先となっている。戦争経済危機の際は「有事のドル買い」に併せて、米国債市場への資金流入が起きる傾向が強い[注 1]。また、米国債の金利は長期金利の世界的な指標となっている。
歴史

1775年6月22日、アメリカ独立戦争バンカーヒルの戦いの頃[2]、第2次大陸会議が最初の米国債を発行した。発行額は200万ドルであった。翌年の1776年7月4日、米国が建国。

1789年9月2日にアメリカ合衆国財務省が設立。翌年1790年8月4日に「Funding Act of 1790」が成立、債務不履行の危機にあった州債を国債に振り替えたが、その際に利息の支払を1801年まで延期したため、これが米国の最初の債務不履行となった[3]

1933年に米国政府は市民の金の保有を禁じる政策を行う。1933年6月5日に「House Joint Resolution-192[4]」において、国債の金による請求を認める金条項を過去の分まで廃止、ドルによる支払に限定した[5][6] (これも債務不履行にあたる[3])。詳細は「金本位制#第一次大戦後の金本位制への復帰と大恐慌による離脱」を参照

2010年11月、連邦準備制度理事会(FRB)議長のベン・バーナンキは追加的量的緩和政策(quantitative easing policy, QE2)の中で、約6000億USドル(約48兆円)の米国債を市中から購入する決定を行った。失業率の改善や、S&P 500 等株価指数の上昇など、QE2 の効果は着実に表れたとされる[7]

2011年8月5日、米国債の格付けが引き下げられた(米国債ショック)。
市場性国債

市場性国債の種類と手続きは、米国債の一般的な提供案内 (31 CFR 356) に記載されている。償還期間等により、複数種類の市場性国債が提供されている。市場性国債に適用される利払方法の分類として、割引債と利付債がある。

割引債 - 利払いがない。償還期限が 1 年内のものと、ストリップス債 (STRIPS) が対象。

利付債 - 6 ヶ月毎に利払いがある。償還期間が 1 年超のものが対象。ストリップス債 (STRIPS) は対象外。

市場性国債として、以下のものがある。
トレジャリービル (T-Bills)$100,000 のトレジャリービル (1969年)

トレジャリービル (T-Bills: Treasury Bills) は、短期国債。4, 8, 13, 26, 52週物の割引債。これらとは別に、現金不足の際に不定期に Cash Management Bill が発売される。Cash Management Bill の方は個人は購入できない。[8]
トレジャリーノート (T-Notes)$5,000 のトレジャリーノート (1976年)

トレジャリーノート (T-Notes: Treasury Notes) は、中長期国債[9]。2, 3, 5, 7, 10年物の利付債。[10]
変動利付債 (FRN)[11]

トレジャリーノートには変動金利の 2 年物があり、変動利付債 (FRN: Floating Rate Note) として知られる。2013年7月31日開始。金利は、トレジャリービルの 13 週債の定期入札に基づいて決定し、四半期ごとに支払う。通常の固定金利の証券と同様に、保有者は 2 年間の期間が終了し、債券の満期に達した時に、債券の額面金額が支払われる。
トレジャリーボンド (T-Bonds)$10,000 のトレジャリーボンド (1979年)

トレジャリーボンド (T-Bonds: Treasury Bonds) は、超長期国債。20, 30年物の利付債。[12]
インフレ連動債 (TIPS)[13]

インフレ連動債 (TIPS: Treasury Inflation-Protection Securities) は、元本及びクーポンが物価指数上昇率に連動。インフレは消費者物価指数の Consumer Price Index for All Urban Consumers (CPI-U) で計測する。5, 10, 30 年債がある。1997年1月29日開始[14]

近年は、米10年国債のインフレ連動債の利回りは -1% ? 1% の近辺を推移している[15]。インフレ連動債の利回りが 0% というのは、インフレは回避できても、株式とは異なり、資産が増えるような金融商品ではないことを意味している。通常の 10 年国債とインフレ連動 10 年国債の利回りの差[16]が 10 年間の予想インフレ率である[17]

米国債利回り米国債利回り
米10年国債 (DGS10)3.84%[18]
米10年国債 (DFII10): インフレ連動債1.68%[15]
2023年末現在・米ドル建。

クーポンの分離

米国債のセカンダリーマーケット (二次市場) には、元本部分と利息部分 (利札) が分離された、あるいは「切り離された (strip された)」トレジャリーノート、トレジャリーボンド、TIPS があり、その元本部分と利息部分をそれぞれ売れるよう分離されている。この慣行は、IT 化以前より行われており、米国債は紙の無記名債として発行されていた。トレーダーは利息部分のクーポンを紙の証券から文字通り文字通り切り離して個別に再販し、元本はゼロクーポン債として再販された。

その現代版は、ストリップス債 (STRIPS) として知られている。ストリップス債は帳簿記載システム (book-entry system) に登録されているが、米国財務省によって直接発行されおらず、 投資銀行やブローカー会社を通じて購入する必要があり、米国債の公式取引サイトの TreasuryDirect からは購入することはできない。
ストリップス債 (STRIPS)[19]

ストリップス債 (STRIPS: Separate Trading of Registered Interest and Principal of Securities) は、元本利子分離債。利付債の元本部分と利息部分 (利札) を分離し、元本部分をこの利付債の償還日を満期とする割引債にして販売、利息部分をその利息の支払日を満期とする割引債として販売する[20][21][22]
非市場性国債ベンジャミン・フランクリンが印刷された $1,000 シリーズの米国貯蓄国債

非市場性国債としては、以下のものがある。

米国貯蓄国債 (U.S. savings bonds)

ゼロパーセント債務証明書 (Zero-Percent Certificate of Indebtedness)

政府口座シリーズ (GAS: Government Account Series)

州および地方政府シリーズ (SLGS: State and Local Government Series)

取引方法

日本居住者の場合は日本の金融機関などから取引できる。日本の金融機関でも償還まで待たずに売却(中途解約)できる場合が多い。
帳簿記載方式

帳簿記載方式(book-entry form)とは、帳簿への記載によって所有者を証明し券面の発行を省略する制度であり、米国財務省証券の取引を容易にし流動性を高める一因となっている。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:36 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef