アメリカ合衆国大統領の継承順位
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アメリカ合衆国大統領権限の継承順位(アメリカがっしゅうこくだいとうりょうけんげんのけいしょうじゅんい、英語: United States presidential line of succession)は、現職のアメリカ合衆国大統領次期大統領が執務不能に陥ったり、死亡または辞職し、もしくは免職(弾劾およびその後の有罪判決により)された場合に、誰が大統領に就任し、または大統領の職務を執り行うのかについて定めている。日本における内閣総理大臣臨時代理に相当する。
現在の順序

下表は、アメリカ合衆国憲法および大統領継承法(英語版)(1947年)[1][2]によって示され、その後の改正によって新設された閣僚が追加された、2023年10月25日現在の大統領権限継承順位の一覧である。

所属民主党 = (民)
共和党 = (共)
無所属 = (無)

継承順位職名現職者
1副大統領カマラ・ハリス (民)
2下院議長マイク・ジョンソン (共)
3上院仮議長パティ・マレー (民)
4国務長官アントニー・ブリンケン (民)
5財務長官ジャネット・イエレン (民)
6国防長官ロイド・オースティン (無)
7司法長官メリック・ガーランド (無)
8内務長官デブ・ハーランド (民)
9農務長官トム・ヴィルサック (民)
10商務長官ジーナ・ライモンド (民)
-労働長官ジュリー・スー(英語版) (民)[注 1]
11保健福祉長官ハビエル・ベセラ(英語版) (民)
12住宅都市開発長官マルシア・ファッジ(英語版) (民)
13運輸長官ピート・ブティジェッジ (民)
-エネルギー長官ジェニファー・グランホルム (民)[注 2]
14教育長官ミゲル・カルドナ(英語版) (民)
15退役軍人長官デニス・マクドノー (民)
-国土安全保障長官アレハンドロ・マヨルカス (民)[注 3]


生まれながらの市民でない者は資格を持たない
大統領の継承に際しては、大統領となる法的な資格が必要である(合衆国法典 ⇒
第3編第19条第(e)項)。生まれながらの市民でない者や、35歳未満の者、米国での居住歴が14年未満の者は、憲法上大統領となる資格を持たない。エネルギー長官ジェニファー・グランホルムはカナダで、国土安全保障長官アレハンドロ・マヨルカスはキューバで生まれ、帰化したため継承資格がない。
上院で承認されていない代行の公務員は資格を持たない
職員が継承順序に名を連ねるためには、上院によって承認されねばならない。従って、いかなる公務員としても承認されていない代行の公務員は、継承順序に名を連ねることができない。ただし、1886年大統領継承法[3]では「上院の助言と同意を得ることでそこに記された職に任命された者」とあったのが、1947年大統領継承法[2]では「そこに記された職に[注 4]」の部分が削除されている。そのため、たとえば上院の助言と同意によって副長官に任命された者が大統領権限継承権のある閣僚の代行を務めている場合に混乱が生じる可能性が指摘されている[4]

フランクリン・ローズヴェルトの跡を継いでから2か月後、ハリー・S・トルーマン大統領は、“大統領が自身で決めた後継者に禅譲する”という事態が起こらないことを確実とするために、継承順序に関して閣僚らより上の優先権を下院議長と上院仮議長とに与えるよう提案した[5](国務長官が大統領によって指名されるのに対し、下院議長と上院仮議長は選挙された公務員である。下院議長は下院によって選挙され、歴代議長は全員、その任期中は下院議員であった。上院仮議長は上院によって選挙され、また上院議員でなければならない)。議会はこの変更を承認し、下院議長と上院仮議長を閣僚らより上の継承順序に加えた。これにより、下院議長と上院仮議長の地位は確立した。ただし、ケネディ暗殺を背景に改正された合衆国憲法修正第25条よりリチャード・ニクソン大統領はジェラルド・R・フォードを副大統領に指名し、上下両院の承認を得て副大統領に就任し、ニクソン辞任後にフォードは大統領として残りの任期を全うしている。
憲法的根拠

継承順序は、憲法中の3か所に書かれている(第2条第1節修正第20条第3節、および修正第25条)。

第2条第1節第6項は副大統領を継承順位の筆頭に置くと共に、大統領も副大統領も執務不能となった場合について法律で定める権限を議会に付与している。こうした継承方法を管理している現行法が、1947年大統領継承法である(合衆国法典 ⇒第3編第19条)。

修正第20条第3節は、次期大統領が任期開始前に死亡した場合、次期副大統領がその就任日に大統領となり、次期大統領が務める予定であった任期を引き継ぐ旨を定めている。また同条は、就任日に、大統領が選出されていない、または次期大統領が大統領の資格を備えていない場合、大統領が選出されるまで、または次期大統領がその資格を備えるまで、次期副大統領が大統領の職務を行うと定めている。最後に、第3節は次期大統領と次期副大統領のいずれも資格を備えていない、または執務できない場合について、議会が法律で定めることを認めている。

修正第25条(1967年成立)は、第2条第1節(副大統領が大統領の直接的な後継者であること)を明確化した。すなわち、大統領の死亡、辞任、または免職があった場合、副大統領が大統領となる。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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