アメリカ合衆国原子力規制委員会
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アメリカ合衆国原子力規制委員会
Nuclear Regulatory Commission
紋章。五連星は発足当時の5つの管理区を表す

組織の概要
設立年月日1975年1月19日
継承前組織.mw-parser-output .plainlist--only-child>ol,.mw-parser-output .plainlist--only-child>ul{line-height:inherit;list-style:none none;margin:0;padding-left:0}.mw-parser-output .plainlist--only-child>ol li,.mw-parser-output .plainlist--only-child>ul li{margin-bottom:0}

アメリカ原子力委員会

本部所在地メリーランド州ロックビル
人員約3,800人 (2012年4月)
行政官

Stephen Burns(委員長)

ウェブサイトwww.nrc.gov
NRC 本部(メリーランド州ロックビル)

アメリカ合衆国原子力規制委員会(アメリカがっしゅうこくげんしりょくきせいいいんかい、: Nuclear Regulatory Commission、略称:NRC)は、アメリカ合衆国政府の独立機関の一つであり、合衆国内における原子力安全に関する監督業務(原子力規制)を担当する。

NRC は原子炉の安全とセキュリティ、原子炉設置・運転免許の許認可と変更、放射性物質の安全と、セキュリティ、および使用済み核燃料の管理 (貯蔵、セキュリティ、再処理および廃棄)を監督している。

NRC を規制の虜[注 1](regulatory capture)の一例として批判的に見る向きもあり[1][2][3]憂慮する科学者同盟 (Union of Concerned Scientists) からは十分な役割を果たしていないと糾弾されている[4]
歴史

NRCは、1974年に制定された「エネルギー再生法」 (Energy Reorganization Act of 1974) に基づいて1975年1月19日に設立された。NRCはアメリカ合衆国原子力委員会 (United States Atomic Energy Commission ; AEC) の業務のうち、原子力エネルギー問題および原子力安全に関する監督業務を引き継いだ。AECが持っていた核兵器と原子力利用促進に関する監督業務は、アメリカ合衆国エネルギー研究開発管理部 (Energy Research and Development Administration ; ERDA) に引き継がれ、これによってAECは廃止された(なお、1977年にERDAはアメリカ合衆国エネルギー省 (United States Department of Energy;DOE) に改組されている)。
任務

前身であるAECと同様に、NRCは原子炉の安全、原子炉の設置許可およびその更新、放射性物質の保安および認可、放射性廃棄物管理(貯蔵と廃棄)について監督を行なう。

NRCの任務は、公衆の健康と安全に対する適切な防護を担保し、一般的な防衛と安全保障を促進し、環境を保護するために、民生部門における原子力副産物、原料、特別核物質の利用を規制することである。

NRCの規制業務は次の3つの主要な分野をカバーする。

原子炉 - 発電用、研究用、開発のための試作用、試験用および訓練用の商用原子炉。

核物質 - 医学、工業、学術のための各施設、および核燃料製造施設における核物質の利用

核廃棄物 - 核物質及び核廃棄物の輸送、貯蔵、廃棄および、核施設の廃止

委員

NRCは、アメリカ合衆国大統領によって指名され、アメリカ合衆国上院の同意に基づいて5年の任期で任命される、5名の委員を長とする。5名のうち1名は大統領から委員長および委員会の公的スポークスマンとして任命を受ける。

現在の委員長はStephen Burnsであり、前任のAllison MacFarlaneが2014年に辞任したことに伴い、2014年11月に、2019年6月30日までの任期で委員に任命され、2015年1月1日に大統領から委員長に任命された[5]
組織

現在、本部はメリーランド州ロックヴィルにあり、全米を次の4地区に分けて管理している。Map of the NRC Regions

第I地区、地方局:ペンシルベニア州 King of Prussia 、合衆国北東部を管轄。

第II地区、地方局:ジョージア州アトランタ 、合衆国南東部を管轄。

第III地区、地方局:イリノイ州リール、合衆国北中西部を管轄。

第IV地区、地方局:テキサス州アーリントン、合衆国南中西部および西部を管轄。

(第V地区、地方局:カリフォルニア州ウォールナットクリーク、合衆国西部を管轄していたが20世紀末に第IV地区に統合された)

これらの4つの地方局が、104基の発電用原子炉と36基の非発電用原子炉の運転を監督している。この監督は、次の例のように、いくつかのレベルで実行されている。

各発電用原子炉には監督官が常駐し、毎日の運転をモニターする。

様々なスペシャリストから構成される多数の特別監査チームが、各サイトの定期的な監査を行なう。

内部情報通報者からの通報は本部規制局の申し立て調査部門により調査される[6]

運転要員訓練などの監督

NRCは、1993年に制定された「訓練規則」 [7]を通じて、産業界における訓練や資格認定制度を認可している。NRCは、アメリカ原子力資格認定委員会 (National Nuclear Accrediting Board) の会合を監視し、会計監査と訓練監査を実施している。さらに同委員会の委員の数人はNRCにより推挙される。アメリカ原子力資格認定委員会は政府機関ではなく、アメリカ原子力訓練アカデミー (National Academy for Nuclear Training) の関連機関である。同アカデミーは、原子力運転研究所 (Institute of Nuclear Power Operations ; INPO) やその他の原子力発電所における訓練への取り組みを統合し標準化する目的で1985年に設立されたものである。
テロの脅威

アルカーイダによる2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件や2005年7月7日のロンドン同時爆破事件のようなテロリストの攻撃は、過激派グループが合衆国やその他の国における今後の攻撃において、放射性物質を使用した汚い爆弾を使用するのではないかという恐れを想起させた[8][9][10]

2007年3月、アメリカ合衆国行政監査院(英語版) (Government Accountability Office : GAO 、前米国会計検査院) のアンダーカバーの調査官が偽装会社を用意し、NRCから汚い爆弾を製造するために必要な放射性物質の購入を許可するライセンスを取得した。GAOの報告書によれば、NRCの担当官は会社を訪問もせず、重役に面接審査を行なおうともしなかった。それなのに、28日以内にNRCは西ヴァージニアの私書箱にライセンスを郵送した。GAOの担当官たちは、取得したライセンスの条項を容易に改ざんすることができ、彼らが購入可能な放射性物質の量の制限を削除してしまった。NRCのスポークスマンは、彼らはこれらの放射性物質を用いて作られた爆弾は市街の1ブロック長平方の地域を汚染できるが、即時の健康被害をもたらすものではないので、放射性爆発装置の脅威は低レベルであると考えていたと語った[11]
批判

アメリカ原子力委員会が解体されたのは、それが監督する責任を負っていた原子力産業に対して、不適切に便宜を与えていたと認知されるに至ったからであるが、NRCが「同じ轍を踏もうとしているように見える[12]」という批判がある。

1987年の「NRCと産業界の甘い関係」(NRC Coziness with Industry) と題された米国議会報告は、NRCは「原子力産業界の『利害に左右されない規制の姿勢』(arms length regulatory posture) の維持をおこたり…、いくつかの批判的であるべき分野で、完全なる規制者としての役割を放棄している」と結論付けている[12]。以下に3つの例を引用する:

1986年の米国議会報告はNRCのスタッフが運用免許の取得を求めていた電力事業者に対して、重要な技術的援助を与えていたことを明らかにしている。1980年代の後半にはNRCは、運用免許所持者の状態に関して強制する立場を取らないという「非強制政策」を提唱して、1989年9月から1994年にかけて、「NRCは原子炉の規制強化を340回以上に渡って放棄または選択しなかった」。最後に批判者は、NRCは規制者としての重要な権能を、スリーマイル島原子力発電所事故を契機に事業者自身が創設した原子力発電運転協会(英語版) (Institute for Nuclear Power Operations : INPO) に明け渡してしまったと糾弾している[12]

ByrneとHoffmanによれば、1980年代からNRCは概して原子力産業の利益に好意的であり、産業界の懸念に対して不適切に敏感であった。NRCはしばしば、強い規制を遂行することに失敗している。同時にNRCは規制プロセスへの公衆のアクセスを拒否または阻害し、公衆の参加に対する新たな障壁を設けている[13]


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