アメリカ合衆国の司法制度
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アメリカ合衆国の司法制度の項目では、アメリカ合衆国司法制度を扱う。目次

1 背景

2 連邦の司法制度

3 各州の司法制度

4 連邦と州の司法制度の関係

5 その他の特色

6 脚注

7 参考文献

背景

アメリカはイギリスと並ぶ代表的な英米法国の一つであるが、アメリカ法英国法と異なる独自性を有し、特に公法の分野において著しい。これを反映して、アメリカの司法制度もイギリスとの間に相当の差異が存在する。

アメリカは連邦国家であり、イギリス[1]はおおよそ単独の法域を構成するのに対し、アメリカには51個を超える法域[2]が存在している。アメリカの司法制度の第一の特色は、連邦法の規律することのできる事項が連邦憲法に限定列挙されていることである。それゆえ日本における民法刑法[3]に当たるような一般的な法律は州法として定められている。第二の特色は、このように州ごとに異なる法を運用する裁判所も各州ごとに存在することである。これは、たとえば日本において地方裁判所が地域ごとに存在するのとは意味が異なり、各州が州憲法を有し、その憲法によって裏打ちされた統治機構を有し、その一部として裁判所が存在するのである。日本においては最高裁が一切の訴訟の終審となり[4]、イギリスにおいては連合王国最高裁判所が司法の頂点に立っているのと対照的に、アメリカでは各州ごとに、州の最高裁判所が終審となるのである。

その一方で、現代アメリカでは州を越える経済活動などが日常茶飯事であるため、州の裁判所においても連邦裁判所においても、連邦法や他州の法を適用する必要が頻繁に生じる。これは日本において裁判所の取り扱う事件のうち渉外事件はごくわずかであり、外国法の適用が必要となる事件となればさらに少ないのと対照的である。

これに加えて各州の歴史的事情もあり、アメリカの司法制度は日本やイギリスのそれに比して相当複雑なものとなっている。
連邦の司法制度「アメリカ合衆国連邦裁判所」も参照 連邦地裁・控訴裁の管轄地図

通常の訴訟を扱う裁判所は、地方裁判所(District Court)、控訴裁判所(Court of Appeals)、最高裁判所の3段階に分かれている[5]。地裁は92庁、控訴裁は通常の地裁からの上訴を管轄するものが12庁あるほか、知的財産権に関する事件などを扱う連邦巡回区控訴裁判所、各軍の刑事控訴裁判所からの上訴を管轄する軍事控訴裁判所(en:United States Court of Appeals for the Armed Forces)を含め計14庁存在する。
各州の司法制度「州裁判所 (アメリカ合衆国)」も参照

各州に最高裁判所(en:State supreme court)が存在する。大半の州では最高裁をSupreme Courtと呼ぶが、一部の州では、一定の規模以上の事件の第一審を管轄する裁判所(日本の地方裁判所に相当。)にこの名称が与えられることもある。ニューヨーク州メリーランド州ではCourt of Appealsとの呼称を用いるほか、テキサス州オクラホマ州では民事事件を管轄する最高裁と刑事事件を管轄する最高裁が分立しており、後者をCourt of Criminal Appealsと呼ぶ。グアム北マリアナ諸島などの海外領土にもそれぞれ最高裁判所が存在する。

裁判所の名称・機構は州によってさまざまであり一律に述べることができないが、小事件を扱う特別の下級裁判所[6]が置かれるほかは、おおむね機構は連邦に類似している。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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