アメリカカブトガニ
[Wikipedia|▼Menu]

アメリカカブトガニ

保全状況評価[1]
VULNERABLE
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))

分類

:動物界 Animalia
:節足動物門Arthropoda
亜門:鋏角亜門 Chelicerata
:節口綱 Merostomata
:カブトガニ目 Xiphosura
:カブトガニ科 Limulidae
:アメリカカブトガニ属 Limulus
O. F. Muller, 1785
:アメリカカブトガニ L. polyphemus

学名
Limulus polyphemus
(Linnaeus1758)
シノニム

Monoculus polyphemus Linnaeus, 1758
英名
Atlantic horseshoe crab

アメリカカブトガニ(学名:Limulus polyphemus)は、カブトガニ科に属する海生節足動物メキシコ湾を含む北西大西洋沿岸に分布する。ヨーロッパでも迷入個体が発見されている[2]
分類デラウェア湾の浜辺で。付着生物(Crepidula 属の巻貝)が確認できる。

米国では horsefoot ・ saucepan などとも呼ばれる。"helmet crab" と呼ばれる場合もあるが、これは本来クリガニを意味する。"king crab" という名も本来はタラバガニ科の総称である。

Limulus は「少し横目の」という意味であり[3]種小名polyphemusはギリシア神話キュクロープスの一人であるポリュペーモスに由来する[4]。これは、かつて本種の眼は1つしかないと考えられていたためである。
化石記録

生きている化石と呼ばれ、4億4500万年前の地層から近縁種が見つかっている[5]三畳紀(2億3000万年前)からはほぼ同じ形態の化石が出土する。本種自体の化石記録はないが、アメリカカブトガニ属 (Limulus) は2000万年前から記録がある[6]
形態・生理

体は大きく頭胸部腹部・尾剣に分けることができる。背甲は馬蹄形で灰緑色から暗褐色。雌雄は似ているが、雌は雄より 25-30 % 大きくなり、最大で60 cm程度になる[5]。脚は脱皮により再生することがある[7]腹面のイラスト。口は脚の間にあり、その下に書鰓がある。

背甲には藻類ヒラムシフジツボコケムシなど様々な付着生物が付くため、'living museums' などと呼ばれることもある。本種の豊富な地域ではよく背甲や脱皮殻、またはその破片などが波打ち際で見られる。雌の腹面。脚と書鰓が見える。雄の腹面。鉤爪状の触肢(PdP)が確認できる。

腹面には6対の脚があるが、最も前方の鋏角は頭胸部中央の口に餌を渡すために用いられる。その次の脚は触肢であり、歩脚として用いられるが、雄では交尾中に雌を押さえるために鉤爪状となっている。残り4対は歩脚である。脚先は鋏となるが、最も後方の脚は体を押し出すために葉状になっている[8]

脚の後方にはさらに6対の付属肢がある。最初の1対は蓋板と呼ばれ、生殖孔がある。蓋板の形状はアジア産のカブトガニと異なっており、容易に区別できる[9]。残る5対は書鰓と呼ばれる平板状の構造となっている。これは水中での呼吸に用いられるが、陸上でもこの部分が湿っていれば短時間は呼吸することができる。

他の感覚器官として、腹面の単眼の近くに小さな化学受容器がある[10]
視覚

視覚の研究に広く用いられてきた。1967年のノーベル生理学・医学賞は視覚の化学的、生理学的基礎過程に関する発見に対して与えられたものだが、その実験材料には本種も含まれている。

頭胸部の両側には単色性視覚を与える1対の大きな複眼があり[注 1]、背甲に5個、腹面の口前方に2個の単眼がある[11]。単眼は胚・幼生期に重要で[11]、卵の中でも光を感じ取ることができる[12]


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:44 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef