この項目では、鉱物について説明しています。その他の用法については「アメシスト (曖昧さ回避)」をご覧ください。
アメシスト(amethyst)は、紫色の水晶である。紫水晶(むらさきすいしょう、むらさきずいしょう)[1]、紫石英(しせきえい)とも呼ばれる。amethyst の名は、古代ギリシア語の ?μ?θυστο?(amethustos、酔わせない)に由来し、酔いを防ぐ効果があると信じられていた[2]。日本語ではアメジストと呼ばれることも多いが、原語の発音に従えば「アメシスト」がより正確である。
性質・特徴鉱物学的性質・特徴については「石英」を参照
硬度は7。比重は2.65。組成はSiO2(二酸化ケイ素)。素焼きの陶板にこすりつけると白い条痕が残る。ハンマーなどで割ると貝殻状の断口が残る。
光沢はガラス光沢で、色は淡いライラック色から、濃紫色まで幅広い色合いがある。紫色の発色は、ケイ素を置換した微量の鉄イオンが放射線を受けると電子が飛ばされ電荷移動が酸素原子と鉄イオンとの間で起こり、三価の鉄イオンが四価の鉄イオンになり、これが形成した色中心(カラーセンター)が光のスペクトルの黄色を吸収するために、その補色である紫色が通過する様になるのが原因とされる[3]。紫外線に曝露すると退色する(直射日光の当たる窓際などに置くと色が褪せてくる)。照射する光のスペクトル組成によって、見た目の色を大きく変化させる紫水晶は、「カラーチェンジアメシスト」もしくは「カラーチェンジタイプアメシスト」と称されている。
また、加熱すると色が黄色に変化し、宝石名としてはシトリンとなる(現在出回っているシトリンはアメシストを加熱したものがほとんどである)。
ガンマ線と熱を当てると緑色のプラジオライト(英語版)が作られ、こちらはグリーンアメジストと呼ばれる[4]。緑色の発色は、三価の鉄イオンの他に相当量の二価の鉄イオンを含んでいた場合に、三価の鉄イオンによる補色の黄色の発色と、二価の鉄イオンは黄色の光を吸収し補色は青色になるため、その黄色と青色が混ざって緑色に発色するといわれている[5]。