アマデウス
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この項目では、戯曲について説明しています。その他の用法については「アマデウス (曖昧さ回避)」をご覧ください。
アマデウス(1981年)

『アマデウス』(英語: Amadeus)は、ピーター・シェーファーによる戯曲であり、作曲家ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトアントニオ・サリエリの人生の史実を大きく脚色した作品である。1979年に初演された。『アマデウス』 は1830年にアレクサンドル・プーシキンが書いた短い芝居『モーツァルトとサリエリ』に触発されている。プーシキンの戯曲にもとづいて1897年にニコライ・リムスキー=コルサコフがオペラ『モーツァルトとサリエリ』を書いている。

本戯曲ではモーツァルトやサリエリをはじめとする当時の作曲家の音楽がふんだんに使われている。モーツァルトのオペラ後宮からの誘拐』、『フィガロの結婚』、『ドン・ジョヴァンニ』、『魔笛』の初演がそれぞれ重要な場面の舞台となっている。

1979年にロンドンロイヤル・ナショナル・シアターでの上演が成功した後、ウェスト・エンドに引っ越し、さらにブロードウェイでも上演された。『アマデウス』は1981年のトニー賞演劇作品賞を受賞した。シェーファー本人も脚色に関わって映画『アマデウス』が製作され、1984年にアカデミー賞も受賞した。

アマデウス(「神に愛される」「神を愛する」の意味)とは、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトのミドルネームから来ている。
あらすじ

初演以降、シェーファーはプロットを含めて大きく戯曲を改訂しており、大まかに第六版まで改訂が存在する[1]。以下は全ての版に共通する要素のみである。

物語の最初では、サリエリは老人で、忘れ去られてもいまだ生きながらえている。観客に直接話しかけ、かつてモーツァルトを毒殺したと主張し、説明しようと約束する。そこでアクションは18世紀に戻り、サリエリが既に噂も音楽も耳にしていたモーツァルトに直接対面した時が描かれる。サリエリはモーツァルトの音楽を称賛し、直接モーツァルトに会うチャンスに興奮しており、その間にモーツァルトの楽曲がサロンで演奏されている。しかしながら、とうとう本人に会ったサリエリは、モーツァルト自身にはその楽曲が有しているような優雅さも魅力もないとわかって非常に落胆する。サリエリが初めて見かけた時、モーツァルトは四つんばいになって未来の花嫁コンスタンツェ・ウェーバーと下品な話をしていた。

サリエリはモーツァルトの粗野なふるまいと、神が不可解にも与えたその天才を納得して受け入れることができない。サリエリは今までずっと熱心なカトリックで、神が自分を差し置いてモーツァルトにこのような才能を与えたとは信じられない。サリエリは神を拒み、創造主に仕返しすべく、モーツァルトを破滅させるためあらゆることをすると誓う。

これ以降の芝居のほとんどの部分で、サリエリはモーツァルトの前では友人のようなふりをし、一方で相手の評判をめちゃくちゃにし、楽曲の成功を妨害するため最大限努力する。『フィガロの結婚』リハーサルの場面などでは、皇帝ヨゼフ2世自身が直接介入したためようやくモーツァルトが仕事を続けられるようなことになる。サリエリはモーツァルトの妻となったコンスタンツェが助けを求めてやって来た時に相手を侮辱し、さらにモーツァルトの人格について皇帝や宮廷に対して悪い噂を流す。『アマデウス』の主要なテーマのひとつとして、より素晴らしいものになっていく自身の作品によって、モーツァルトは貴族である「公衆」の支持を得ようと何度も試みるが、常にサリエリのせいか、あるいは貴族階級がモーツァルトの天才を評価する耳を持っていないせいで挫かれるというものがある。

芝居はサリエリが自分の名を残すための最後の試みとして、モーツァルトを砒素で殺したと告白してカミソリで自殺しようとするところで終わる。しかしながらサリエリは生き延び、告白は信じられず、サリエリはふたたび凡人として忘れ去られるままになる。
史実との相違

シェーファーはモーツァルトとサリエリ双方を描くにあたって創造上の芸術的特権を行使して史実から離れている。2人の間に敵意があったことは残っている文書から読み取れるが、サリエリがモーツァルトの破滅を招いたという説はこうした作曲家たちの人生やキャリアを研究している人々からは否定されている。歴史的には、モーツァルトとサリエリが実際にライバルとして緊張関係にあった可能性はあるが、相互の尊敬に基づく関係を築いていたことも証拠からうかがえる[2]。たとえば、サリエリは後にモーツァルトの息子フランツ・クサーヴァー・モーツァルトに音楽を教えている。さらにモーツァルトの生前も死後も、その作品を数作指揮している[3]
上演
英語版

『アマデウス』は1979年にロンドンロイヤル・ナショナル・シアターで初演された。ピーター・ホールが演出をつとめ、ポール・スコフィールドがサリエリ役、サイモン・キャロウがモーツァルト役、フェリシティ・ケンダルがコンスタンツェ役をつとめた。キャロウはのちに映画版にも違う役で登場している。後にウエスト・エンドで引っ越して改訂版が上演され、フランク・フィンレーがサリエリ役をつとめた[4][5]

1980年12月11日にブロードウェイのブロードハースト劇場でアメリカ初演が行われた[6]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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