アマゾン川
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アマゾン川
コロンビアレティシアにおけるアマゾン川の夕焼け
延長6,516[1] km
平均流量209,000[2] m³/s
(河口)
流域面積7,050,000[3] km²
水源ミスミ山
水源の標高5,597 m
河口・合流先大西洋
流域 ブラジル (62.4%)
ペルー (16.3%)
ボリビア (12.0%)
 コロンビア (6.3%)
エクアドル (2.1%)
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アマゾン川(アマゾンがわ、: Rio Amazonas, 西: Rio Amazonas, 以前は 西: Rio Orellana)は、南米ブラジルとその周辺国の熱帯雨林アマゾン熱帯雨林)を流れ大西洋に注ぐ、世界最大規模の河川である。数多くの巨大な支流を持ち、アマゾン川という名称はそれらの総称として用いられている。
概要アマゾン川流域

アマゾン川は世界最大で最長(諸説あり)の河川である。特に流域面積では世界最大であり[4]、2位以下のコンゴ川ナイル川ミシシッピ川のそれぞれ2倍程度、オーストラリア大陸の面積に匹敵する705万km2(平方キロメートル)にわたる[3]。1973年から1990年の平均流量は毎秒209,000t(トン)と推定される[2]。水深も深く、河口から4,000km(キロメートル) 上流まで遠洋航海用の船が航行できる。平均水深は雨季で40m(メートル)である。

名称としてのアマゾン川は、アンデス山脈のミスミ山(スペイン語版、英語版)を源流とするウカヤリ川と、ラウリクチャ湖(スペイン語版、英語版)から流れ出たラウリクチャ川(スペイン語版、英語版)/マラニョン川イキトス付近で合流する所からの川を指す。ただしブラジルに入るとこの川はソリモンエス川(ポルトガル語版、英語版)と呼び名が変わる。ブラジル国内を約2000 km 下ったネグロ川との合流地点から、ふたたびアマゾン川と呼ばれるようになる[4]。このアマゾン川には、支流では最大の流量・流域面積を持つマデイラ川と、次いでタパジョース川シングー川トカンティンス川などの大きな河川が南側から合流しながら河口まで続く[4]

アマゾン川の標高河口から1,600 km 遡っても32 m 、3,800 km 遡っても80 m しかない。アマゾニアと呼ばれる広い大湿原の低地が広がっている。新生代以降にアンデス山脈が隆起するまでは太平洋側に流れていた。

世界主要河川の比較
アマゾン川ナイル川ミシシッピ川長江ヴォルガ川コンゴ川
長さ(km)6,516
(諸説あり。次節参照)6,6503,7796,3003,7004,700
流域面積
(100万km2)7.052.93.21.81.33.7
平均流量
(1000m3/s.)209(1973-1990年の平均)2-31821839

規模アマゾン川の源流 ペルーのミスミ山山麓。木製の十字架が立てられている (2006年)アマゾン川の水源
長さの論争

南米大陸の北部を大きく流れるきわめて巨大な水系を持ち、いくつもの支流に分かれる。このため、アマゾン川の定義は下記のように複数存在する。規模についても出典により、複数の値が示されている。しばしば「アマゾン川本流論争」が持ち上がる[4]

6,299 km - 『アマゾン 生態と開発』流量が多いラウリコチャ湖を源流とするマラニョン川からの長さ[4]

6,400 km - 理科年表 2006年The Water Encyclopedia, Second Editionなどに基づくものであり、アマゾン川の源流として支流のウカヤリ川、さらにウカヤリ川の支流としてアプリマック川を採用したもの。

6,516 km - 理科年表 2006年The Times Atlas of the World, 2004などに基づくものである。

これらの値は、ナイル川の長さである 6,650 km ないし 6,695 km に近い。さらに、アマゾン川の流路は複雑であり、より長い支流が存在するとして、アマゾン川が世界一長い河川であるという主張も存在する。例えば、2007年6月22日に共同通信は、ミスミ山の奥深くで新たな源流が発見されアマゾン川の全長は 400 km も伸びて 6,800 km となりナイル川を超えると報道した [5][6][7]

2008年7月3日には、アマゾン川とナイル川の衛星写真を比べてアマゾン川の長さは 6,992 km になりナイル川よりも長いと報道された[8]

アマゾン川の上流部分はアンデス山脈の奥深く入り込んでいる。ナショナルジオグラフィック協会などによる調査では、ペルー南部のボリビアチリ国境近くにあるミスミ山 (Nevado Mismi, 5597 m) が最も遠い水源と考えられ[9]。主要な支流全体の長さは延べ 50,000 km にもなり、赤道を一周した長さよりも長い。
流域面積

アマゾンの流域面積も、様々な数値が示されている。資料により、580万km2から600万、650万、705万、750万とばらついている。その中で、ブラジル地理統計局 (IBGE) は750万km2を採用している。いずれの数値を取っても、世界2位のコンゴ川(370万km2)と比べれば、突出した世界1位の流域面積を誇る[4]
流量と水量の収支

オビドスにおけるアマゾン川の流量(m3/s)
(1928年から1996年の69年間の平均データ)[10]

アマゾン川の流量は何度も計測・試算されているが、資料によってまちまちである。ある資料によると175,000トン/秒と計算されたが、この流量は世界第2位にあるコンゴ川の4-5倍に相当し、全世界の河川流量の15-18%を占める[4]。この流量は季節によって変化し、流域の降雨量変化をやや遅れて追うように推移する。河口から537kmさかのぼったパラ州のオビドスでの計測によると、毎年11月頃から水位上昇が始まり、翌5-6月に最高位に達する。ここから低下を始めた水位は10-11月に最低となる。したがって上昇には7-8ヶ月、下降には4-5ヶ月というサイクルを持つ[4]。この変化による水面の高低差は約5-6mとなる[4]

アマゾン川は支流だけでも規模が巨大で、最大の支流ネグロ川の年平均流量マナウスで毎秒28,400 t、マデイラ川の年平均流量は合流点で毎秒31,200 tある。タバチョス川は毎秒13,500 t、シングー川は毎秒9,700 t、トカンチンス川の年平均流量は 11,800 tある[2]

アマゾン川流域の年間平均降雨量は2300 mm 前後であり、流域面積750万 km2 に一様に降るとすると、総量は15兆トンになる。一方、河口流量を175,000トン/秒とすると年間5.5兆トンである。この差異から、アマゾン川流域で蒸発蒸散される水は年間9.5兆トン、単位面積で割ると約1460mmとなる。アマゾン川流域の蒸発・蒸散量試算はこの他にも様々あり、1000-1905mmの間と言われる[4]。ブラジル国立アマゾン研究所のシミュレーションによると、流域降雨の50%は川や湖水からの蒸発に土壌や植物等から蒸散したアマゾン川由来の水が蒸発したもので、残り50%は大洋の蒸発水である[4]


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