アマゾンカワイルカ
アマゾンカワイルカ Inia geoffrensis
保全状況評価[1][2][3]
ENDANGERED
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
ワシントン条約附属書II
分類
和名
アマゾンカワイルカ[8]
英名
Amazon river dolphin[5]
Boto[9]
Pink river dolphin[3]
アマゾンカワイルカ(Inia geoffrensis)は、哺乳綱偶蹄目(鯨偶蹄目)アマゾンカワイルカ科アマゾンカワイルカ属に分類される鯨類。
アマゾンカワイルカ属(Inia)のみでアマゾンカワイルカ科(Iniidae)を構成し、現生群を本種のみに分類する説もあるが[5]、マデイラ川流域の個体群を別種ボリビアカワイルカ(Inia boliviensis)とし、2014年にアラグアイア川流域の個体群から新種記載されたアラグアイアカワイルカ(Inia araguaiaensis)の3種でアマゾンカワイルカ属を形成する説もある[7][10]。 南アメリカのアマゾン川水系(オリノコ川含む)に棲む固有の種である。生息域はマイルカ科のコビトイルカとほぼ同じであるが、外観が全く異なるので混同するおそれはない。 成体の典型的な体長は雄約2.8m、雌で2.3mに達し[11]、体重は約100 - 160kgとなる[12]。現生のカワイルカとしては最も大きい種類である。口吻は細長く、上下の顎には25から35対の円錐形の歯がある。前方の歯は鋭く尖っており、食物の咀嚼よりも魚体などの捕捉に有用である[13]。奥のものは頂が平坦で鈍く、カニやカメなどを砕く役割を持つ。目は極端に小さい[12]が視力は良く、下方向を除いて(膨らんだ頬が視界を遮る)良く見渡すことができる。他の多くのイルカとは異なり頚椎の骨が互いに固定されていないため、頭部を広範囲に動かすことが可能である。胸びれは体長の割りには大きく、後方に湾曲し,後縁に凹凸が多い。背びれはなく、背中には進化の痕跡として三角形の瘤(こぶ)がある。尾びれは幅広い。[12] I. boliviensisにおいて、見かけ上の違いは特にメスで顕著で、体長がやや短い、頭部がやや小さい、体型が丸みを帯びている、歯の本数が多い、ことが確認されている[14]。 体色は様々である。明るいピンクを中心に、暗い茶色、クリーム色などがある。ボリビアカワイルカは対照的に淡いグレーを中心としている[14]。 以前はカワイルカ科(カワイルカ上科)に分類されていたが、のちにカワイルカ類の類似性は収斂進化によるものとされるようになり本種がアマゾンカワイルカ科に分割された[15]。遺伝子的研究からはヨウスコウカワイルカとラプラタカワイルカが近縁とされ、これらをアマゾンカワイルカ科に含める説もある[5]。 属名Iniaは、ボリビアの原住民であるグアラヨ族による呼称に由来する[16]。 Riceの1998年の分類[Rice98]ではアマゾンカワイルカ属は1種3亜種であった。以下の分類・英名は、Mead & Brownell (2005) に従う[5]。
分布
形態
分類
Inia geoffrensis geoffrensis (Blainville, 1817) Amazon river dolphin
エクアドル、ブラジル、ペルーのアマゾン川流域[3]歯数は上下左右で26 - 31本ずつ[8]。
Inia geoffrensis boliviensis d'Orbigny, 1834 Bolivian river dolphin
ボリビアのマデイラ川流域[3]歯数は上下左右で31 - 35本ずつ[8]。
Inia geoffrensis humboldtiana Pilleri & Gihr, 1978 Orinoco river dolphin
コロンビア、ベネズエラのオリノコ川流域[3]歯数は上下左右で24 - 27本ずつ[8]。