アポロ9号
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Apollo 9
徽章

ミッションの情報
ミッション名Apollo 9
司令船CM-104
機械船SM-104
月着陸船LM-3
質量司令機械船 26,801 kg;
月着陸船 14,575 kg
乗員数3
コールサイン司令機械船: ガムドロップ
月着陸船: スパイダー
打上げ機Saturn V SA-504
発射台フロリダ州ケネディー宇宙センター
39A発射台
打上げ日時1969年3月3日
16:00:00 UTC
着陸または着水日時1969年3月13日
17:00:54 UTC
.mw-parser-output .geo-default,.mw-parser-output .geo-dms,.mw-parser-output .geo-dec{display:inline}.mw-parser-output .geo-nondefault,.mw-parser-output .geo-multi-punct,.mw-parser-output .geo-inline-hidden{display:none}.mw-parser-output .longitude,.mw-parser-output .latitude{white-space:nowrap}北緯23度15分 西経67度56分 / 北緯23.250度 西経67.933度 / 23.250; -67.933
ミッション期間10日1時間0分54秒
乗員写真

左から:マクディビット、スコット、シュワイカート
年表

前回次回
アポロ8号アポロ10号

アポロ9号は、アメリカ合衆国アポロ計画における三度目の有人宇宙飛行である。アポロ司令・機械船月着陸船とともにフルセットで打ち上げるのは、これが初めてだった。ジェームズ・マクディビット (James McDivitt) 船長、デイヴィッド・スコット (David Scott) 司令船操縦士、ラッセル・シュワイカート (Rusty Schweickart) 月着陸船操縦士の三名の宇宙飛行士は、着陸船のロケットエンジン宇宙服生命維持装置航法装置・ドッキング操作など、月面着陸において重要となるいくつもの要素について試験を行った。またサターンV型ロケットを使用して有人飛行を行うのは、これが二度目であった。

1969年3月3日に打ち上げ後、飛行士たちは軌道上で10日間を過ごし、その間に月着陸船による初の有人飛行や、二度の船外活動を行った。またこの間に実行された人間が搭乗した宇宙船 (司令船と月着陸船) 同士のランデブーとドッキングは、史上二度目となるものであった (史上初のドッキングはこの2ヶ月前にソビエト連邦ソユーズ4号5号によって行われ、飛行士が船外活動で宇宙船を乗り移った)。この飛行により月着陸船の安全性が証明され、後のアポロ10号の飛行で、アポロ計画の究極の目的である月面着陸への準備が整うこととなった。
搭乗員

地位飛行士
船長ジェームズ・マクディビット (James McDivitt)
二回目の宇宙飛行
司令船操縦士デイヴィッド・スコット (David Scott)
二回目の宇宙飛行
月着陸船操縦士ラッセル・シュワイカート (Rusty Schweickart)
一回目の宇宙飛行
アポロ8号と同様、飛行士はジェミニ計画のベテラン飛行士二名と新人一名で構成されていた。

予備搭乗員

地位飛行士
船長ピート・コンラッド (Charles Pete Conrad, Jr)
司令船操縦士リチャード・ゴードン (Richard F. Gordon, Jr.)
月着陸船操縦士 クリフトン・ウィリアムズ (Clifton C. Williams)[注釈 1]
アラン・ビーン (Alan L. Bean)
この予備搭乗員たちは、アポロ12号の本搭乗員となった。

支援飛行士

フレッド・ヘイズ (Fred W. Haise, Jr)

ジャック・ルーズマ (Jack R. Lousma)

エドガー・ミッチェル (Edgar D. Mitchell)

アルフレッド・ウォールデン (Alfred M. Worden)

飛行主任

ジーン・クランツ (Gene Kranz)、白チーム主任

ジェラルド・グリフィン (Gerald D. Griffin)、金チーム主任

ピート・フランク (Pete Frank)、オレンジチーム主任

飛行の概要

質量: 司令・機械船 26,801 kg、月着陸船 14,575 kg

近地点: 189.5 km

遠地点: 192.4 km

軌道傾斜角: 32.57°

軌道周期: 88.64 分

司令・機械船と着陸船とのドッキング

ドッキング切り離し:
1969年3月7日 12:39:36 UTC

再ドッキング:1969年3月7日 19:02:26 UTC

船外活動

シュワイカート -
船外活動 - 着陸船前方ハッチからの船外活動

開始時間:1969年3月6日 16:45:00 UTC

終了時間:1969年3月6日 17:52:00 UTC

活動時間:1時間07分


スコット - ハッチから半身を乗り出しての船外活動 - 司令船側方ハッチから

開始時間:1969年3月6日 17:01:00 UTC

終了時間:1969年3月6日 18:02:00 UTC

活動時間:1時間01分


当初の計画

マクディヴィット、スコット、シュワイカートの三名は、当初はAS-204の指定番号が与えられているアポロ1号の予備搭乗員に任命されていた。1号にはガス・グリソム (Gus Grissom)、エドワード・ホワイト (Edward Higgins White)、ロジャー・チャフィー (Roger Chaffee) が搭乗し、1966年後半に司令・機械船による初の地球周回試験飛行を行う予定になっていた。またこの後には、ウォルター・シラー (Wally Schirra)、ウォルター・カニンガム (Walter Cunningham)、ドン・エイゼル (Donn F. Eisele) が搭乗するAS-205が予定されていた。

だが司令・機械船の開発が遅れたことでAS-204の飛行は1967年にずれ込んでしまい、これによりAS-205は1966年にキャンセルされた。シラーのチームはグリソムたちの予備搭乗員に任命され、代わってマクディヴィットのチームが新たな飛行の本搭乗員に昇格した。マクディヴィットたちが搭乗する新たな飛行では、司令・機械船および月着陸船の完成形を2機のサターンIB型ロケットで別々に地球周回軌道に打ち上げ、ランデブーとドッキングをすることになっていた。

彼らは直ちに、新たにAS-205/208の指定番号が与えられた、1967年後半に発射が予定されているこの飛行の訓練を始めた[1]

1967年1月27日、グリソムたちは2月21日に発射が予定されている1号の飛行の予行演習ともいえる最終調整を、発射台上で行っていた。そのとき突然、電気系統のショートが原因と見られる火花が発生し、司令船内は瞬く間に炎に包まれた。三人の飛行士は逃げる間もなく、アメリカの宇宙開発史上初めての犠牲者となった。この事故によりアポロ計画は18ヶ月に及ぶ停滞を余儀なくされ、安全上の問題点が数多く指摘された司令船は根本から設計を見直された。

だが仮に1号の事故がなかったとしても、AS-205/208の発射は不可能だった。着陸船の開発は遅れていて、ようやく初の無人飛行が行われたのは1968年1月のことであった。この18ヶ月間を、NASAは遅れていた着陸船とサターン5型ロケットの開発と無人試験に充てることができた。

有人飛行計画の進行は1967年10月までには再開され、翌1968年10月にはシラーのチームがアポロ7号として、「C計画」と呼ばれるアポロ宇宙船による初の地球周回飛行を行った。またこの年の12月にはマクディヴィットのチームが2機のサターンIBではなく1機のサターン5型を使用する「D計画」と呼ばれる飛行を行い、さらに1969年初頭にはフランク・ボーマン (Frank Borman)、マイケル・コリンズ (Michael Collins)、ウィリアム・アンダース (William Anders) が搭乗して地球をより高い軌道で周回する「E計画」が行われることになっていた。

だが相続く着陸船の開発トラブルによりD計画は1969年の春まで実行することが不可能になったため、NASAは8号をサターン5型を使って司令・着陸船のみを月を周回させる飛行に変更し、E計画は不要であるとしてキャンセルされた。一方でマクディヴィットのチームはこの間ずっと着陸船初飛行のための訓練を続けており、彼も着陸船の飛行をしたいという希望を個人的に表明していたため、ボーマンとマクディヴィットのチームが交代し、D計画がアポロ9号となった。

この搭乗員のシフトの交代は、誰が最初に月面に降り立つかということにも影響を与えた。8号と9号の飛行士が交代されたとき、その予備搭乗員もまたシフトチェンジされたのである。搭乗員シフトのルールでは、予備搭乗員に任命された飛行士たちはその三つ後の飛行での本搭乗員となるのが原則だった。そのためボーマンたちの予備だったニール・アームストロング (Neil Armstrong) のグループが史上初の月面着陸をするアポロ11号の本搭乗員となり、また本来は11号に搭乗する予定だったピート・コンラッド (Charles Pete Conrad, Jr) のグループは、史上二度目の着陸となるアポロ12号で飛行することになったのである。


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