アポロ計画陰謀論
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アポロ計画陰謀論(アポロけいかくいんぼうろん)とは、アメリカ合衆国航空宇宙局(NASA)を中心として1960年代から1970年代に行ったアポロ計画(人類の月面着陸計画)に関して、NASAが公式に行った発表とは異なる真実があったとする説のことである。
陰謀論の主な種類

陰謀説には大きく分けて以下の2種類のものがある。
捏造説・ムーンホークス (Moon Hoax) 説
人類が月面着陸したというのは、アメリカの嘘(でっち上げ)であるという説
[1]。Hoaxは「インチキ」ないし「でっち上げ」の意味。
遭遇隠蔽説
月面着陸した際、宇宙飛行士が一般的に公表されていることとは別のもの(宇宙人UFOなど)を見たが、それをアメリカは隠蔽しているとする説。
捏造説

フィクションやジョークの類ではなく、事実としてアポロ計画捏造説を主張した最初の出版物はビル・ケイシング(英語版)[2]が1974年に出版した “We Never Went to the Moon”(我々は月に行ってなどいない)であるとされている。自費出版系の出版社から発行されたこの本は、著者の主張によれば3万部が売れたという。

キリスト教根本主義の一派である地球平面協会(地球は球ではなく聖書にあるとおり平らであると主張する団体)は、月着陸が捏造だとNASAを弾劾した最初の組織であり、1972年から2001年の協会代表だったチャールズ・ジョンソンは「SF作家のアーサー・C・クラークが脚本を書いて、ハリウッドのスタッフがアリゾナで撮影した」と主張していた[3][4][5]

アポロ計画陰謀論に関連する映画として、アメリカによる有人火星探査を描いたSF映画カプリコン・1」(1977年、英、監督ピーター・ハイアムズ)がある(アメリカの威信をかけた有人火星探査に失敗したNASAが、それを隠すため、室内に火星セットを作り、火星への着陸シーンを撮影するというもの)。同年にイギリスではエイプリルフールのジョーク番組として「第三の選択」(製作アングリアTV)が放映された(放映日は6月20日)。これは、宇宙飛行士の名前をわざと間違えている、登場人物を演じた俳優名が役名ともにキャストロールで明記されている、製作年月日が4月1日になっているなど、注意して見れば番組そのものが冗談だと分かるようになっていた。この番組はアメリカでも放映され、真に受ける視聴者が続出した。日本では同年フジテレビの深夜枠で「この番組は本年4月1日にイギリスで放送されて大反響を巻き起こしました」という前振りを入れて放映されたが、番組を観た視聴者から新聞社や放送局に問合せが殺到し、慌てたフジテレビではジョーク番組であった旨のコメントを発表した。1982年1月21日日本テレビ木曜スペシャル」枠で放映されたが、視聴者がジョーク番組だとわかるための手がかりであるエンドクレジットがカットされて放映された(口頭でエイプリルフールである旨を伝えている)。1991年8月28日には同番組がフジテレビで放映されたが、このときは放送の最後に「4月1日」と日本語のテロップで表示されていた。

2000年代初め、テレビ朝日がバラエティ番組「不思議どっとテレビ。これマジ!?」でアポロ計画陰謀説を紹介し、エドウィン・オルドリン宇宙飛行士など関係者に取材するなどした後、数度にわたって番組を放送したが、番組を観た視聴者から編集方法に偏りがあるとの苦情が放送と青少年に関する委員会へ寄せられ、委員会よりテレビ朝日へ苦情に対する回答要請が出された[6]

テレビ朝日は、2003年の大みそかに放送した「ビートたけしの世界はこうしてだまされた!?」[7]の中で、フランスのテレビ局が制作した『Operation Lune(フランス語版)』という番組を紹介した。その内容は、アメリカ合衆国国防長官ドナルド・ラムズフェルドを始めとするアメリカ高官が、アポロ計画を捏造するために「2001年宇宙の旅」を監督したスタンリー・キューブリックに月面の映像作成を依頼したと告白するというものであったが、この番組はアメリカの高官の発言の合間に役者の演じる架空の人物(名前は映画の登場人物名や俳優の本名をもじったもの)の発言を挟むことで、高官が実際には言っていないことを言っているかのように錯覚させる「フェイク・ドキュメンタリー」と呼ばれるフィクション作品である。「ビートたけしの世界はこうしてだまされた!?」の司会者も、『Operation Lune』の紹介が終わったあとで「この番組はエイプリルフール用に作られた冗談番組です」と明言している。日本の陰謀論者の中には、自分の著作やコラムでこの番組を論拠とし、中華人民共和国が予定する嫦娥計画が人類初の月面着陸となるであろう、と主張する者もいる[8]

キリスト教文化がそれほど浸透していない日本では、アメリカ同時多発テロ事件陰謀説等と同様に反米主義を前提とした陰謀論や科学技術に対する無理解・懐疑と関連して唱えられることが多い。副島隆彦2003年に自身のブログでアポロ計画がアメリカ政府による情報操作の具体例であると主張、2004年にそれを『人類の月面着陸は無かったろう論』として出版した。しかしブログに掲載された段階から静止衛星ロケットの原理など、一般的な基礎知識や初歩的科学に基づく部分だけでも多くの間違いがあることや調査不足であることがネット上で多く指摘され、2005年と学会による「日本トンデモ本大賞」に選定されている。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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