アペール症候群
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染色体異常(せんしょくたいいじょう)とは、染色体の、欠失・逆位・転座・重複などによる構造の変化や、染色体数の増減などの変異。また、それが原因で起こるダウン症候群などの病気。染色体突然変異[1]

元々は突然変異を起こした細胞を顕微鏡で調べた際、染色体が変化しているもの(数が違っていたり形態が違うなど)と変化が発見できないものがあり、前者を「染色体突然変異」、後者は(当時は確認できなかったが)染色体上の遺伝子だけが変化したと考えられ「遺伝子突然変異」または「点突然変異」と呼ばれ区別されたものである[2]

この記事では染色体の数・形態の異常を伴う染色体異常について述べており、染色体の数や形態の異常を伴わない遺伝子の異常による病気は遺伝子疾患に、原因の明らかでない先天奇形症候群は奇形症候群に詳述されている。また、主に医学的な観点からヒトの染色体異常を中心に解説する。目次

1 概要

2 染色体異常の種類

3 常染色体トリソミー

4 常染色体部分モノソミー

5 性染色体異常

5.1 性染色体の過剰

5.2 性染色体モノソミー

5.3 性染色体の組み合わせ一覧


6 血液疾患における代表的染色体異常

7 関連項目

8 注釈

9 出典

10 参考文献

11 外部リンク

概要

ヒトは22対の常染色体と一対の性染色体を持つが、染色体の量的変化や形の変化があると染色体異常になる。一例としてダウン症でよく見られる「染色体が47本(通常は46本)で21番目の染色体が3本(正常より1本多い)」というケースはこの1本の差で知的障害や内臓奇形などが引き起こされる[3]。また、これ以外にも染色体数は正常と同じ46本だが実際は21番染色体が他の染色体にくっついて(転座)結局3本分ある場合もダウン症になる[4]
染色体異常の種類
細胞分裂時の染色体不分離現象によるもの
減数分裂する際に染色体が均等に別れず、本来別々の細胞に入る対の2本が同じ細胞に入り、もう一つの細胞では欠落する。この細胞が受精するとその染色体の本数が通常と異なる細胞になる
[4]。通常、染色体は2本で対をなしている(ダイソミー)が、これが1本になるのが「モノソミー」、3本になるのが「トリソミー」、4本になるのが「テトラソミー」、5本になるのが「ペンタソミー」という。上述の「染色体が47本あるダウン症」は21番染色体のトリソミー。不分離現象は必ずしも遺伝的ではなく、むしろ高齢の女性から生まれた子供に比較的多い[4]
染色体の数が1対が2本以外の組み合わせで全部そろったセットであるもの(倍数体)。例として全部3本ずつの69本(三倍体 triploidy)など。
三倍体単独は人間では通常流産するが、二倍体とのモザイクでは生存出生する場合がある[5]。人間を含む哺乳類では倍数体は致死もしくは出生直後に死亡することが多いが、カエルは半数体から3・4・5・6倍体でも普通に生存する[6]など生物によって違いが多い。 第4染色体と第20染色体の転座
ある染色体の一部もしくは全部が別の染色体にくっついているもの(転座
均衡型転座と不均衡転座があり、均衡型では染色体の過不足はない(足りない分が他の染色体に同じだけある)ので正常だが、その人の生殖細胞からは転座した染色体が減数分裂でちゃんと1本分の遺伝子が渡されなくなるので不均衡転座の子供が生まれる確率がある[注釈 1]、習慣性流産の原因となる場合がある。不均衡型では過不足(部分モノソミーや部分トリソミーなど、場合によっては完全トリソミーの場合も)が生じるので何らかの問題(場合によっては流産)が起きる。なお、親に転座がなくても最初から不均衡転座が生まれるケースもあり「de novo(新生)相互転座」という[7]。染色体単位で転座しているロバートソン(Robertson )型転座というものもあり、こちらはDグループ(13?15番)かGグループ(21?22)の染色体の短腕が取れて(ここは遺伝子がないのでこれ自体は異常を起こさない)お互い長腕同士がくっついており、これによってDグループやGグループの染色体がトリソミーやモノソミー(部分型だが実質は1本丸ごとと変わらない変化になる)を起こす[8]。ダウン症のこのタイプの転座の例をあげると21番染色体が21番同士でくっついているG21/G21転座型やDグループ染色体とくっついているD/G21転座型などがあり[注釈 2]、染色体数は正常同様46本だが実際には21番染色体が3つ分あるのでトリソミーと同じような症状が出る。なお、転座している染色体の形状が通常と異なる(21番染色体の分だけ大きくなっている)他、(de novoでない限り)親を調べると染色体数が45本しかない事で見当がつく[4]
ある染色体の形が変わっているもの(欠失・重複)
転座と違いある染色体の一部が取れてたり(欠失)、逆に一部が二重に存在する(重複)もの。染色体量に変化が起きるので異常が起きる。また欠失の一種で染色体の末端部分が切れてそこがつながり輪のようになっているものもある(環状染色体)。例として第5番染色体の短腕(V字状突出部の短い方)が欠損する(後述の5p-症候群)とネコなき症(猫鳴き症候群、仏:Cri Du Chat Syndrome 英:cat cry Syndrome)という丸顔で両眼隔離・発育障害・知能障害・子ネコ様の鳴き声などの異常が起きる。また第18番染色体が環状染色体に変形している(E-18リング)と知能や発育に障害が出るほか中耳閉塞・内蔵手足奇形などが起きる[4]。なお、染色体には、短腕(p)と長腕(q)があり、例えば前述の5番染色体の片方の短腕が欠失することを5pモノソミー(「5番染色体短腕が1本分しかない」という意味)といい、5p-(ごピーマイナス)と表記する。


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