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配布されたマスクとパッケージ
アベノマスクは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行下に2020年4月から日本で配布されたガーゼ製布マスクの俗称[1][2]。急激な需要の増大で発生した不織布マスク不足の解消を目的として、安倍政権が約260億円をかけて[3]全世帯に2枚ずつ配布した[1][2][4]。
全世帯向けのほか介護施設などにも配布され[5][6][7][8]、世界でもAbenomaskとして広く報道されていた[9][10]。
概要新型コロナウイルス感染症対策本部の第25回会議にて全世帯への布マスク2枚配布を表明する安倍晋三・内閣総理大臣(右から2人目)。なお、安倍は布マスクを着用しているが周囲の国務大臣は不織布マスクを着用している(2020年4月1日、総理大臣官邸にて)
2020年の3月頃から新型コロナウイルス感染症の世界的な流行が日本でも大きな問題になると、マスク需要が急激に増大し、一般市民のマスク入手がきわめて困難となったほか、医療の現場でもマスク不足のため感染対策が不十分となる事例が報告されるようになった[11][12]。
そのため経済産業省などを中心に国内のマスク需要に応える方法が模索され、4月1日の新型コロナウイルス感染症対策本部の会合において、当時の安倍晋三首相は国内全世帯への「布マスク」の無償配布を行うという方針を発表した[1][13]。
これは、一般的に使われている「不織布マスク」を医療機関へ優先的に回し、一般市民には再利用可能な「布マスク」を繰り返し使用させることで需給バランスを調整するねらいがあったとされる[1]。
政府は4月7日に、この方針を閣議決定[14]。安倍首相は4月17日に記者会見で「国民の高い需要に応じて布マスクを2枚配布する」と説明した[15]。
以後、全国で順次配布が進められ、6月25日には、当時の菅義偉官房長官が布マスクの配布が「(6月)20日までに全て完了した」と述べた[16][17]。
この配布政策、また配布された布マスクが、安倍首相の経済政策アベノミクスになぞらえて(語音転換)アベノマスクと呼ばれるようになり、海外メディアでも取り上げられた[18]。 政府は2020年6月の時点で、契約額が総額260億円(調達に184億円、配送費として76億円)に達したと発表した[3]。1枚あたりの単価は公開されていなかったが[19]、神戸学院大学教授の上脇博之が日本国政府に対して情報開示するよう提訴[20]、大阪地方裁判所は情報公開を命令、政府は控訴を断念した。2023年4月になり、1枚当たりの単価は62.6?150円で、納入業者、契約の時期によって2.4倍の差があることが明らかになった[21]。 2021年10月に報道された会計検査院の調査によると、政府が調達した布マスク全体の3割近い8300万枚が配りきれないまま倉庫に保管されていることが確認された[22](この保管分の平均単価は約140円で、総額は115億円相当だった[23])。2020年8月から2021年3月にかけての保管費用が、約6億円にのぼることも判明している[23]。 また2021年12月21日、内閣総理大臣岸田文雄は国会答弁において、この保管分の検品を実施した際、約15%となる1100万枚が不良品と判明し、さらにこうした検品費用として、約20億9,200万円の追加支出が発生していることを明らかにした[24]。 そして岸田首相は同日の会見で、すでに高性能マスクが十分に備蓄されるようになっているとして、希望者に配布するなどしたうえで、これらの在庫分を年度内にすべて廃棄する方針を表明した[25][26][27]。この廃棄処分の費用は約6,000万円に上ると報道された[28]。 2022年3月18日、参議院予算委員会の質疑で、田島麻衣子参議院議員が、アベノマスクなどの布マスク約53万枚の行方がわからなくなっていると指摘した。会計検査院は予算委員会で、厚労省は約2億8741万枚を調達し、昨年3月末までに約2億415万枚を配布したことを資料で確認したと説明。調達数から配布枚数を差し引くと、約8326万枚が在庫となるところ、厚労省の在庫はこれより約53万枚少なかったと述べた。後藤茂之厚生労働大臣は事実関係を認め、陳謝した[29][30]。 マスクの納入業者との契約単価や発注枚数を情報公開請求で開示しないのは不当だとして、神戸学院大学の上脇博之教授が国に開示などを求めた訴訟の判決で、2023年2月28日、大阪地方裁判所(徳地淳裁判長)は国に開示を命じた[31]。国が控訴を断念したためこの判決が確定した[32]。 布マスク配布の方針自体には一定の評価の声が聞かれた一方で、後述のとおり広く市販されていた不織布マスクよりもサイズが一回り小さいと受け止める声が出たことや、また配布されたマスクに虫や髪の毛などの異物混入が多数報告されたこと[33][34]、さらに当初目標とした全戸配布に時間がかかり、配布が終了したころにはすでに市中での一般販売が回復し始めていたことなどから、厳しい批判の声が相次ぐこととなった(肯定・批判など布マスク配布に対して上がった声の例は後述の「評価」節を参照)。
費用
配布後
反応
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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