アフリカ系アメリカ人
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アフリカ系アメリカ人African American
代表的なアフリカ系アメリカ人
1段目:マーティン・ルーサー・キング(左端)、ルイ・アームストロング(中心)、チャック・ベリー(右端)
2段目:ダイアナ・ロス(左端)、ジャッキー・ロビンソン(中心)、バラク・オバマ(右端)
3段目:コリン・パウエル(左端)、コンドリーザ・ライス(中心)、マイケル・ジャクソン(右端)
4段目:ジャネット・ジャクソン(左端)、マイケル・ジョーダン(中心)、コービー・ブライアント(右端)
5段目:オプラ・ウィンフリー(左)、50セント(右)
総人口
4578万9188(14.1%)(2017年)[1]
居住地域
アメリカ合衆国
言語
アメリカ英語黒人英語南部アメリカ英語カリブスペイン語ハイチ語フランス語系のクレオール言語)、ブラジルポルトガル語
宗教
ほとんどがプロテスタント、一部はカトリック、稀にイスラーム
関連する民族
ブラック・インディアンアメリコ・ライベリアン、アフリカ系ラテンアメリカ人

アフリカ系アメリカ人(アフリカけいアメリカじん、: African-American[† 1])は、アメリカ合衆国民のうち、アフリカ出身の黒人(ネグロイド)もしくはその子孫であるものたちの総称。アフリカン・アメリカン、アフロアメリカン (Afro-American[† 2])、アメリカ黒人ともいう。

アフリカ系アメリカ人という言葉には黒人(ネグロイド)を意味する語は含まれないが、コーカソイドに属する北アフリカ系アメリカ人(アラブ人ベルベル人の子孫)や、ヨーロッパ系アフリカ人(アフリカーナーアングロアフリカンなど)の子孫を含まない。
概要

大半は、19世紀半ばの南北戦争以前にアフリカサハラ砂漠以南のブラックアフリカ)から奴隷貿易により米国へ連れてこられた奴隷子孫であるが、より新しい時代に自由な移民として渡米した者やその子孫も存在する。彼らをアフリカ系 (African) と呼ぶべきかどうかについて、また、黒人 (Black) と呼ぶべきかどうかについては、論争がある。中米に奴隷として送られたのちに移民として渡米するなど、より複雑な経緯を持つ者もいる。

奴隷として連れて来られた際は出身集団や民族集団が異なっていたが、奴隷制度によって民族・文化的なつながりが乏しくなっていき、また、長い年月によって混血も進んだため、民族集団としてではなく、アメリカ合衆国に在住する黒人の人種コミュニティとして度々用いられる(米国内の黒人人種比率: 12.9%、2005年)。

アフリカ系アメリカ人は、長い間人種差別の対象とされ苦難の道を歩んできたが、現在はブラジルなど他のヨーロッパ系主体の移民国家のアフリカ系住民より社会進出が進み、ホワイトカラー軍人俳優スポーツ選手で活躍する場合も多く、多数の閣僚を輩出するなど、国政の中枢にまで上がりつめるようになっている。
呼称

以前は「ニグロ (negro[† 3])」や「ニガー (nigger[† 4])」などとも呼ばれたが、これは1960年代公民権運動の高まり(ブラック・パワー)以来差別用語とされている。その一方、アフリカ系アメリカ人男性同士の人類同胞主義の表現として「ニガ (nigga)」が使われる事も多々あり、その傾向は特にラップにおいて顕著である。しかし日本人などの黄色人種白人系アメリカ人を含め、アフリカ系アメリカ人以外の者達がこの表現を使う事は差別的言動とみなされる。

民族的回帰運動でもある「ブラック・パワー」を提起した黒人たちは、「ブラック・イズ・ビューティフル(黒は美しい)」をスローガンに掲げ、白人から否定され、自らも否定してきた黒人の人種的特徴を「黒人らしさ」として逆に強調し、彼らの民族的アイデンティティーを主張する表現のひとつとしてアフロヘアーという髪型も生み出した。彼らはキリスト教からイスラム教へ改宗したほか、自らを「ブラック(黒人)」と自称し、これは現在の黒人たちの一般的な自称となっている。

アメリカ陸軍においては、2014年11月8日まで軍内の規定で、黒人を指すときに「黒人もしくはアフリカ系の米国人」「ハイチ人」「ニグロ」などが使用可能であった。批判を受け、陸軍は「黒人もしくはアフリカ系の米国人」の表記のみを容認することとなった[2]
定義に関する論争

マーチン・ルーサー・キングの演説にあるようにアメリカ合衆国で単に「黒人」というときは奴隷解放宣言までに奴隷としてアメリカ合衆国に渡来したアフリカの人々の子孫を指すのが一般的である。しかし移民大国のアメリカには、現在に至ってもアフリカ、中南米カリブ海諸国から黒人の移民の流入がある。しかし、彼等は米国の手によってアフリカから連れて来られた黒人奴隷の子孫とは異なる(中南米やカリブ海諸国から来た場合はスペインフランスイギリスなどにより連れて来られてきた黒人奴隷の子孫である)ことから、アメリカ国籍を持っていない場合は、「アフリカ系アメリカ人」という呼び名は該当しないとの指摘もある。例えば、コリン・パウエルはアフリカからジャマイカを経由し米国へ到着した移民の子孫であり、カリビアン・アメリカン(英語版)が正当な名称であるが、実際にはアメリカ国籍を持ちアフリカにルーツを持つ場合は、アフリカ系アメリカ人という名称が用いられる。

デブラ・ディッカーソン(英語版)は、黒人 (Black) という語は、アメリカ(America、アメリカ合衆国のみを指す名称ではなく両米の意味か)に奴隷として連れて来られた人々とその子孫に使用を限定すべきであると主張している[3]。また彼女は、アフリカ系 (African) についても同様の主張をしている[4]
ワンドロップ・ルール

1967年まで、一部のでは、ワンドロップ・ルールというものが使われていた。これは、16分の1、つまり自分の曽祖父に一人でもアフリカ系黒人が含まれる場合には、差別の対象者の一人とされていた。これは欧米系白人の血の方が濃い場合でも黒人の一人として分類されるという考えである。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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