アフラトキシンB1
(?)-アフラトキシンB1の化学構造
アフラトキシンB1の3次元構造
IUPAC名
(6aR,9aS)-2,3,6a,9a-Tetrahydro-4-methoxy-1H,11H-cyclopenta[c]furo[3',2':4,5]furo[2,3-h][1]benzopyran-1,11-dione
別称NSC 529592
識別情報
CAS登録番号1162-65-8
アフラトキシンB1(aflatoxin B1)は、アスペルギルス・フラバス(英語版)やアスペルギルス・パラシチクス(英語版)などの真菌類によって産生される毒素アフラトキシンの一種であり、アフラトキシンの中で最も毒性の高い物質である。非常に強力な発がん性があり、実験動物の半数に発がんが認められるTD50は、ラットにおいて0.0032 mg/kg/dayである[1]。ただしその発がん性の強さは動物種によって違いがあり、ラットやサルなどは他の種よりも感受性がかなり高いとされている[2]。ヒトの肝細胞癌の発生に関与し[3]、動物においては変異原性[4]、催奇性 [5]、免疫毒性[6]などが認められる。アフラトキシンB1はラッカセイ、トウモロコシ、綿実粕(英語版)などのさまざまな食品、穀物、動物飼料などの汚染物質になり得[7][8]、その汚染の検出や分析には薄層クロマトグラフィー(TLC)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、質量分析(MS)、ELISAなどが用いられる[9]。アフラトキシンB1の許容レベルは国連食糧農業機関(FAO)によって定められており、その濃度は2003年において、食品中で1?20 μg/kg、食用牛飼料中で5?50 μg/kgである[10]。 アフラトキシンB1の暴露源は、ヒトにおいては汚染された食品が主である[11]。アフラトキシンB1の産生は高温で多湿な環境で促進されるため、東南アジア、南米、サハラ以南のアフリカなどで保存された食品が汚染されやすい[12]。なお、職業的な曝露は養豚業[13]および養鶏業[14]において報告されている。 アフラトキシンB1は、ヒトにおいては経口からの摂取が主であるが、皮膚も透過し得る。そしてそれが重大な健康上のリスクにつながる可能性がある[15]。アフラトキシンB1の毒性に対して最も感受性が高い臓器は肝臓であり、動物実験における病変には、肝臓重量の低下[16]、肝細胞の空胞化[17]、肝細胞癌 [18]などがある。また肝細胞の肥大、脂肪肝、壊死、出血、肝線維症、結節の再生、胆管の増殖や過形成なども認められる[19]。 Aspergillus flavusは世界中に分布するマユハキタケ科 アフラトキシンB1は特化した脂肪酸合成酵素(FAS)とポリケチド合成酵素(PKS)に由来する。
暴露源
病理
Aspergillus flavus
生合成経路