アフラトキシンB1
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アフラトキシンB1

(?)-アフラトキシンB1の化学構造

アフラトキシンB1の3次元構造
IUPAC名

(6aR,9aS)-2,3,6a,9a-Tetrahydro-4-methoxy-1H,11H-cyclopenta[c]furo[3',2':4,5]furo[2,3-h][1]benzopyran-1,11-dione
別称NSC 529592
識別情報
CAS登録番号1162-65-8
PubChem14403
ChemSpider13758
ChEMBLCHEMBL1697694
SMILES

O=C5C=4C(=O)Oc3c1c(OC2O\C=C/C12)cc(OC)c3C=4CC5

InChI

InChI=1S/C17H12O6/c1-20-10-6-11-14(8-4-5-21-17(8)22-11)15-13(10)7-2-3-9(18)12(7)16(19)23-15/h4-6,8,17H,2-3H2,1H3Key: OQIQSTLJSLGHID-UHFFFAOYSA-N

特性
化学式C17H12O6
モル質量312.27 g mol?1
危険性
主な危険性猛毒 T+
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

アフラトキシンB1(aflatoxin B1)は、アスペルギルス・フラバス(英語版)やアスペルギルス・パラシチクス(英語版)などの真菌類によって産生される毒素アフラトキシンの一種であり、アフラトキシンの中で最も毒性の高い物質である。非常に強力な発がん性があり、実験動物の半数に発がんが認められるTD50は、ラットにおいて0.0032 mg/kg/dayである[1]。ただしその発がん性の強さは動物種によって違いがあり、ラットやサルなどは他の種よりも感受性がかなり高いとされている[2]。ヒトの肝細胞癌の発生に関与し[3]、動物においては変異原性[4]催奇性 [5]、免疫毒性[6]などが認められる。アフラトキシンB1はラッカセイトウモロコシ、綿実粕(英語版)などのさまざまな食品、穀物、動物飼料などの汚染物質になり得[7][8]、その汚染の検出や分析には薄層クロマトグラフィー(TLC)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、質量分析(MS)、ELISAなどが用いられる[9]。アフラトキシンB1の許容レベルは国連食糧農業機関(FAO)によって定められており、その濃度は2003年において、食品中で1?20 μg/kg、食用牛飼料中で5?50 μg/kgである[10]
暴露源

アフラトキシンB1の暴露源は、ヒトにおいては汚染された食品が主である[11]。アフラトキシンB1の産生は高温で多湿な環境で促進されるため、東南アジア、南米、サハラ以南のアフリカなどで保存された食品が汚染されやすい[12]。なお、職業的な曝露は養豚[13]および養鶏[14]において報告されている。
病理

アフラトキシンB1は、ヒトにおいては経口からの摂取が主であるが、皮膚も透過し得る。そしてそれが重大な健康上のリスクにつながる可能性がある[15]。アフラトキシンB1の毒性に対して最も感受性が高い臓器は肝臓であり、動物実験における病変には、肝臓重量の低下[16]、肝細胞の空胞化[17]、肝細胞癌 [18]などがある。また肝細胞の肥大、脂肪肝壊死、出血、肝線維症、結節の再生、胆管の増殖や過形成なども認められる[19]
Aspergillus flavus

Aspergillus flavusは世界中に分布するマユハキタケ科(英語版)(Trichocomaceae)の真菌である。このカビは土壌中に生育し、死んだ植物や動物性物質で生活するが、浮遊分生子によって空気を通じて広がる[20]。この真菌は長い分岐した菌糸に成長し、トウモロコシやラッカセイを含む膨大な数の食料源上で生存できる[21]。菌とその生産物はヒトを含む数多くの種に対して病原性を持つ[20]。その生産物アフラトキシン類の毒性は本項の初めから終わりまで言及されているが、Aspergillus flavus自身もアスペルギルス症によって病原性を発揮する。この感染は免疫力が低下した患者の肺で主に起こるが、皮膚やその他の器官においても感染は起こりうる[22]。多くのカビと異なり、Aspergillus flavusは熱い、乾燥した条件を好む。37 °C (99 °F)で最適成長を示すことがヒトでの病原性に寄与している[20]
生合成経路

アフラトキシンB1は特化した脂肪酸合成酵素(FAS)とポリケチド合成酵素(PKS)に由来する。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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