アド・アストラ
Ad Astra
監督ジェームズ・グレイ
脚本
ジェームズ・グレイ
イーサン・グロス
『アド・アストラ』(原題:Ad Astra、「 To the Stars 」のラテン語)は、ジェームズ・グレイ監督による2019年のアメリカ合衆国のエピック・SF・スリラー映画である。プロデューサー兼任のブラッド・ピットの他、トミー・リー・ジョーンズ、ルース・ネッガ、ドナルド・サザーランドが出演する。日本では、20世紀フォックス配給作品は本作が最後になった[注 1]。 人類は火星に宇宙基地を建造し、地球外生命体の探査に乗り出している。著名な宇宙飛行士クリフォード・マクブライドの息子であるロイ・マクブライド少佐は、優秀な宇宙飛行士となっていたが、16年前の父の事故死が切っ掛けとなり、他者と適切な関係を築くことができず、妻のイヴとも離婚していた。 ある日、地球は大規模なサージ電流に覆われ、全世界で4万人超の犠牲者が発生する。サージによる軌道施設の爆発事故を生き延びたロイは、アメリカ宇宙軍上層部に極秘に招集される。宇宙軍は、16年前に連絡を絶ち、現在は海王星付近に留まっているらしい地球外生命体探査計画「リマ」で用いられていた反物質装置がサージを引き起こしたものと推定する。リマ計画のリーダーであったクリフォードも生存している可能性が強まり、息子であるロイをクリフォードへのメッセンジャーとする。ロイは監視役であるプルーイット大佐と共に、サージの影響を免れた宇宙軍火星地下基地で、海王星へのレーザー通信を試みることになる。 ロイとプルーイットは、民間機で密かに中継点の月を目指す途中、クリフォードについて話す。プルーイットはかつてクリフォードの同僚であったが、地球外生命体の存在を頑なに信じるクリフォードとは喧嘩別れに近い形に終わっていた。月に到着したロイ達は、宇宙軍の警備の元、陸路で月の裏側にあるロケット発射基地を目指す。国境線が確定しておらず、資源紛争の場と化している月面では国籍不明の略奪団が暴れまわっており、ロイ達も襲撃を受ける。警備にあたったほとんどの兵が死亡し、プルーイットも負傷するが、ロイはかろうじて発射基地にたどり着く。容体が急変したプルーイットは、宇宙軍から告げられた真の任務内容記録――必要であればクリフォードを殺害すること――をロイに託し、宇宙船「ケフェウス」への搭乗を急がせる。火星への道中、ケフェウスはSOSを発信していたノルウェーの実験船の救助を試みるが、船員たちは脱走した実験動物に殺害されており、移乗したケフェウスの船長もその犠牲となる。更に火星への着陸寸前には、またもサージに襲われ、手動着陸を余儀なくされる。 ようやく火星基地にたどり着いたロイは父への通信を繰り返すが、応答はない。最初のうちは軍が用意した原稿を読んでいたロイだが、やがてこらえきれずに自分の言葉で父への想いを伝える。直後、ロイは軍の担当者から不安定な心理状態を指摘され、任務を解かれる。何も教えられずに地球帰還を待つ身となったロイに、火星基地の責任者でありながら蚊帳の外に置かれていたヘレン・ラントスが接触し、ケフェウスには核爆弾が積み込まれており、海王星へ向けての発進が決まったことを伝える。
あらすじ