アドリアーナ・ルクヴルール
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この項目では、フランチェスコ・チレアオペラについて説明しています。オペラのモデルとなった実在の女優については「アドリエンヌ・ルクヴルール」をご覧ください。
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『アドリアーナ・ルクヴルール』(Adriana Lecouvreur )は、フランチェスコ・チレアの作曲した全4幕のオペラである。18世紀前半にパリで活躍した実在の女優、アドリエンヌ・ルクヴルールの生涯を描いたこの作品は、1902年ミラノで初演され大成功を収めた。今日でも「新イタリア楽派」オペラの佳作のひとつとして、チレアのオペラ作品中もっとも頻繁に上演される作品となっている。

原語曲名: Adriana Lecouvreur

原作: ウジェーヌ・スクリーブとエルネスト・ルグヴェ(英語版)による戯曲『アドリエンヌ・ルクヴルール』Adrienne Lecouvreur (1849年

台本: アルトゥーロ・コラウッティ

演奏時間: 約2時間20分

初演: 1902年11月6日、ミラノ・リリコ劇場にて、クレオフォンテ・カンパニーニの指揮による

作曲の経緯

1899年2月、楽譜出版社ソンゾーニョ社の委嘱により作曲が開始された。当時ソンゾーニョ社はマスカーニレオンカヴァッロなどの新進オペラ作曲家を多数擁し、ライヴァルであるリコルディ社を激しく追い上げていた。初演劇場とされたミラノ・リリコ劇場にしても、ソンゾーニョ社が所有・運営し、自社契約作曲家の新作を上演する一種のショーケースであった。

作曲者フランチェスコ・チレアがどうしてこの題材を選んだのか確実なことは不明だが、この頃スクリーブとルグーヴェによる戯曲のイタリア語版が、大女優エレオノーラ・ドゥーゼの主演により好評を博していたことから、新作とは言ってもある程度の成功の裏付けのある「安全策」をとったのではないかと考えられる。

なお、同戯曲を原作としたオペラはチレアの着手以前も少なくとも3曲あったことが知られているが、いずれも成功作とはいえなかった。
初演とその評価、各地での再演

1902年11月6日の初演ではアンジェリカ・パンドルフィーニ(アドリアーナ役)、エンリコ・カルーソ(マウリツィオ役)、ジュゼッペ・デ・ルーカ(ミショネ役)と好歌手を揃えた。特にカルーソはチレアの前作『アルルの女』でも初演(1897年)に参加しており、チレアおよびカルーソの評価が定まったという意味でもチレアとは「親和性の高い」テノールと考えられていたようだ。これもまた、ソンゾーニョ社のとった安全策のひとつだろう。

初演は「新イタリア楽派の作品中でも最も高貴な旋律に溢れている」と評されるなど、大絶賛をもって迎えられた。翌年にはリスボンバルセロナメキシコシティ、など、1904年にはロンドンコヴェント・ガーデン歌劇場などでの再演がなされた。

日本での初演は「イタリア歌劇団第8回公演」の一環として、1976年9月20日よりNHKホールで行われた[1]。アドリアーナ役にはモンセラート・カバリエ、マウリツィオ役はホセ・カレーラス、ブイヨン公妃役にフィオレンツァ・コッソット、ミショネ役にはアッティーリオ・ドラーツィと好配役を揃えた公演で、演奏はジャン・フランコ・マジーニ指揮のNHK交響楽団であった。主役のカバリエが急病のため幕の途中から代役が立った夜があったものの、成長をみせたカレーラス、力強い声のコッソット、渋い演技が光ったドラーツィのいずれもが高い評価を受けた。
編成
主な登場人物

アドリアーナ・ルクヴルール(
ソプラノ): 実在のコメディ・フランセーズ女優アドリエンヌ・ルクヴルール

マウリツィオ(テノール): ザクセン伯モーリッツのこと。アドリアーナとは恋仲だが、彼女には身分を隠し、サクソニア(ザクセン)伯爵軍に従軍している士官と名乗っている。

ブイヨン公爵(バス): 芝居愛好家の貴族。アドリアーナのライヴァルである大女優、デュクロを愛人にしている。

ブイヨン公妃(メゾソプラノ): マウリツィオに恋心を抱いている。

ミショネ(バリトン): コメディ・フランセーズの初老の舞台監督。アドリアーナに密かな恋心を抱いている。


合唱

舞台構成

全4幕

第1幕: コメディ・フランセーズの楽屋

第2幕: セーヌ河に面する、女優デュクロの邸宅

第3幕: ブイヨン大公邸

第4幕: アドリアーナの邸宅

あらすじ

時と場所: 1730年3月、パリ
第1幕

公演直前の舞台袖。今晩の演目はコルネイユの『バジャゼ(Bajazet)』。一座の2大女優アドリアーナとデュクロが競演するとあって期待と興奮が高まっている。舞台監督のミショネは俳優たちに衣装や小道具のあれこれの事を言い付けられ、一座のパトロン、ブイヨン公爵の相手もしなければならず大忙しである。アドリアーナも登場。彼女は楽屋の喧騒をよそに台詞の練習に余念がない。その演技の素晴らしさに思わず一同が賞賛の声を挙げると、アドリアーナは謙遜して「自分は芸術の神に仕える醜い僕(しもべ)です」と言う。

芝居が始まり、楽屋には出番を待つアドリアーナとミショネだけが残される。かねてからアドリアーナに想いを寄せるミショネは「伯父が死んで遺産が入った。意中の女性に求婚しようと思うんだが」と、おずおず不器用に自分の想いを伝えようとするが、恋人のマウリツィオが楽屋を訪ねてくるのを浮き浮きと待っているアドリアーナはそれがミショネのプロポーズであることにすら気が付かない。

マウリツィオが登場。ミショネはこの颯爽とした若い士官と老いた自分では勝負にならないと潔く諦め、席を外す。2人きりになり、マウリツィオ(サクソニア公に仕える旗手であると身分を偽っている)は情熱的にアドリアーナを賞賛、今晩の舞台終了後に共に一夜を過ごそうと約束する。アドリアーナは彼にスミレの小さなブーケを渡す。出番が近づいたので、マウリツィオは客席に、彼女は舞台裏へと去る。

ミショネが戻ってくる。アドリアーナの当夜一番の見せ場であるモノローグが始まる。幕の隙間から覗くミショネは、アドリアーナの演技に感動し賞賛し、客席に見える凛々しい士官への複雑な気持を吐露する。

ブイヨン公は愛人デュクロが誰かに手紙を書いていると聞いて嫉妬、その手紙を入手する。それはマウリツィオ宛で、「今晩11時、セーヌ川の邸宅で」とあった。その邸宅自体、公爵がデュクロに与えたものだった。公爵は手紙の封を戻し、マウリツィオのもとに届けさせ、その上で2人の密会を邪魔してやろうと、同時刻にその邸宅でパーティーを開くことを計画する。

デュクロの手紙を受け取ったマウリツィオが楽屋に戻ってくる。彼はフランス王室との秘密交渉のため、王室と繋がりのあるブイヨン公妃にかねてより面会を求めていた。デュクロは公妃との仲介役の労をとっており、手紙は「今晩11時マウリツィオが公妃に面会できる」という意味だった。マウリツィオはアドリアーナに今晩は会えなくなった旨伝言を託して去る。

舞台が終り、伝言を受けとったアドリアーナはがっかりしている。ブイヨン公爵は「一座の全員でデュクロを驚かせ、お灸を据えてやろう」と考え、アドリアーナまでをもパーティーに招待する。
第2幕

マウリツィオは政治問題の下交渉のために公妃に面会したいだけだが、公妃の方はこの機会に若い彼を恋人としたいと考え、デュクロ邸で待っている。マウリツィオ登場。嫉妬深い公妃は早速彼の胸ポケットに挿したブーケを見つけ、仕方なく彼は「これは貴女への贈り物」と差し出す。公妃はマウリツィオが自分と関係を持てば政治交渉が進む旨を暗示するが、彼はその誘いには乗らない。

そこへ、密会しているのはデュクロとマウリツィオだと信じて疑わない公爵一行が登場。公妃は危うく小部屋に隠れ、マウリツィオだけが仕方なく人々に調子を合わせる。公爵との会話を聞いたアドリアーナはマウリツィオが単なる士官ではなく、伯爵その人であることを悟り驚くが、彼女も彼とデュクロとの関係を疑う。マウリツィオはそれを否定するが、アドリアーナに「小部屋に隠れている貴婦人は私の公務にとって大事な人。どうか隙を見て彼女を逃がしてほしい。ただし君も彼女の顔を見てはいけない」と依頼する。

アドリアーナは彼の言葉を信じ、人々が食堂に向かった隙に部屋の灯りを消して小部屋の女性を連れ出す。暗闇の中で二人の会話がなされ、お互いに素性を知らぬまま恋敵同士であることを直感する。怒ったアドリアーナは公妃の正体を暴こうとするが、公妃は邸外に逃走する。その際落とした公妃の腕輪はミショネが拾い上げ、アドリアーナに手渡す。
第3幕

数日後、ブイヨン公爵邸では夜会が開かれようとしている。アドリアーナも招かれている。彼女の声を聞いて恋敵はアドリアーナではなかったかと疑いをもった公妃は「マウリツィオは決闘で重傷を負った」と嘘をいい、アドリアーナが気絶しそうになるのでその確信はいよいよ強まる。そこへマウリツィオが現れアドリアーナは一安心する。恋敵2人の鞘当ては続く。公妃はスミレのブーケのことを話題に出し、アドリアーナは拾った腕輪を見せびらかす。

宴席の余興としてアドリアーナが芝居の名台詞を朗詠することになる。


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