「アドベント」のその他の用法については「アドベント (曖昧さ回避)」をご覧ください。
アドベント (Advent) は、キリスト教西方教会においてイエス・キリストの降誕を待ち望む期間のことである。日本語では待降節(たいこうせつ)、降臨節(こうりんせつ)、または待誕節(たいたんせつ)という。教派によって名称が異なり、主にカトリックや福音主義教会(ルター派)では待降節、聖公会では降臨節と呼ぶ[1]。
概要教皇グレゴリウス1世
アドベントという単語は「到来」を意味するラテン語Adventus(=アドベントゥス)から来たもので、「キリストの到来」のことである。ギリシア語の「エピファネイア(顕現)」と同義で、キリスト教においては、アドベントは人間世界へのキリストの到来、そして、キリストの再臨(ギリシア語のパルーシアに相当)を表現する語として用いられる[2]。
西方教会では[1]、教会の1年は待降節から始まる[2]。11月30日の「聖アンデレの日
」に最も近い日曜日からクリスマスイブまでの約4週間で、最も早い年で11月27日、遅い年でも12月3日に始まる。5世紀後半に、クリスマス前の断食の時期として、聖マルティヌスの日が開始日と定められたが、後にグレゴリウス1世の時代に、4回の主日と定められた。最初のアドベントを待降節第一主日、もしくは降臨節第一主日と呼び、その後、第二、第三、第四と主日が続く[1]。使徒聖フィリップ正教会では、アドベントという概念はない[1]。正教会では復活大祭および聖神降臨祭が教会暦の節目とされ、アドベントを基準に教会暦を数えることはせず[3]、11月14日からクリスマスイブまでの40日間「使徒聖フィリップ(フィリポ、ピリポ、フィリポス)の斎」が行われる[4]。@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}これを英語圏などでアドベントと呼ぶことがある。ただし日本の正教会でこの時期を公式にアドベント等と呼ぶことはない。[要出典]正教会の暦は本来ユリウス暦であるが、日本ハリストス正教会ではクリスマスをグレゴリオ暦で行う教会があるため、その場合は「フィリップの斎」の期間が短縮される[5][6]。ただしクリスマスの前後の主日は特別な一連の祭を行う。詳しくは降誕祭の項を参照。[要出典]
歴史と儀式アドベント期間中の礼拝。祭服や祭壇布が紫である。フランクフルト・アム・マイン・ボルンハイムの聖十字架教会でのリンブルク教区のクリスチャン・メディテーションとスピリチュアリティのためのセンターで、2500の燃えるティーライトで作られたクレタ・スタイルのアドベント・ラビリンスによる、11月11日からクリスマスまで週3回の断食を命じたものである。これはもともと、東方教会で、1月6日の公現祭(降誕日でもある)に洗礼を受ける予定の者が、その日のために、断食と、悔改めを行う準備期間であったためで、それが、西方教会においてクリスマス前の習慣となったのである[2]。断食と悔い改めの時期であるため、カトリック、聖公会、ルター派では、祭服や祭壇布に悔い改めを意味する紫が使われる。また、第二主日から第四主日まで、栄光の歌であるグロリアを歌わない。アドベントの終了は12月24日の日没後で、かつてカトリックでは、この日を大斎とし、食物の摂取制限があった[1]。ただし、第三主日だけは例外で、この日にはバラ色の祭服が用いられ、アドベント中で唯一オルガン演奏が許される。このバラ色の主日は、四旬節第四主日のバラの主日と同じ意味を持つ[7]。
カトリック百科事典には、次のような記述もある。
380年のサラゴサの教会会議の決議の第4カノン(条文)では、こういう準備期間に関して、12月17日から公現祭まで、教会に必ず出席するべしとある。
他にも司教により、クリスマス前の準備期間が提唱されているが、法制化はされていない。