アトランティック・コースト・ライン鉄道
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1914年の路線図。

アトランティック・コースト・ライン鉄道(アトランティック・コースト・ラインてつどう、Atlantic Coast Line Railroad、略称ACL)は、1898年から1967年7月1日にかけてアメリカ合衆国に存在した鉄道運営組織である。1967年に、競合相手であったシーボード・エア・ライン鉄道(SAL)と合併し、シーボード・コースト・ライン鉄道となった。本社は1961年まではノースカロライナ州ウィルミントン、以降はフロリダ州ジャクソンビルにあった。その後も合併を繰り返し、現在はCSXトランスポーテーションの一部となっており、その本社はジャクソンビルのままである。
歴史

ACLは、1889年5月29日バージニア州リッチモンドからノーフォーク、またジョージア州オーガスタまでの鉄道の持株会社として設立された。ACLとSALの幹線。のちにCSXのA線、S線となる。

幹線(現CSXのAライン)を形成した、元々の鉄道と開業区間は下記の通りである。

リッチモンド・アンド・ピーターズバーグ鉄道 - バージニア州リッチモンド?ピーターズバーグ

ピーターズバーグ鉄道 - ピーターズバーグ?ノースカロライナ州ウェルドン

ウィルミントン・アンド・ウェルドン鉄道 - ウェルドン?ウィルソン

ウィルソン・アンド・ファイエットビル鉄道 - ウィルソン?ノースカロライナ州/サウスカロライナ州

フローレンス鉄道 - 州境?サウスカロライナ州ピーディー

ウィルミントン・アンド・マンチェスター鉄道 - ピーディー?フローレンス

ノースイースタン鉄道 - フローレンス?チャールストン

プラント・システム鉄道:

アシュレイ・リバー鉄道 - チャールストン周辺

チャールストン・アンド・サバンナ鉄道 - チャールストン?ジョージア州サバンナ

アトランティック・アンド・ガルフ鉄道 - サバンナ?ジェサップ

フォークストン・カットオフ - ジェサップ?フォークストン

ウェイクロス・アンド・フロリダ鉄道 - フォークストン?ジョージア州/フロリダ州境

イースト・フロリダ鉄道 - 州境?フロリダ州ジャクソンビル

ジャクソンビル・タンパ・アンド・キー・ウェスト鉄道 - ジャクソンビル?サンフォード

サウス・フロリダ鉄道 - サンフォード?タンパ


ノースカロライナ州特記以外の地名はノースカロライナ州。

1835年、ウィルミントン・アンド・ローリー鉄道の建設認可が下り、1840年にウィルミントンから、その北方のウェルドンまで開通した。ウェルドンではバージニア州ピーターズバーグに至るピーターズバーグ鉄道に接続した。ピーターズバーグ鉄道は1855年にウィルミントン・アンド・ウェルドン鉄道と改称した。

1846年、ウィルミントン・アンド・マンチェスター鉄道の建設認可が下り、1853年にウィルミントンから西へ向かい、サウスカロライナ州カムデン・クロッシングに至る路線が開業した。カムデン・クロッシングは、サウス・カロライナ鉄道のカムデンに至る支線にある。南北戦争の後、ウィルミントン・コロンビア・アンド・オーガスタ鉄道へと再編され、1873年からコロンビアへの路線が開業した。しかし、オーガスタへは到達しなかった。

1872年、ウィルミントン・コロンビア・アンド・オーガスタ鉄道はウィルミントン・アンド・ウェルドン鉄道をリースし、ウィルミントンまでの直通を開始した。それは、アトランティック・コースト・ラインという名称で宣伝された。このリース契約はウィルミントン・コロンビア・アンド・オーガスタ鉄道の破綻により1878年に終了し、同鉄道は翌年売却され、1880年、同じ名称で再建された。

ウィルミントン・アンド・ウェルドン鉄道は、長年に渡り、いくつもの鉄道を吸収してきた。特記すべきものとして、ウィルソン・アンド・ファイエットビル鉄道がある。この鉄道は、ウィルソン付近からファイエットビルを通ってウィルミントン・コロンビア・アンド・オーガスタ鉄道のサウスカロライナ州ピーディーまでを短絡するもので、サウスカロライナ州においてはフローレンス鉄道として建設認可が下りていたものであった。
サウスカロライナ州特記以外の地名はサウスカロライナ州。1885年の路線図。

1851年、ノースイースタン鉄道の建設認可が下り、1856年に開業した。この鉄道はチャールストンから北上し、フローレンスに至るもので、ウィルミントン・アンド・マンチェスター鉄道に接続した。また、セントラル鉄道が、この路線のレーンから北西のサムターに向かい、ウィルミントン・コロンビア・アンド・オーガスタ鉄道に接続する路線を1882年に開業した(建設認可は1881年)。同鉄道は、開業時より接続するふたつの鉄道にリースされていた。

1898年7月18日、そのふたつの鉄道を中心にいくつかの鉄道が合併し、アトランティック・コースト・ライン・レールロード・オブ・サウス・カロライナが設立された。

フローレンス鉄道は1882年に建設認可が下り、それはウィルソン・アンド・ファイエットビル鉄道に引き継がれ、ウィルソンからほぼ一直線に南西に向かい、ピーディーに至る鉄道であった。

チロー・アンド・ダーリントン鉄道は、1849年に建設認可、1853年に開業した鉄道である。フローレンスから北上し、ダーリントンを経てチローに至る。同鉄道は、1892年に、さらに北上してウェーズボロに至るチロー・アンド・ソールズベリー鉄道を吸収した。

マンチェスター・アンド・オーガスタ鉄道(M&A)は1875年に建設認可、サムターから南西のデンマークまでの路線として建設された。1899年6月30日、ACLはロビンスで西南西に向かうチャールストン・アンド・ウェスタン・カロライナ鉄道との直通を開始した。

セントラル鉄道は合併されず、リースのままであった。

チャールストン・サムター・アンド・ノーザン鉄道もこの合併に含まれるが、チャールストンからサムターを通ってノースカロライナ州に至る幹線の建設計画は失敗した。同鉄道は1892年に倒産し、さらにサンティー川の橋が焼失してしまった。1895年、ACLは同鉄道を買収、チャールストン・アンド・ノーザン鉄道に再編し、競合する鉄道に同鉄道の路線を使用されるのを防いだ。短距離の路線であるウィルソン・アンド・サマートン鉄道はサムターの南側の路線を得る一方、M&Aは焼け落ちた橋から切り離された南端部と、サムターから北東のダーリントンへの部分を得た。チロー・アンド・ダーリントン鉄道は、残る部分、すなわちダーリントンからノースカロライナ州ギブソンまでの区間を得た。ウィルソン・アンド・サマートン鉄道以外はすべて1898年にACLの一部となった。ウィルソン・アンド・サマートン鉄道は翌年、ノースウェスタン鉄道へと改称し、ACLの援助を受けつつサムターからカムデンへの建設をすすめ、1901年に開業した。

1899年8月、ACLは、前年にルイビル・アンド・ナッシュビル鉄道がその株式を100%を保有していたジョージア鉄道銀行の株の半数を取得。これにより、ACLはかつてM&Aとジョージア鉄道だった部分の路線を使用してジョージア州アトランタ、メーコンへと接続した。

1899年までに、ACLはまたチャールストン・アンド・ウェスタン・カロライナ鉄道を取得した。この鉄道は、サウスカロライナ州南端のポートロイヤルから北西に向かい、アンダーソン、グリーンビル、スパルタンバーグを終点とする鉄道であった。
バージニア州特記以外の地名はバージニア州。

ピーターズバーグから南下して、ノースカロライナ州ゲーリーズバーグ(ウェルドンのすぐ北)とを結ぶピーターズバーグ鉄道は、1830年に建設認可、1833年に開業した。ゲーリーズバーグからは、シーボード・アンド・ロアノーク鉄道を経由してウェルドンへと列車を運行していた(のちに、鉄道会社の合従連衡により、この乗り入れの形は変わった)。

ピーターズバーグから北のリッチモンドへと向かうリッチモンド・アンド・ピーターズバーグ鉄道は、1836年に建設認可、1838年に開業した。

1898年3月、リッチモンド・アンド・ピーターズバーグ鉄道はピーターズバーグ鉄道を吸収し、11月21日にアトランティック・コースト・ライン・レールロード・オブ・バージニアと改称した。

ノーフォーク・アンド・カロライナ鉄道は、1887年にチョワン・アンド・サザン鉄道として建設認可されたものを1889年に改称し、翌1890年に開業した。区間は、ウィルミントン・アンド・ウェルドン鉄道のノースカロライナ州ターボロに向かう支線から北東に向かい、ハンプトン・ローズのピナーズ・ポイントまでであった。
フロリダ州とジョージア州

かの地では、フロリダ州西岸の開発者、ヘンリー・B・プラントが設立した鉄道と蒸気船のネットワークであるプラント・システムがあった。1899年にプラントが死去し、1902年にはACLがプラント・システムを買収した。もともとの路線は、サバンナ・フロリダ・アンド・ウェスタン鉄道であり、ジョージア州南部を通っていた。
ACLの形成とその後の買収履歴1914年のフロリダ南部の路線図。


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