アトウォーター係数(Atwater system)[1]とその係数の導出は食物の利用可能なエネルギーを計算するために使われる。ウィルバー・オリン・アトウォーター
(英語版)にちなんで名付けられた。この係数は、主にコネチカット州ミドルタウンのウェズリアン大学のアトウォーターと彼の同僚による実験的研究によって、19世紀後半から20世紀初頭に開発された。その使用は頻繁に論争の原因となっているが現実性のある代替案は提案されていない。窒素タンパク質換算係数と同様に、アトウォーターシステムは慣例であり、その限界は導出においても見ることができる。(アトウォーターによって使用される)「利用可能なエネルギー」は、現代で言うところの「代謝可能エネルギー(英:metabolisable energy(ME))」である。
代謝可能エネルギー = (食品の総エネルギー) - (便、尿、分泌物およびガスでのエネルギー損失)
人間に関するほとんどの研究では、分泌やガスでの損失は無視される。爆発熱量計で測定される食品の総エネルギー(英:gross energy (GE))は、近似システムにおける成分ータンパク質(英:protein) (GEp)、fat(英:fat) (GEf)、炭水化物(英:carbohydrate) (GEcho)(差し引きによる)の燃焼熱の合計に等しいとされる。
G E = G E p + G E f + G E c h o {\displaystyle {GE}={{GE}_{p}+{GE}_{f}+{GE}_{cho}}\,}
アトウォーターは、同じ方法で便(英:fece)のエネルギー値を考慮した。
G E F = G E p F + G E f F + G E c h o F {\displaystyle {GE}^{F}={{GE}_{p}^{F}+{GE}_{f}^{F}+{GE}_{cho}^{F}}\,}
利用可能な係数または現代的な用語で言うと「見かけの消化率」を測定することにより、アトウォーターは便のエネルギー損失を計算する係数を導き出した。(Digestible energy=消化可能なエネルギー)
Digestible energy = G E p ( D p ) + G E f ( D f ) + G E c h o ( D c h o ) {\displaystyle {\text{Digestible energy}}={{GE}_{p}(D_{p})}+{{GE}_{f}(D_{f})}+{{GE}_{cho}(D_{cho})}\,}
ここで、Dp、Df、およびDchoはそれぞれタンパク質、脂肪および炭水化物の消化率係数であり、問題の要素に対して
intake − faecal excretion intake {\displaystyle {\frac {{\text{intake}}-{\text{faecal excretion}}}{\text{intake}}}}
上のように計算できるとする。(intake=摂取、faecal excretion=便排泄)
尿中損失は、尿中のエネルギー対窒素の比から計算した。実験的にこれは7.9kcal/g(33kJ/g)の尿窒素であり、したがって代謝可能なエネルギー(英:metabolisable energy(ME))の方程式は以下のようになる。(式に含まれる6.25は窒素タンパク質換算係数に由来する。多くのタンパク質の16%は窒素(Nitrogen:N)であるため、N x 6.25でタンパク質の量が求まる。)
M E = ( G E p − 7.9 6.25 ) D p + G E f D f + G E c h o D c h o {\displaystyle {ME}=\left({GE}_{p}-{\frac {7.9}{6.25}}\right)D_{p}+{GE}_{f}D_{f}+{GE}_{cho}D_{cho}\,} アトウォーターは、タンパク質、脂肪および炭水化物の燃焼熱の値を文献から収集し、測定もした。これらの値は資料によって異なるが、アトウォーターは彼の時代の典型的な混合食でのタンパク質、脂肪および炭水化物の総燃焼熱の重み付け値を導出した。これらの加重値は、食料品の成分が20世紀初頭に米国で食べられたものとは異なる個々の食品や食生活には無効であると主張されている。
総エネルギー値
見かけの消化吸収率