アデニル酸
IUPAC名
5'-Adenylic acid
識別情報
CAS登録番号61-19-8
178-185 °C, 451-458 K, 352-365 °F
沸点
798.5 °C, 1072 K, 1469 °F
酸解離定数 pKa0.9, 3.8, 6.1
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。
アデニル酸(アデニルさん、adenylic acid)は別称をアデノシン一リン酸(Adenosine monophosphate)ともいう有機化合物で、RNA中に見られるヌクレオチドの一種である。AMPと略される。AMPは核酸塩基のアデニン、五炭糖のリボース、1つのリン酸より構成されており、リン酸とアデノシン(ヌクレオシド)の間でリン酸エステルを形成している。リン酸部位の結合位置により 2'-体、3'-体、5'-体の構造異性体があるが、RNA中に部品として見られるのは 5'-アデニル酸 である。 AMPは2つのADPから、アデニル酸キナーゼにより生成される。同時にATPも産出される。 2 ADP ⟶ ATP + AMP {\displaystyle {\ce {2 ADP -> ATP\ + AMP}}} またADPの高エネルギーリン酸結合の加水分解により得られる。 ADP ⟶ AMP + P i {\displaystyle {\ce {ADP -> AMP\ + P_i}}} またATPの加水分解により得られる。ピロリン酸が副生成物として得られる。 ATP ⟶ AMP + PP i {\displaystyle {\ce {ATP -> AMP\ + PP_i}}} RNAが生体中で分解した場合、AMPを含むヌクレオシド一リン酸(NMP)が生成する。 下のようにAMPからATPを再生産することができる。 AMP + ATP ⟶ 2 ADP {\displaystyle {\ce {AMP\ + ATP -> 2 ADP}}} (アデニル酸キナーゼによる逆反応) 2 ADP + 2 P i ⟶ 2 ATP {\displaystyle {\ce {2 ADP\ + 2 P_i -> 2 ATP}}} (好気性細菌のATP合成酵素による酸化的リン酸化反応) AMPはアデニル酸デアミナーゼによりアンモニア基が脱離し、イノシン一リン酸へと変換される。 AMPは尿酸へと変換された形で体内から排出される。 AMPは環状AMP(cAMP)としても存在することが知られている。ある細胞内でアデニル酸シクラーゼによりATPからcAMPが生産されるが、この反応はアドレナリンやグルカゴンといったホルモン類によりコントロールされている。cAMPは細胞内シグナル伝達で重要な役割を果たしている。
生産と分解
環状AMP
外部リンク
⇒Computational Chemistry Wiki(英語)
関連項目
アデノシン二リン酸 (ADP)
アデノシン三リン酸 (ATP)
RNA
オリゴヌクレオチド
表
話
編
歴
核酸の構成要素
核酸塩基
プリン (アデニン、グアニン、プリン類縁体) · ピリミジン (ウラシル、チミン、シトシン、ピリミジン類縁体)
ヌクレオシド
アデノシン · グアノシン · 5-メチルウリジン · ウリジン · シチジン
デオキシリボヌクレオシド
デオキシアデノシン · デオキシグアノシン · チミジン · デオキシウリジン · デオキシシチジン
ヌクレオチド
(ヌクレオシド一リン酸)
AMP、GMP、m5UMP、UMP、CMP
デオキシリボヌクレオチド
dAMP、dGMP、dTMP、dUMP、dCMP
環状ヌクレオチド
cAMP、cGMP、c-di-GMP、cADPR
ヌクレオシド二リン酸
ADP、GDP、m5UDP、UDP、CDP · dADP、dGDP、dTDP、dUDP、dCDP
ヌクレオシド三リン酸
ATP、GTP、m5UTP、UTP、CTP · dATP、dGTP、dTTP、dUTP、dCTP