アッピウス・クラウディウス・クラッスス・インレギッレンシス・サビヌス
[Wikipedia|▼Menu]


アッピウス・クラウディウス・クラッスス・インレギッレンシス・サビヌス
Ap. Claudius Ap. f. M. n. Crassus Inregillensis Sabinus
ガブリエル=フランソワ・ドワイアン
『ウェルギニアの死』(1757年頃)
出生不明
死没紀元前449年
出身階級パトリキ
氏族クラウディウス氏族
官職執政官(紀元前471年)
第一次十人委員会(紀元前451年)
第二次十人委員会(紀元前450-449年)
テンプレートを表示

アッピウス・クラウディウス・クラッスス・インレギッレンシス・サビヌス (ラテン語: Appius Claudius Crassus Inregillensis Sabinus、生年不詳 - 紀元前449年) は、共和政ローマの政治家、軍人。紀元前471年執政官(コンスル)を務め、紀元前451年からは十人委員会の一人となった[1][2][注釈 1]
出自

クラウディウス氏族はアッピウスの祖父でサビニ人であったアッティウス・クラウススが、対ローマ政策で孤立し、紀元前504年に宥和派を引き連れてローマに亡命してきた事から始まった[3]
経歴
コンスルシップ
平民の敵

紀元前5世紀序盤のローマでの課題は土地分配法に関わる一連の騒動で、紀元前473年には元執政官を告発した護民官ゲヌキウスの不審死[4]の後、元ケントゥリオのウォレロ・プブリリウス(英語版)の上訴がきっかけとなり執政官付きリクトルファスケスが折られる程の騒乱が起こっていた[5]。ウォレロはその翌年護民官となると、護民官をトリブス民会で選出するとするプブリリウス法(英語版)を提出した。この法案が通るとパトリキ(貴族)はクリエンテスを使って護民官選挙に影響力を及ぼせなくなるため審議は紛糾、翌紀元前471年も連続してウォレロが護民官に当選していた。そのためパトリキ側も対抗して、父の代からプレブス(平民)を憎み敵とするアッピウスを執政官に選出した。同僚はティトゥス・クィンクティウス・カピトリヌス・バルバトゥスで1度目の選出であった[6]

審議ではまずウォレロの同僚ガイウス・ラエトリウスが口火を切り、翌日の投票では命をかけて法案を通す事を宣言した。翌日、ラエトリウスは投票しないものは「立ち退け」と言い、それでも動こうとしなかった貴族を何名か逮捕するよう命じた。アッピウスが反論する。平民の官職に過ぎぬ護民官が何の権限でもって貴族に命令する。コンスルの私ですら市民に言えるのはせいぜい「立ち去ってくれたまえ」だ。君もわきまえたまえよ。逆上したラエトリウスに対し、平民風情がとリクトルを差し向けるアッピウス。護民官を守るため怒り狂った人々がフォルムに押し寄せて来たが一歩も退かず、一触即発となったところでバルバトゥスが割って入り、アッピウスを退場させると、貴族は人々に従い、コンスルは貴族に従うだろう[注釈 2]、と人々を説得してどうにか落ち着かせた[7]

元老院で対応が協議されたが、国家の団結こそ最優先にすべきと結論が出た。アッピウスは紀元前494年の護民官設立より重大な譲歩だと訴えたが、最終的には元老院の決定に従いプブリリウス法は成立した。これを受けて、翌年の護民官は3名増強され5名となった[8][注釈 3]
闘争

この騒乱をみたウォルスキ族アエクイ族はローマ領内を荒らし回ったが、事態が沈静化したため撤退した。報復の遠征軍が編成され、アッピウスはウォルスキを担当する事となった。法案の可決を許してしまった彼の心中は穏やかでなく、怒りに任せて過酷な命令を兵たちに課した。兵たちは兵たちで反発して命令に従わず、アッピウスはアッピウスで兵たちをウォレロ共と呼ぶという有様だった[9]

アッピウスの不人気ぶりはかつてのファビウス氏族以上で[注釈 4]、兵たちは本陣を奪われる寸前まで全く戦おうとしなかった。アッピウスは更に過激な手段に訴えようとしたが、レガトゥスの一人にインペリウム(指揮権、命令権)は合意の上に成り立っていると諭され思いとどまった。しかし翌朝後方から奇襲を受けると軍はあっけなく崩壊し、アッピウスは軍紀を正すため持ち場を放棄したケントゥリオを斬首し、軍全体に十分の一刑を科したという[10]

紀元前470年、例年のごとく土地分配法を巡って争いが起こり、アッピウスは再度激しく反対して護民官に告発された。告発されても彼の不遜な態度はいささかも変わることなく、鋭い弁舌に恐れをなした護民官は裁判を一時休止したが、リウィウスディオニュシオスもアッピウスは急死してしまったとしている[11][12]


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:58 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef