アセトニトリル
IUPAC名
エタンニトリル
別称メチルシアニド、シアノメタン
識別情報
CAS登録番号75-05-8
?45 °C, 228 K, -49 °F
沸点
82 °C, 355 K, 180 °F
水への溶解度可溶
溶解度有機溶媒
酸解離定数 pKa25
危険性
EU分類可燃性, 有害
NFPA 704320
RフレーズR11, R20/21/22, R36
Sフレーズ(S1/2), S16, S36/37
引火点2 °C
関連する物質
関連するニトリルプロピオニトリル, ブチロニトリル
関連物質酢酸, アセトアミド, エチルアミン
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。
アセトニトリル(英: acetonitrile)は有機溶媒の一種で、最も単純なニトリルである。IUPAC系統名としてエタンニトリル (ethanenitrile)、シアン化メチル (methyl cyanide) シアノメタン (cyanomethane) と表記できる。消防法に定める第4類危険物 第1石油類に該当する[1]。 引火点 2 ℃(密閉式)[2] の可燃性の無色の液体である。エーテルの様な独特の臭気を持ち、大きな誘電率 37.5 (20 °C) を持つ。非プロトン性極性溶媒で、水と任意の割合で混合する。多くの有機溶媒とも混合するが、石油エーテル(ペンタン・ヘキサン)などのパラフィン系溶媒とは分離する。 工業的にはソハイオ法により、プロピレンとアンモニアと酸素からアクリロニトリルを製造する際の副産物として得られる。アクリロニトリルを 100 L 製造するとき、2?4 L のアセトニトリルが共に得られる[3]。 実験室的にはアセトアミドCH3CONH2を五酸化二リンP2O5で脱水したり、硫酸ジメチルとシアン化カリウムを反応させたり、ハロゲン化メチルにシアン化ナトリウムを反応させれば(下式)アセトニトリルが得られるが、通常は市販品を入手する。 3 CH 3 CONH 2 + P 2 O 5 ⟶ 3 CH 3 CN + 2 H 3 PO 4 {\displaystyle {\ce {3CH3CONH2 + P2O5 -> 3CH3CN + 2H3PO4}}} ( CH 3 ) 2 SO 4 + 2 KCN ⟶ 2 CH 3 CN + K 2 SO 4 {\displaystyle {\ce {(CH3)2SO4 + 2KCN -> 2CH3CN + K2SO4}}} CH 3 Cl + NaCN ⟶ CH 3 CN + NaCl {\displaystyle {\ce {CH3Cl + NaCN -> CH3CN + NaCl}}} 加水分解するとアセトアミドを経由して酢酸とアンモニアに分解される。 CH 3 CN + H 2 O ⟶ CH 3 CONH 2 {\displaystyle {\ce {CH3CN + H2O -> CH3CONH2}}} CH 3 CONH 2 + H 2 O ⟶ CH 3 COO − + NH 4 + ↽ − − ⇀ CH 3 COOH + NH 3 {\displaystyle {\ce {CH3CONH2 + H2O -> CH3COO- + NH4+ <=> CH3COOH + NH3}}} 還元されるとエチルアミン (CH3CH2NH2) を生じる。 CH 3 CN + 2 H 2 ⟶ CH 3 CH 2 NH 2 {\displaystyle {\ce {CH3CN + 2H2 -> CH3CH2NH2}}} 遷移金属に対し配位子としてはたらき、錯体をつくる。またその配位性により、ヨウ化銅(I) など、難溶性の金属塩を溶かす場合がある。塩化パラジウム(II)に配位した場合を以下に示す。 PdCl 2 + 2 CH 3 CN ⟶ PdCl 2 ( CH 3 CN ) 2 {\displaystyle {\ce {PdCl2 + 2 CH3CN -> PdCl2(CH3CN)2}}} 無機塩の非水溶媒あるいは化学工業製品の原料や分析化学用の溶媒として用いられる。また、近紫外領域の吸収が小さいため紫外吸光分析の溶媒としても使用される。その他、極性溶媒であり水と任意の割合で混合するので、実験室では逆相クロマトグラフィーや高速液体クロマトグラフィー (HPLC) の移動相としても汎用される。
性質
製法
反応性
用途
毒性
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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