シライトソウ
シライトソウ Chionographis japonica
分類(APG IV)
シライトソウ(白糸草、鴉葱[2]、学名:Chionographis japonica (Willd.) Maxim.[1])は、シュロソウ科シライトソウ属の野生の多年草である。和名は糸屑を束ねたような花の姿に由来する[3][4]。属名(Chionographis)は雪の筆を意味する[4]。スウェーデンのカール・ツンベルクによる『日本植物誌(Flora Japonica)』(1784年)で、この種が世界に紹介された[4]。 根茎はごく短く、ときに小規模な株立ちになり、根生葉をロゼット状に地表に広げる[3]。その姿はややショウジョウバカマに似ている。葉は先がやや広くなったサジ型、深緑色でつやはあまりない。全体で3-14 cm、葉柄は不明瞭、先端はあまりとがらない。 花期は4-7月[4]。細長い花茎を直立させ、高さは15-50 cm程になる。花はその上の方から数-10数 cm程にわたってつき、その部分の花茎は白っぽくなる。それ以下の部分には間隔を開けて数枚の線状の苞がある。全体としては枝分かれのない穂状である。花は下から順に咲く[4]。 花は6枚の花被片、6本の雄しべ、1つの雌しべを含むがそのうちで4枚の花弁以外はごく小さくて花茎に密着する。4枚の花弁だけは1 cm前後、細い匙型で先端がやや幅広い。花弁は花茎に対して大きい角度をもって立つように着き、それ以外の花の部品は目立たないので、外見的には個々の花は見分けられず、花茎から多数の細長い花弁が立っているように見え、真っ白なビン洗いのブラシが立ったような不思議な姿を見せる。また、香りもよい。 果実は楕円形で3-4 mm、種子は長楕円形で2-3 mm。果実が成熟する頃には花茎も緑色になる。 韓国と日本に分布する[4]。国内では秋田県以西の本州、四国、九州の山地に分布する[3]。 林縁などの木陰からやや日当たりのよい場所にも生える[4]。草丈のごく低い植物なので、背の高い草地には出ない。山村では定期的に草刈りをする林縁などで見かけることも多いが、人為的撹乱の強いところに出ることはない。 その花の不思議な姿と涼しげな様子を愛でられ、茶花として好まれてきた。山野草として栽培されることがあるが、それほど普及していない。 日本では以下の都道府県で、レッドリストの指定を受けている[5]。
特徴
花の細部、6本の花被片にうち4本が長い
ロゼット状の根生葉から長い花茎が直立する
スケッチ
分布
利用
種の保全状況評価
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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