アスペルギルス・オリゼー
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ニホンコウジカビ
不完全菌
ニホンコウジカビ
分類

ドメイン:真核生物 Eukaryota
:菌界 Fungi
:子嚢菌門 Ascomycota
:ユーロチウム菌綱 Eurotiomycetes
:ユーロチウム目 Eurotiales
:マユハキタケ科 Trichocomaceae
:コウジカビ属 Aspergillus
:ニホンコウジカビ
A. oryzae

学名
Aspergillus oryzae
AhlburgCohn, 1884
和名
ニホンコウジカビ

ニホンコウジカビ (日本麹黴。Aspergillus oryzae) は、ユーロチウム科コウジカビ属に属する不完全菌の1つである。広義でまたは麹菌と呼ばれるの一種で醤油味噌日本酒焼酎、その他の醸造酒などを作るために利用される。「麹」という用語は日本では、広義で発酵食品に使われる様々なカビを指し[1]、狭義では日本人がアスペルギルス・フラバス(英語版)(A. flavus)を家畜化して生み出して伝統的な発酵食品に使用してきたニホンコウジカビと[2][3][4]、同じく日本で使用されてきたショウユコウジカビ (A. sojae) を特定して指す[5][6]

広義の意味での「麹」の技術は中国に由来すると考えられているが、中国と朝鮮が長い間伝統的な酒造りや醤造りに使用していたカビはクモノスカビ (Rhizopus) やケカビ (Mucor) の一種であり、ニホンコウジカビやショウユコウジカビではない。なお現在ではニホンコウジカビとショウユコウカビは東アジアを中心に発酵食品に広く使われている[7][2][6]

焼酎作りにおいてはニホンコウジカビを使用したものは「黄麹」に該当する。
特徴

ニホンコウジカビはコウジカビ属の中で一番有名な菌で、デンプン分解能力やたんぱく質分解能力に優れており、調味料甘味料だけではなく、醸造酒の製造にも使われている。また分解だけでなく、多様な代謝産物の生成も行う。たとえば、抗生物質ビタミン類などが生成される。なかでも、ニホンコウジカビが生成するデンプン分解酵素・ジアスターゼアミラーゼの別名)は高峰譲吉が本菌から抽出して医薬品タカジアスターゼとして世に出したものである。この酵素は、現在でも健胃・消化薬として医薬品に配合されている。

2004年に一島英治・東北大学名誉教授が日本醸造協会誌第99巻第2号巻頭随想において「麹菌は国菌である」と提唱。2006年10月12日、日本醸造学会大会で麹菌が国菌に認定された[8]。その後、2013年11月28日、菌名変更により一部改正され「麹菌」の範囲が改めて定義され、Aspergillus oryzaeも「麹菌」の一種として位置づけられている[8]
生物学的特徴

ニホンコウジカビは、醸造所家庭などでも利用される不完全菌である。放置されたパン米飯などの上によく姿を見せることもあるが一般的には米麹として売られており、簡単に手に入れることの出来る菌の代表格である。外見的な特徴としては、大量の子嚢胞子を作る袋状の生殖器官)が集まって出来る子嚢果という器官を作らないこと(不完全菌ゆえ)、胞子(分生子)はおおむね黄緑色で、古くなると褐色に変化することがあげられる。繁殖方法は空中に漂う胞子が餌となる基質上に落ち、胞子が発芽して基質に菌糸を伸ばしていきコロニーを形成する。コロニーはすぐに胞子形成による無性生殖を始め、胞子を放出して自分達の範囲を拡大していく。蒸し米で増殖が最も活発な温度は、35℃から37.5℃で吸水率33%以上とする研究がある[9]

ニホンコウジカビは、増殖するために菌糸の先端からデンプンタンパク質などを分解する酵素を生産・放出し、培地である蒸米や蒸麦のデンプンやタンパク質を分解し、生成するグルコースアミノ酸を栄養源として増殖する[10]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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