ニホンコウジカビ (日本麹黴。Aspergillus oryzae) は、ユーロチウム科コウジカビ属に属する不完全菌の1つである。広義で麹または麹菌と呼ばれる菌の一種で醤油や味噌、日本酒、焼酎、その他の醸造酒などを作るために利用される。「麹」という用語は日本では、広義で発酵食品に使われる様々なカビを指し[1]、狭義では日本人がアスペルギルス・フラバス(英語版)(A. flavus)を家畜化して生み出して伝統的な発酵食品に使用してきたニホンコウジカビと[2][3][4]、同じく日本で使用されてきたショウユコウジカビ (A. sojae) を特定して指す[5][6]。
広義の意味での「麹」の技術は中国に由来すると考えられているが、中国と朝鮮が長い間伝統的な酒造りや醤造りに使用していたカビはクモノスカビ (Rhizopus) やケカビ (Mucor) の一種であり、ニホンコウジカビやショウユコウジカビではない。なお現在ではニホンコウジカビとショウユコウカビは東アジアを中心に発酵食品に広く使われている[7][2][6]。
焼酎作りにおいてはニホンコウジカビを使用したものは「黄麹」に該当する。 ニホンコウジカビはコウジカビ属の中で一番有名な菌で、デンプン分解能力やたんぱく質分解能力に優れており、調味料や甘味料だけではなく、醸造酒の製造にも使われている。また分解だけでなく、多様な代謝産物の生成も行う。たとえば、抗生物質やビタミン類などが生成される。なかでも、ニホンコウジカビが生成するデンプン分解酵素・ジアスターゼ(アミラーゼの別名)は高峰譲吉が本菌から抽出して医薬品タカジアスターゼとして世に出したものである。この酵素は、現在でも健胃・消化薬として医薬品に配合されている。 2004年に一島英治 ニホンコウジカビは、醸造所や家庭などでも利用される不完全菌である。放置されたパンや米飯などの上によく姿を見せることもあるが一般的には米麹として売られており、簡単に手に入れることの出来る菌の代表格である。外見的な特徴としては、大量の子嚢(胞子を作る袋状の生殖器官)が集まって出来る子嚢果
特徴
生物学的特徴
ニホンコウジカビは、増殖するために菌糸の先端からデンプンやタンパク質などを分解する酵素を生産・放出し、培地である蒸米や蒸麦のデンプンやタンパク質を分解し、生成するグルコースやアミノ酸を栄養源として増殖する[10]。